業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 ① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により依然として厳しい状況が続いているものの、北米、欧州及びアジアにおいては景気は持ち直しております。中国においては、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大の影響により、一部で経済活動が抑制されているものの、景気は持ち直しの動きがみられます。国内経済においては、景気は持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が残る中で、一部に弱さがみられます。また、世界経済、日本経済ともにウクライナ情勢等による不透明感が見られる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、供給面での下振れリスクに注意する必要があります。

当社グループの主要取引先であります自動車業界においては、新型コロナウイルス感染拡大に伴う部品供給不足等により、日本、北米及び欧州においては新車販売台数が前年に比べ減少しております。中国及びアジアにおいては新車販売台数が前年に比べ増加しております。

こうした状況のなか、当社グループにおいては2021年度から2023年度を対象とする中期経営方針を策定し、選ばれる会社・勝ち抜く会社に向けた強化、真のグローバル企業への取り組み強化、持続可能な企業基盤の強化の3つを柱として、強固で持続可能なグローバル企業を目指しております。

当連結会計年度の業績は、売上高は5,721億円(前年度比22.6%増)となりました。利益につきましては、売価変動等の減益要因により、営業利益は61億円(前年度比21.4%減)、経常利益は78億円(前年度比1.9%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は33億円(前年度比19.2%減)となりました。

セグメント別の業績は次のとおりであります。

a. 日本

売上高は得意先からの支給品単価の上昇等により2,483億円(前年度比6.2%増)となりました。セグメント利益は部品事業以外の利益の減少等により1億円(前年度比90.0%減)となりました。

b. 北米

売上高は得意先からの支給品単価の上昇及び為替変動等により1,137億円(前年度比29.2%増)となりました。セグメント損失は新規車種立上げによる生産準備費用の増加等により6億円(前年度は9億円のセグメント利益)となりました。

c. 欧州

売上高は得意先からの支給品単価の上昇及び為替変動等により495億円(前年度比45.6%増)となりました。セグメント利益は部品事業以外の利益の減少等により7億円(前年度比26.4%減)となりました。

d. 中国

売上高は得意先各社の自動車生産台数の増加等により1,011億円(前年度比23.8%増)となりました。セグメント利益は売上高の増加等により46億円(前年度比35.2%増)となりました。

e. アジア

売上高は得意先からの支給品単価の上昇及び為替変動等により736億円(前年度比51.3%増)となりました。セグメント利益はほぼ横ばいの8億円(前年度比1.8%減)となりました。

 

(注)支給品単価の上昇とは、排気系部品に使用される触媒の得意先からの支給価格が上昇することです。支給品を含む製品の販売価格も同額上昇するため、売上高は増加しますが、利益影響はありません。

 

財政状態は次のとおりであります。

当連結会計年度の総資産については、有形固定資産等の増加により、前連結会計年度末に比べて192億円増加し、3,094億円となりました。負債については、借入金等の増加により、前連結会計年度末に比べて164億円増加し、2,194億円となりました。純資産については、為替換算調整勘定等の増加により、前連結会計年度末に比べて27億円増加し、900億円となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当社グループの現金及び現金同等物は、前年度末に比べ27億円減少し、67億円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動の結果、得られた資金は354億円であり、前年度に比べ126億円(55.6%増)の増加となりました。これは、仕入債務の増加等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動の結果、使用した資金は355億円、前年度に比べて108億円(44.1%増)の支出の増加となりました。これは、有形固定資産の取得支出の増加等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動の結果、使用した資金は34億円(前年度は17億円の収入)となりました。これは、連結の範囲の変更を伴わない関係会社出資金の取得支出等によるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

日本

221,159

109.6

北米

109,730

133.5

欧州

46,869

149.8

中国

93,041

124.8

アジア

71,603

152.4

合計

542,404

124.2

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しておりません。

2 金額は、製造原価によっております。

 

b. 受注状況

当連結会計年度における当社製品におきましては、納入先より3ヶ月程度の生産計画の提示を受け、生産能力を考慮して生産計画をたてております。

なお、治具溶接機については、納入先からの注文に基づき生産しており、受注状況は次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

