なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものです。
(1) 市場環境の変化について
当社は、日本、アジア、欧州、米州等の様々な国・地域に製品を供給しています。したがって、これらの国・地域の経済状況の変化や、対象市場での当社製品に対する需要の変化により当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 原材料の安定調達について
当社製品のタンタルコンデンサの主要原材料であるタンタル粉末は「希少金属」であり、その生産は世界的な寡占企業に掌握されています。そのため、その市場価格は当該寡占企業の意向を強く反映したものとなり、下方硬直性を有しています。このことは、他の種類のコンデンサとの価格競争上不利であり、当社損益に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、その他の原材料についても仕入先の事情による原材料の供給停止や仕入価格の上昇が発生した場合、当社の損益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 在庫リスクについて
当社は、ユーザーの仕様に合わせた製品の受注生産を行っていますが、ユーザーの生産計画等の変更により、見込生産した製品が不動在庫化する可能性があります。また、当社が属する電子部品業界では、激しい価格競争が行われており、製造原価より正味売却価額が低下する可能性もあります。
これら収益性の低下した棚卸資産については、「棚卸資産の評価に関する会計基準」が適用されるため、収益性低下に見合う簿価切り下げ額は売上原価に算入することとなり、生産管理、販売政策の如何によっては、営業損益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) カーエレクトロニクス分野への依存及び主要な販売先について
当社の売上高は、カーエレクトロニクス向けが約40%を占めており、その中でもデンソーグループに対する売上高は、当社の売上高の約26%を占めています。従って、同社の経営戦略の如何によって当社の経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(5) 新製品及び新技術の企業化について
近年急速に、電子機器が小型化・薄型化し、また取扱い周波数の高周波化及び機器の安全化重視が進んでいます。当社としましては、このような技術的要求に適合する高品質・低コストの製品を他社に先がけて開発・販売することが、安定した収益を確保するための最重要課題と認識しています。しかしながら、人的要因、資金的要因等から製品開発計画が意図したように進展しない可能性もあり、また当初目標とした製品を開発できたとしても、技術革新が早く、当該製品の陳腐化が進行する可能性が否定できません。そのような場合、将来の成長と収益性が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 環境規制への対応について
昨今環境問題は、企業の社会的責任の一つとして重要視されています。国内外の法令等で規制の強化が始まっており、それに対応して当社は環境に関する国際規格の取得や、ハロゲンフリーなどの製品対応を進めていますが、当社製品がこれら規制に対応できなければ、当社の販売活動が制限されることになり、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 退職給付について
当社の従業員退職給付費用及び債務は、割引率等年金数理計算での計算の前提と年金資産の期待運用収益率に基づいて計算されています。当該計算の前提と実際の結果とが乖離する場合、また計算の前提を変更した場合、退職給付費用については将来の期間にわたり、また、退職給付に係る負債については事業年度末において影響を及ぼします。今後、割引率の低下、年金運用利回りの悪化があれば、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) 自然災害等による影響について
当社は、台風・地震などの自然災害や突発的事象に対して事業継続計画(BCP)を策定し、予防活動・対応態勢の構築を行っていますが、生産設備における悪影響を完全に排除できるものではありません。生産設備の停止などお客様に製品を供給できない事態となった場合、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 新型コロナウイルス感染症等について
新型コロナウイルス感染症の拡大により、供給元、納入先、当社の工場等のサプライチェーンに影響が生じた場合や、当社の従業員に影響が生じた場合にも、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社では、感染拡大を防ぐため、政府や自治体の発表・要請を踏まえ、従業員の体調管理・確認、Web会議の導入、出張の制限や勤務形態の見直し等の対応を実施し、事業リスクの低減に努めています。
(10) 製品の欠陥について
当社は、品質第一をモットーに世界的に認められている品質管理基準に従って製品を製造していますが、将 来にわたって製品に欠陥が生じないという保証はありません。製品の欠陥により多額な損失が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11) 公的規制について
当社は、国内及び海外において、商取引、独占禁止法、知的財産権、製造物責任、環境、労務等の法規制及び公的規制の適用を受けて事業を行っています。これらの公的規制に違反した場合、監督官庁による処分、訴訟の提起等のリスクや企業ブランド価値の毀損、社会的信用の失墜等のリスクがあります。
当社は、代表取締役社長がコンプライアンス管理担当役員を指名し、役員及び従業員が共有する「倫理基準」及び「独占禁止法・競争法遵守方針」を制定して、当社における行動指針の遵守及び法令違反等の問題発生を予防するとともに、法令遵守の実効性を担保するため、内部監査部門におけるモニタリングの実施並びにコンプライアンス上の問題を報告する通報窓口を社内及び社外に設置しています。
しかし、世界的に事業を展開する中で、結果的に当社が公的規制に抵触することになる場合には、当社の事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12) 継続企業の前提に関する重要事象等及び重要事象等を改善するための対応策等
当社は、前事業年度末において、今後も独占禁止法等に関連する支払の発生が見込まれる状況の中、6期連 続でマイナスの営業キャッシュ・フローを計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象等が存在しておりました。
当事業年度においては、前事業年度に策定した「継続的な新製品開発・生産・販売による再成長」を基本方針とする中期経営計画(2022年3月期から2024年3月期まで)を着実に実行した結果、営業利益642百万円計上等、中期経営計画を上回る業績を達成することができました。また、次年度以降の業況も好調に推移すると見込んでおります。
また、独占禁止法等に関連する支払については、2021年12月に米国の直接購入者原告団から提起された集団民事訴訟について500万米ドル(564百万円)で和解が決定したことにより、今後は継続企業の前提に影響を及ぼす程多額の支払が発生することはないと見込んでおります。
加えて、当社は、2022年1月14日開催の取締役会において決議した釜屋電機株式会社を割当先とする第三者割当増資による新株式を2022年1月31日付で発行し、499百万円の資金を調達したことによって、上記の独占禁止法等に関連する支払を含み想定される資金需要に十分対応できる資金を確保することができました。
以上を踏まえ、当社では、当事業年度末において、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況は解消したと判断しております。
(13) その他
上記に掲げたリスク要因は、当社の事業活動等にかかる全てのリスクを網羅するものではありません。これら以外にもリスクが発生する恐れがあり、それにより当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
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