業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

 (1) 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度のエレクトロニクス業界の状況は、昨年に引き続き新型コロナウイルス感染症の影響に左右される不安定な状況で推移しました。足元では、ウクライナ情勢の緊迫化、エネルギー価格及び資源価格の高騰並びに新型コロナウイルスの新たな変異株の流行が景気減速の懸念となっており、先行きは不透明な状況です。

このような環境のもとで、当社は、「成長への転換」をテーマとした中期経営計画(2022年3月期から2024年3月期まで)を掲げ、その初年度がスタートしました。

当社の売上高につきましては、タンタルコンデンサ及び回路保護素子ともに、前年同期に比べて大幅に増加しま した。その要因は、タンタルコンデンサにつきましては、補聴器等の海外市場向け、鉄道制御機器向け及びその他民生品向けの需要の増加によるものであり、回路保護素子につきましては、リチウムイオン電池向けの高電流ヒューズの需要の増加によるものです。

その結果、当事業年度の当社の業績は、売上高につきましては、4,709百万円(前年同期比23.8%増加)となり、損益につきましては、売上高の増加及び原価低減が奏功し、営業利益642百万円(前年同期比145.1%増加)、経常利益568百万円(前年同期比142.8%増加)となりました

また、特別損失として独占禁止法等関連損失821百万円を計上しました。これは、米国集団民事訴訟における直接購入者原告団及び米国のフレクトロニクス・インターナショナル・ユー・エス・エー・インクとの和解金、台湾当局への課徴金及び集団訴訟等の対応のための弁護士報酬等の発生によるものです。この結果、当期純損失223百万円(前年同期比358百万円悪化)となりました

セグメント別の業績は次のとおりです。

タンタルコンデンサ事業

タンタルコンデンサ事業につきましては、補聴器等の海外市場向け、鉄道制御機器向け及びその他民生品向けの需要が増加しました。この結果、タンタルコンデンサ事業の売上高は、3,409百万円(前年同期比21.1%増加)、セグメント利益は、596百万円(前年同期比84.1%増加)となりました。なお、総売上高に占める比率は72.4%(前年同期比1.6ポイント低下)となりました

回路保護素子事業

回路保護素子事業につきましては、リチウムイオン電池向けの高電流ヒューズの需要が増加しました。この結果、回路保護素子事業の売上高は、1,107百万円(前年同期比39.4%増加)、セグメント利益は、427百万円(前年同期比61.6%増加)となりました。なお、総売上高に占める比率は23.5%(前年同期比2.6ポイント上昇)となりました

その他

その他の売上高は、192百万円(前年同期比0.3%減少)、セグメント利益は、23百万円(前年同期比90.5%増加)となりました。なお、総売上高に占める比率は4.1%(前年同期比1.0ポイント低下)となりました

 

 (2) キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ、530百万円増加し、1,118百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、独占禁止法等関連損失の計上額の増加及び同支払額の減少等により、290百万円の収入(前事業年度末比446百万円増加)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入の減少及び設備投資による有形固定資産の取得による支出の増加等により、197百万円の支出(前事業年度末比276百万円減少)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、第三者割当増資に伴う株式の発行による収入の発生等により、437百万円の収入(前事業年度末比68百万円増加)となりました。

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

タンタルコンデンサ事業

3,518,271

31.4

回路保護素子事業

1,139,699

42.5

その他

199,893

△11.4

合計

4,857,864

31.2

 

(注) 金額は、販売価格によっています。

 

(2) 受注実績

当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

タンタルコンデンサ事業

3,698,661

16.7

1,061,061

37.4

回路保護素子事業

1,006,054

△3.8

210,602

△32.4

その他

229,201

41.2

93,738

65.0

合計

4,933,917

12.7

1,365,402

19.7

 

 

(3) 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

タンタルコンデンサ事業

3,409,986

21.1

回路保護素子事業

1,107,135

39.4

その他

192,260

△0.3

合計

4,709,382

23.8

 

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

当事業年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

㈱デンソー(グループ会社含む)

1,097,836

28.9

1,204,828

25.6

釜屋電機㈱

779,999

20.5

1,023,460

21.7

 

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものです。

 