日本

8,040

136.5

5,467

133.6

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

日本

234,125

109.1

北米

113,774

129.2

欧州

49,595

145.6

中国

100,996

123.9

アジア

73,626

151.3

合計

572,118

122.6

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

トヨタ自動車㈱

134,884

28.9

131,936

23.1

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づき分析した内容であり、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月23日)現在において当社グループが判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度における経営成績の前連結会計年度との比較分析、報告セグメントごとの詳細及び財政状態の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、以下の5つの基本方針を取り組んできたことが挙げられます。

① 「安全、品質、モノづくり」の基本の徹底

② 安定した収益確保のための構造改革と原価マネジメントの強化

③ 拠点最適化と経営資源の効率的な配分

④ コア技術の更なる進化と新規分野への活用

⑤ 人材育成と組織力の強化

また、「グローバルにおける部品事業の利益最大化」「電動化に対応した開発強化」「ボデー部品の新たなビジネスモデルに向けた開発・生産体制構築」を推進してまいりました。

 企業価値の向上を目指すにあたっては、売上高、営業利益率、経常利益率、ROE(株主資本当期純利益率)を重要な経営指標と位置づけ、その向上に取り組んでまいりました。

 財政面におきましては、財務体質の強化として有利子負債の削減と自己資本比率の向上に取り組んでまいりました。

各セグメントにつきましても上記基本方針に取り組んでまいりました。

当連結会計年度につきましては、主に支給品単価上昇影響及び為替影響を受け、日本、北米、欧州、中国、アジアの各セグメントにおいて売上高は前年同期と比べて増加しました。一方で、前連結会計年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の感染拡大等の影響により、主要得意先の稼働調整や操業停止等が相次ぎ、日本、北米、欧州、アジアの各セグメントにおいて利益は前年同期と比べて減少しました。

 なお、重要な経営指標に掲げられている指標の分析については次のとおりです。

 売上高につきましては、主に支給品単価上昇影響及び為替影響等により5,721億円(前年度比22.6%増)となりました。営業利益率につきましては、前年度と比べて0.6%減少しました。この主な要因は、部品事業以外の減益や、新規車種立上に伴う減価償却費の増加等の要因により営業利益が減少したためです。経常利益率につきましては、前年度と比べて0.3%減少しました。この主な要因は、営業利益の減少に伴い経常利益も減少したためです。ROEにつきましては、親会社株主に帰属する当期純利益が減少したこと等により前年度と比べて1.5%減少しました。有利子負債につきましては、主に北米拠点における新規生準投資等に伴う借入金の増加により、前年度と比べて104億円増加しております。自己資本比率につきましては、その他包括利益累計額の増加や親会社株主に帰属する当期純利益を計上したこと等により27.2%(前年度比0.4%増)となりました。

 

重要な経営指標の推移

回次

第106期

第107期

第108期

決算年月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

売上高

4,761億円

4,668億円

5,721億円

営業利益率

2.2%

1.7%

1.1%

経常利益率

2.1%

1.7%

1.4%

ROE

9.5%

5.6%

4.1%

有利子負債残高

823億円

877億円

981億円

自己資本比率

26.6%

26.8%

27.2%

 

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び流動性に係る情報

a. キャッシュ・フローの状況

 当社グループの当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて27億円減少し、67億円となりました。

 なお、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の前連結会計年度との比較分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。

b. 財務政策

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料及び外注部品等の仕入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。また、剰余金の配当につきましては、配当政策に基づき実施してまいります。

