事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のある事項には主に以下のようなものがあります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

なお、当社グループでは、取締役会直属の組織である「リスク・コンプライアンス委員会」のもと、当社グループの事業活動に関連するリスクの集約、未然防止対策の策定、周知徹底等を通して、リスクの極小化を図っております。また、当社グループに損害を与えうるリスクを常に評価・検証し、重要なものについては取締役会に報告しております。

 

(A) 経営戦略上のリスク

 

(1) 市場環境

当社を取り巻く市場環境は、主要顧客である金融機関の経営環境の変化や世界的なキャッシュレス化の進展など、大きく変化しております。これら個別のお客様の経営環境や市場全体の環境変化により、主力製品であるATMや営業店端末等の製品やサービスの需要が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このような市場環境の変化については、対処すべき重要な経営課題と認識しており、中期事業計画に基づき新規分野の拡大や顧客ニーズを先取りした事業展開等、様々な施策を進めております。

なお、当社の中期事業計画につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

(2) 技術優位性の維持・他社との競争

当社の属するICT業界においては、技術革新のスピードも速いことから、技術開発競争や他業種の参入等、常に競争に晒されております。また、近年では、ビジネスのグローバル化により海外の競合他社との技術面・価格面での競争も激化しております。今後、これら他社との技術面・価格面での競争の結果、当社の優位性やシェアが奪われ、業績に影響を与える可能性があります。

他社との差別化及び競争優位性を確保するため、中期事業計画において、顧客ニーズの先取り、新たなビジネスモデルの創出、コスト競争力の強化などによるビジネス基盤の強化に向けた施策を進めております。さらに、研究開発活動の強化や特許の取得と保護を推進することで、技術優位性の確保にも努めております。

なお、当社の中期事業計画につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

(B) 製品・サービスに関するリスク

 

(1) 災害等の影響

当社グループでは、マザー工場である新潟工場、およびアジアの生産拠点において、製品を製造しております。これらの工場が、災害や人為的事故等で操業に支障をきたし、生産計画に影響が生じる可能性があります。また、海外拠点のある国や地域において、紛争や政情不安、通貨危機など予期せぬ事象が発生した場合には、事業活動の継続が困難になる可能性があります。

また、これら地理的リスクは、当社グループと取引のあるサプライヤーや協力会社が被害を受けることにより、間接的にサプライチェーン全体に影響を及ぼす可能性もあります。

近年では自然災害の発生頻度が高くなっており、日本国内での地震や大雨、フィリピンでの火山の噴火による降灰、新型コロナウイルスの国境を超えた拡大等、当社グループの国内外の拠点の運営に一定の影響を与える事象が多く発生しております。

当該リスクに対しては、製造拠点の継続的な整備・修繕・管理を徹底するほか、防災訓練の実施や事業継続プランの策定を行い、非常事態に備えております。また、海外については、当該国の社会情勢の情報収集や取引先審査・代替のサプライヤーの確保等も徹底することにより情勢の変化に備えております。

なお、当連結会計年度につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、フィリピン工場の操業停止による製品出荷の停滞や国内外での商談延伸などの影響があり、グローバルプロダクトビジネスを中心に、連結売上高で約32億円の減収影響、連結営業利益で約10億円の減益影響を受けました。当該事象に対しては、事業継続プランの実行により、フィリピン工場での生産活動の一部を新潟工場へ移管するなど、生産体制の維持に努めております。また、国内外の事務所におけるテレワークや時差通勤への切り替え、コールセンターでの体調管理・区画分離の徹底などを図ったことに加え、時限的な特別休暇制度を新設するなど、従業員の心身の健康への配慮を行いながら、事業継続に努めております。

 

(2) 製品・サービスの欠陥

当社の提供する製品やサービスは、金融機関や流通店舗での現金の取り扱いや公営競技場の運営等、安定的な運用が強く求められていることから、設計上の欠陥、納期遅延、サービス提供や保守運用上のトラブル等、その欠陥の大きさによっては、お客様から損害賠償請求を受けたり、当社の社会的信用が毀損する等、当社の業績に影響を与える可能性があります。

当該リスクに対処するため、製品の開発プロセスに応じて品質やリスク抽出等の判定を多角的に行い、製品・サービスの欠陥の発生を可能な限り除去しております。さらに、設計段階から障害が発生した場合のリカバリ策を予め組み込む等、リスクが顕在化した場合にも備えております。また、システムの構築や保守等では、設計段階からのシステムの二重化や稼働前の入念なテストによる不具合の対応の徹底等を行っております。

