以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、2020年10月1日に、株式会社広島銀行の単独株式移転により設立されました。
当社グループは、経営理念及びブランドスローガンを以下のとおりとし、新たなグループ経営形態のもと、グループ一体経営及びグループ内連携を更に強化するとともに、グループ各社の特長・強みを活かすことで、グループシナジーの最大化を図り、「地域社会および地域のお客さまへの更なる貢献」と「当社グループの持続的成長および企業価値の向上」の実現を図ってまいります。
〔経営理念〕
〈経営ビジョン〉
お客さまに寄り添い、信頼される<地域総合サービスグループ>として、地域社会の豊かな未来の創造に貢献します
〈行動規範〉
ひろぎんホールディングスは、5つの行動規範に基づいて、地域社会と共に共通価値を創造し、持続可能な社会の実現に努めます
1.地域社会と共に歩み、その発展に積極的に貢献します
2.お客さまの視点に立って考動し、豊かな人生と事業の成長に貢献します
3.企業価値の持続的な向上に努めます
4.誰もが健康で明るく働きがいのある企業グループをつくります
5.高いレベルのコンプライアンスを実践します
〔ブランドスローガン〕
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、2020年10月から「中期計画2020」(2020年10月~2024年3月)をスタートさせております。「中期計画2020」では、以下の基本方針を掲げ、広島を中心とした地元4県(岡山・山口・愛媛)マーケットにおいて、地域社会・お客さまのあらゆる課題の解決に徹底的に取組み、地域の発展に積極的にコミットすることで、経営理念を実現し、グループの持続的成長を図ってまいります。
〔基本方針〕
1.地域活性化に向けた地域社会の課題解決への取組強化
2.お客さまの成長への貢献に向けたグループ各社のコア業務の深化とグループ一体となった業務領域の拡大
(新たな収益分野の確立)
3.地域社会・お客さまの持続的成長を支えるための安定した経営基盤の確立
(3) 目標とする経営指標
「中期計画2020」では、計画最終年度である2023年度において達成すべき経営目標として、次の指標を掲げております。
「中期計画2020」における2023年度目標
(※1)広島銀行を除く連結子会社の当期純利益に出資比率を乗じた額の合計
(※2)グループ会社当期純利益(※1)を親会社株主に帰属する当期純利益で除したもの
(4) 経営環境
2021年度のわが国経済は、海外経済が回復傾向を辿る中、輸出が持ち直し、企業業績の改善を受けて、設備投資が底堅く推移したものの、新型コロナウイルス感染症に伴う供給面の制約等から生産が伸び悩んだほか、感染の拡大と収束が繰り返される中で、個人消費も一進一退で推移するなど、緩やかな回復にとどまりました。足下では、資源・エネルギー等の価格高騰に急激な円安進行が加わって、先行き不透明感が高まっています。
当地方の経済は、輸出や生産が全体として上向いたほか、設備投資にも持ち直しの動きが見られたものの、新型コロナウイルス感染症に対する警戒感が続く中で、個人消費が低調に推移するなど、回復テンポは緩やかなものにとどまりました。
(5) 対処すべき課題
国際社会を見てみますと、新型コロナウイルス感染症収束の目途が立たず、ロシアのウクライナ侵攻をはじめとした地政学リスクが高まる中、原燃料価格が高騰する等、政治・経済ともに不安定な状況です。また、米国の政策金利の引上げと日米の金融政策の乖離に伴う円安の進行に加え、日本国内においては人口減少・高齢化による地域経済の縮小に拍車がかかる中、資源高による物価の上昇や個人消費の低迷が見込まれる等、先行きの不透明な状況が継続しております。
一方で、コロナ禍は、企業活動や個人の行動様式・価値観に大きな変化をもたらしました。また、カーボンニュートラルの潮流は、その勢いを増しており、今後、当社グループの地元4県(広島・岡山・山口・愛媛)の地域経済に大きな影響を及ぼしていくことが見込まれます。
このような状況下、当社グループでは、2022年度を『「中期計画2020」の最終年度に向けた橋渡しとなる重要な年度』と位置付け、地域に根差した企業グループとして、地域社会・お客さまの課題解決に取り組むマーケットインの徹底による「お客さま本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)」の実践を通じて、持株会社体制を確固たるものにするべく、「中期計画2020」に掲げた戦略の着実な実行に加え、特に、以下の取組みに注力しております。
①アフターコロナを踏まえた地域社会・お客さまの本業支援への取組強化
長引くコロナ禍は、当社グループの地元4県の経済活動に大きな影響を及ぼしており、取引先企業においては、アフターコロナも見据えた事業の構造転換や生産性向上に資するデジタル化への対応の必要性が増しております。そうした中、当社グループは、広島銀行を中心に事業性評価を軸とした資金繰り支援、経営改善・事業再生支援に加え、事業転換や事業承継ニーズに対して従来の貸出金にとどまらないエクイティ性資金を提供する等、グループ各社の金融ソリューションの提供やコンサルティング機能の更なる発揮による本業支援を強化してまいります。