 当社グループの運転資金、設備投資資金及び剰余金の配当等は、主として内部資金により充当し、必要に応じて借入れによる資金調達を実施することを基本方針としております。

 当連結会計年度の当社グループの設備投資資金につきましては、内部資金、資本市場からの調達及び借入により充当いたしました。

 今後は、資本の効率化と財務の安全性確保を重視しつつ、有利子負債の圧縮を視野にいれながら、バランスをとった財務運営を目指してまいります。

c. 今後のキャッシュ・フロー

2023年3月期の設備投資につきましては、生産性向上のための合理化・省力化投資、新規受注に伴う金型等投資及び海外生産拠点への投資を中心に実施する予定です。詳細につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却の計画」に記載しております。

当該資金調達につきましては、内部資金又は借入にて充当する予定です。

 

(参考)

当社グループは2021年5月に2021年度以降の会社の方向性とめざす姿を示すため、2021年度から2023年度を対象とする中期経営方針を策定しております。以下の3つの中期経営方針を柱とし、経営・収入基盤をさらに充実させるとともに、デジタル化とモノづくりのイノベーションにリソーセスを投下し、強固で持続可能なグローバル企業を目指しております。

 

(1) 選ばれる会社、勝ち抜く会社に向けた強化

 ・お客様目線を意識した活動(困りごとの解決提案)

 ・部品事業の収益最大化

(2) 真のグローバル企業への取り組み強化

 ・本社のグローバル化促進

 ・中長期の事業戦略の実行

(3) 持続可能な企業基盤の強化

 ・企業価値の向上

 ・デジタル社会への環境整備

 ・新しい時代に向けた意識改革

 

また、当社グループは、2016年5月に策定した新5か年計画の最終目標でありました連結営業利益率3.5%をコンスタントに出せるよう目指しました。

 

 

直近2ヵ年の実績及び連結業績予想

回次

第107期(実績)

第108期(実績)

第109期(連結業績予想)

決算年月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

連結売上高

4,668億円

5,721億円

7,200億円

連結営業利益率

1.7%

1.1%

1.4%

 

 

 2022年3月期の連結売上高は支給品単価上昇の影響を大きく受け、5,721億円(前年度比22.6%)となりました。一方で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大等の影響により、主要得意先の稼働調整や操業停止等が相次ぎ、営業利益率は1.1%となりました。

 

 さらに、当社グループは稼ぐ力を強化し、フリーキャッシュフローの増加を図るため、2022年5月に中期経営目標を公表しております。2022~24年度の具体的な目標として、フリーキャッシュフローは60~150億円を目指しております。また、連結営業利益率は支給品除く売上高で2.6~5.0%にいたしました。

 

 なお、実際の業績は、その情報の不確実性のほか、今後の経済情勢、市場動向、株価・為替動向等の状況変化により予想数値と異なる可能性があります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

a. 繰延税金資産の回収可能性

「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

b. 固定資産の減損

「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

c. 貸倒引当金

当社グループは売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しておりますが、将来、得意先の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

d. 製品保証引当金

当社製品の品質保証に伴う損失の支出に備えるため、売上高に対する過去のクレーム実績率を基礎として発生したクレーム費用の個別の実情を考慮した上で、当社が求償を受けると見込まれる金額を見積って計上しておりますが、実際に求償される額が見積り額と乖離した場合には利益に影響を与える可能性があります。

e. 退職給付に係る資産・負債

従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上使用される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率、昇給率及び年金資産の長期期待運用収益率など多くの見積りが含まれており、実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件が変更された場合、又は法改正や退職給付制度の変更があった場合、その影響は累積されて将来にわたり規則的に認識されることとなり、将来の退職給付費用及び債務に影響を与える可能性があります。

f. 有価証券の減損処理

当社グループは長期的な取引関係維持のため、得意先及び金融機関の株式を保有しておりますが、これら株式は株式市場の価格変動リスクを負っているため、合理的な基準に基づく有価証券の減損処理を行っております。将来、株式市場の悪化又は投資先の業績不振により、評価損を計上することがあり、その場合、利益に影響を与える可能性があります。

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