これらの施策を通して、品質の高い製品や安定的なサービスの提供に取り組んでおります。

 

(C) コンプライアンス・ガバナンスに関するリスク

 

(1) 情報セキュリティ

当社グループは、「安心・安全な社会の実現」を経営方針とし、手のひら静脈認証等のセキュリティ製品やサービスを展開しております。また、システムの受託開発や保守・サービスビジネスの分野では、お客様の機密情報や個人情報等の重要情報をお預かりし、ビジネスを実施しております。

これらビジネスの実施において、電子メールの誤送信等による情報漏洩やサイバー攻撃による大規模情報流出等が生じた場合に、お客様の信用やひいては社会的信用の失墜により、当社の経営に影響を与える可能性があります。

当該リスクの影響については、状況に応じて一概に損害の規模を見積もることはできませんが、情報セキュリティの確保を重要な経営課題と認識し、リスクの顕在化の回避に努めております。具体的には、情報管理関係規程の制定や情報セキュリティ関係の対策を実施し、全従業員に対し情報管理意識の高揚と管理徹底を図るほか、プライバシーマークの取得に伴う個人情報保護体制の継続的な強化や、情報リスクアセスメント等の内部監査を実施しております。

 

(2) コンプライアンス

当社グループは、高度な技術を含んだ製品やサービスをグローバルに展開しており、国内のみならず海外の諸法令についても的確に把握し、遵守することが求められております。特に、グローバルにビジネスを展開するにあたっては、各国の輸出管理法制、カルテル・贈収賄規制、紛争鉱物規制、児童労働規制等、適用される法令も多岐にわたっており、確実な理解と遵守が求められております。

これら、各種法令の違反による影響は一概に評価できませんが、コンプライアンス違反による社会的信用の失墜を通して当社の経営に与える影響は大きいと判断しております。そのため、当社グループはコンプライアンスを経営上の重要課題と位置付け、「富士通フロンテック・ウェイ」を制定し、社会および企業の一員として役員および社員のとるべき行動の基準を定め、教育・研修を通じて徹底を図っております。また、「リスク・コンプライアンス委員会」によるリスクの集約・評価・検証や対応策の実施、コンプライアンス徹底のための啓蒙活動、内部通報窓口の拡充等を通して、問題の早期発見と対処に努めております。

 

(3) CSR・サステナビリティ

当社グループでは、国内外の製造拠点において廃棄物処理や製品含有物質管理等の環境法規に対応しておりますが、近年では、国連での「持続可能な開発目標(SDGs)」の採択やCOP21でのパリ協定の発効等を受け、社会の持続的発展に向けた取り組みに積極的に参画することが一層求められております。これらへの取り組みが遅れることにより、ベンダーやお客様から取引先として不適合とみなされたり、社会的信用を失墜する等、当社グループの経営に影響を与える可能性があります。

当該リスクに対しては、当社グループでは「富士通フロンテック環境方針」のもと、調達から製造活動における環境負荷のモニタリング、エネルギー効率向上のための燃料電池システム等の設備導入、地域共生活動としての環境美化活動等の活動を継続的に行っております。これらの取り組みにより、当社新潟工場が「2019年度新潟県エコ事業所」として新潟県より表彰いただきました。また、ダイバーシティへの取り組みについて、当社熊谷ソリューションセンターが「令和元年度 熊谷市男女共同参画推進表彰」を熊谷市より受賞いたしました。引き続き、当社グループはESGに関する取り組みを強化してまいります。

なお、当社グループではESGに対する取り組みについて、環境報告書にまとめ毎年公表しております。詳細は、下記ホームページをご参照ください。

https://www.fujitsu.com/jp/group/frontech/about/environment/environmentalreport/

 

(4) 親会社との取引関係

当社グループは、親会社である富士通株式会社を中核とする富士通グループの一員として事業を展開しており、主力製品であるフロントソリューション製品およびサービス等の一部を納品しております。また、当社グループは富士通株式会社からパソコン、サーバなどの製品を仕入れております。

現在は、同社とは継続的かつ安定した取引関係にありますが、当社売上高に占める比率が高いことから同社の販売動向により当社への発注量が変動し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対しては、引き続き市場競争力のある製品やサービスを供給するとともに、自主ビジネスの拡大などの施策をとおして販売先の多様化に努めております。

なお、富士通株式会社との取引金額等については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等注記事項 [関連当事者情報]」をご参照ください。

 

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