また、多様化するお客さまニーズに対し、人材派遣や福利厚生サービス等の人事・労務ソリューションに加え、IT・DX化支援をはじめとした非金融分野のソリューション提供の強化を通じて、地域社会・お客さまの成長、発展を支援してまいります。
②地域のカーボンニュートラルへの取組強化
広島県をはじめとした当社グループの地元4県は、自動車製造業や船舶関連業等が盛んな地域であり、気候変動や脱炭素社会への移行に伴う影響を特に強く受けることが懸念されており、地元企業における各種規制強化や技術革新による影響にとどまらず、製造業を中心とした地元地域の産業構造自体が大きく変革していく可能性もあります。一方で、新技術の開発による新たなイノベーションの創出等、当社グループのみならず、取引先企業においても新たな事業機会に繋がることも見込まれております。
そうした中、当社グループでは、サステナビリティ・リンク・ローンをはじめとした各種ソリューションの提供等、取引先企業のカーボンニュートラルに係る総合的なコンサルティングの展開を図るとともに、地元中核企業との連携等、各種アライアンスを活用した地域のカーボンニュートラル促進を図ってまいります。
また、2022年4月に新設した「経済産業調査部」を中心に、カーボンニュートラルが地場主要産業や地元経済に与える影響等に係る調査を実施し、調査・分析内容を反映した各種コンサルティングを提供してまいります。
加えて、当社グループ内のカーボンニュートラルに向けて、以下の目標を設定しております。
(※)GHGプロトコル(温室効果ガス算定及び報告基準)におけるスコープ1・2・3について
・スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼等)
・スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
・スコープ3:スコープ1・2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
引き続き、TCFD提言に基づく気候変動リスク・機会に係るシナリオ分析を踏まえた取引先企業とのエンゲージメントや開示の充実を図る等、地域のカーボンニュートラルへの取組みを強化してまいります。
③多様化するニーズに対応した個人戦略の展開
個人のお客さまにおいては、高齢化の進展や働き方を含めた暮らし方が多様化する中、各個人が生涯にわたって豊かな人生を送るためにも、人生の様々なライフプランやライフステージに沿った安定的な資産形成に取り組む重要性がますます増しております。
そのような中、当社グループでは、お客さまの将来の目指す姿や叶えたい夢を共有し、そのゴールに向かった伴走支援を行うゴールベースアプローチや、資産管理型ライフプランニングに基づくお客さまの資産形成に資するソリューションの提供を通じたストックビジネスの強化を図ってまいります。
具体的には、資産形成層に対して長期・積立・分散投資による中長期的な資産形成に資するサービスを提供するとともに、保障・相続ニーズを捉えたコンサルティング営業の強化に加え、銀証連携の強化による高度な運用提案やポートフォリオの見直し提案を行うことで、マーケット環境に左右されない安定したビジネスモデルへの移行を図ってまいります。また、ひろぎんアプリの機能強化等によるWeb完結型サービスの拡充やキャッシュレスサービスの拡充等、アライアンスの活用も含めた個人の囲い込み戦略を強化してまいります。
④新たな構造改革による効率的な業務運営体制の構築
当社グループでは、これまでも効率的な業務運営体制の構築に向け、各種業務プロセスの抜本的な見直しを進めており、業務及び経費削減の効果は表れてきております。今後は、当社が中心となり、当社グループ内に点在する共通事務等の集約を進めるとともに、業務のデジタル化を積極的に進め、筋肉質な収益構造への変革を進めてまいります。
こうした取組みを持続的に発展させていくために、当社グループでは、多様な人財が活躍できるダイバーシティ&インクルージョンの実現に向け、多様性確保に向けた以下の目標を設定するとともに、その取り組みを進めております。
(女性活躍関連目標)
(※1)管理職は労働基準法上の「管理監督者」及び同等の権限を有する者の合計
(※2)マネジメント職は管理職及び管理職の一つ手前の職位者の合計
(障害者雇用関連目標)
障害者雇用率については、民間企業に求められる法定雇用率を超える2.6%以上を目標に掲げ、積極的に雇用しております。
また、各従事者の専門性向上に資する人財育成に注力することにより、組織の活性化を図っております。こうした取組みを通じて、当社グループの持続的成長を実現するとともに、金融は勿論、非金融分野を含めたあらゆるニーズにお応えできる〈地域総合サービスグループ〉として、ステークホルダーの未来をひろげていきたいと考えております。
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