(1) 財政状態に関する分析

当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ824百万円(14.7%)増加し、6,426百万円となりました。流動資産は、前事業年度末に比べて639百万円(16.5%)増加し4,518百万円、固定資産は、前事業年度末に比べて185百万円(10.7%)増加し1,908百万円となりました。

流動資産増加の主な要因は、現金及び預金の増加等によるものです。

固定資産増加の主な要因は、有形固定資産の増加等によるものです。

当事業年度末の負債の合計は、前事業年度末に比べて549百万円(14.1%)増加し、4,452百万円となりました。

流動負債は前事業年度末に比べて255百万円(10.4%)増加し2,711百万円、固定負債は前事業年度末に比べて294百万円(20.3%)増加し1,741百万円となりました。

流動負債増加の主な要因は、未払金の増加等によるものです。

固定負債増加の主な要因は、長期未払金の増加等によるものです。

 当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べて275百万円(16.2%)増加し、1,974百万円となりました。これは、資本金及び資本準備金の増加等によるものです。

 

(2) 経営成績に関する分析

① 売上高

当事業年度において、売上高につきましては、前事業年度比905百万円(23.8%)増加し、4,709百万円となりました。

タンタルコンデンサ事業につきましては、補聴器等の海外市場向け、鉄道制御機器向け及びその他民生品向けの需要が増加しました。この結果、タンタルコンデンサ事業の売上高は、3,409百万円(前年同期比21.1%増加)、セグメント利益は、596百万円(前年同期比84.1%増加)となりました。

回路保護素子事業につきましては、リチウムイオン電池向けの高電流ヒューズが順調に推移しました。この結果、回路保護素子事業の売上高は、1,107百万円(前年同期比39.4%増加)、セグメント利益は、427百万円(前年同期比61.6%増加)となりました。

 

② 売上原価、販売費及び一般管理費、及び営業損益

売上原価につきましては、前事業年度比402百万円(14.3%)増加しましたが、売上高の増加及び原価低減により売上原価率は68.2%となり、前事業年度比5.7ポイント改善しました。販売費及び一般管理費につきましては、前事業年度比122百万円(16.8%)増加し、854百万円となりました。

営業利益につきましては、売上原価率の改善により前事業年度比380百万円(145.1%)増加して、642百万円となりました。

 

③ 経常損益

営業外収益・費用の純額は為替差損の計上等により73百万円の費用となり、経常利益は前事業年度比334百万円(142.8%)増加して、568百万円となりました。

 

④ 税引前当期純損益

特別利益・損失の純額は独占禁止法等関連損失の計上等により825百万円の損失となり、税引前当期純損益は前事業年度比300百万円悪化して257百万円の損失となりました

 

⑤ 当期純損益

当期純損益につきましては、前事業年度比358百万円悪化して223百万円の損失となりました。なお、1株当たり当期純損益は、前事業年度の52円32銭の利益から83円73銭の損失となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当事業年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

営業活動によるキャッシュ・フローは、独占禁止法等関連損失の計上額の増加及び同支払額の減少等により、290百万円の収入(前事業年度末比446百万円増加)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入の減少及び設備投資による有形固定資産の取得による支出の増加等により、197百万円の支出(前事業年度末比276百万円減少)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、第三者割当増資に伴う株式の発行による収入の発生等により、437百万円の収入(前事業年度末比68百万円増加)となりました。

これらの結果、当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ、530百万円増加し、1,118百万円となりました。

当社の資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりです。

当社は、将来の事業活動に必要な資金を確保し、適切な流動性を維持することを財務の基本方針としています。

当該資金の原資は、自己資金及び金融機関からの借入等により行っています。

 

(4) 重要な会計の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。

この財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項(重要な会計方針)」に記載されているとおりです。特に、固定資産の減損損失の計上及び退職給付に係る負債の計上等に関しては経営者が行う重要な判断と見積りにより大きな影響を受けるものと考えています。

また、継続企業の前提に関する評価に関しましても経営者が行う重要な判断と見積りにより大きな影響を受けるものと考えています。

当社は、過去の実績及び現在の状況に照らして、合理的と考える見積り及び判断を行っていますが、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

また、当該見積りに関する新型コロナウイルス感染症拡大による影響については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(追加情報)」を参照下さい。

 

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