事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
 なお、以下の記載における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

(当社グループのリスク管理)

以下に記載したリスクのうち、(1)信用リスク及び(2)市場リスクについては、統計的手法であるバリュー・アット・リスクを用いて、一定の確率(信頼区間99.9%)のもと、一定期間(例えば1年間)に被る可能性のある最大損失額(リスク量)を計測し、把握しております。

これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの業績・業務運営に影響を及ぼす可能性があるため、各リスクカテゴリー毎にリスクリミットを設定し、その合計額が自己資本の範囲内に収まるよう管理を行っております。

また、当社グループでは、統合的リスク管理委員会において、各種のリスクシナリオが顕在化する蓋然性並びに当社グループの経営成績及び財務状況等への影響度の評価を行い、取締役会において、今後1年間で最も注意すべきリスク事象をトップリスクとして認識しております。

当該トップリスクに関しては、経営計画におけるリスクアペタイト方針やリスク管理方針等において対応方針を定め、その対応方針に基づき当社及びその子会社において各種戦略・施策を展開するとともに、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のリスク管理体制に基づき、リスク管理及び危機対応の体制を整備しております。

 

(特に重要なリスク)

(1)新型コロナウイルス感染症に関するリスク

新型コロナウイルス感染症は、各国政府による感染予防対策にも拘らず、世界的に感染拡大が継続しており、経済活動においても悪影響が生じております。また、今後の流行により、更なる景気の悪化及び長期化が発生した場合、以下のリスクが顕在化する可能性があります。

・貸出先、特に感染症防止を目的とした外出制限や自粛要請等により影響を受ける業種における経営状況の悪化等に伴う信用リスク

・金利・株価等の市場環境の悪化、混乱に伴う市場リスク及び流動性リスク

・当社グループ役職員の感染や感染拡大の長期化に伴う営業活動の自粛等に加え、面談を中心とした営業活動に対する顧客の価値観の変化等を受けた当社グループの営業活動の停滞等、営業戦略が奏功しないリスク

・当社グループの感染防止措置が不十分かつ当社グループにおいて集団感染等が発生した場合における、業務継続に必要な人材が確保できない人的リスクや当社グループに係る悪質な報道等がなされる風評リスク

・上記リスクの顕在化に起因する自己資本比率低下のリスク

当社グループでは、こうした感染症拡大を受け、地域総合サービスグループとして、取引先に対し円滑な資金供給等の資金繰り支援に加え、事業計画の策定・実行支援や経営改善支援チームを中心とした本業支援強化を含む総合的な伴走型支援の実施、モニタリング強化等を図り、取引先の経営状況の把握・管理を徹底しております。

また、取引先のウィズコロナ・ポストコロナにおける在宅勤務をはじめとした新たな働き方への対応や生産性の向上に向け、子会社であるひろぎんITソリューションズ株式会社を中心にこれまでの金融にとどまらないITソリューション等を提供しております。

加えて、役職員の安全確保及び感染防止の観点から、消毒・マスク着用の徹底に加え、時差出勤の励行や在宅勤務を推奨しております。

 

(2)気候変動リスク

近年、日本を含む世界各国政府が「脱炭素化社会への移行」に向けた取組みを加速させるなど、気候変動リスクへの対応は重要な課題となっております。

気候変動の影響による台風・豪雨等の自然災害は、その頻度及び損害が急速に増大しており、こうした「物理的リスク」が地域社会・経済にとって大きな脅威となっております。また、政府が地球温暖化対策として環境規制を導入する等、法務・税務面での規制強化に加え、当社グループが環境配意を怠ることでステークホルダーから見放されるといった「移行リスク」への対応が必要となっております。

こうした社会情勢の変化を受け、以下のリスクが顕在化する可能性があります。

・貸出先における本社・工場等の被災や、低炭素社会への移行の対応の遅れ等による競争力の低下等に起因する経営状況の悪化等に伴う信用リスク

・各ステークホルダーが当社に期待する環境問題への取組みに係る基準を下回った場合等における、当社の資本・資金調達等ができなくなる、不利な条件での取引を余儀なくされる又は一定の取引を行うことができなくなる流動性リスク及び当社グループに対するネガティブな報道に起因する当社株価に悪影響を及ぼす風評リスク

・大規模な自然災害が発生し、当社グループの役職員や店舗等が被災した場合における、営業活動の停滞等による営業戦略が奏功しないリスク、業務継続に必要な人材が確保できない人的リスク及び有形資産リスク

・上記リスクの顕在化に起因する自己資本比率低下のリスク

 

当社グループでは、こうした気候変動リスクが経営に与える定量的な影響を把握するための取組みを行うとともに、地域のカーボンニュートラル実現に向けて、〈地域総合サービスグループ〉として本業を通じた取組みを一層進めていくことを目的として、温室効果ガス排出量削減とサステナブルファイナンスの中長期目標を以下のとおり設定しております。

 

①温室効果ガス排出量削減の目標設定

(ⅰ)2030年度までに当社グループによる温室効果ガス排出量(スコープ1・2 )のカーボンニュートラルの 達成を目指す

(ⅱ)2050年度までに投融資ポートフォリオを含めたサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量(スコープ1・2・3 )のカーボンニュートラルの達成を目指す

 

(※)GHGプロトコル(温室効果ガス算定及び報告基準)におけるスコープ1・2・3について

・スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼等)

・スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出

・スコープ3:スコープ1・2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

 

②サステナブルファイナンスの目標設定

(ⅲ)2021年度から2030年度までに環境・社会課題の解決に資するサステナブルファイナンス(投融資)を 累計2兆円(うち環境ファイナンス1兆円)実行することを目指す

 

 

この中長期目標の達成のため、当社グループ自身によるカーボンニュートラルに向けた対応として、「サステナビリティ基本方針」の制定及び「グループサステナビリティ推進委員会」の新設等の組織体制の整備を実施するとともに、子会社である株式会社広島銀行にて環境省より採択を受けた「TCFD提言に沿った気候リスク・機会のシナリオ分析パイロットプログラム支援事業」への参画を通じ、気候変動リスク・機会の分析・把握に取り組みました。今後、当社グループによる温室効果ガス排出量の主要削減施策の具体化、TCFD提言に基づく気候変動対応の高度化及び開示の質と量の充実化を進めてまいります

また、当社グループの取引先においても、気候変動リスクへの対応は喫緊の課題となっております。そこで、子会社である株式会社広島銀行及びひろぎんリース株式会社を中心に、カーボンニュートラルに向けたグリーン化設備の導入など、お客さまの多様な設備ニーズに対するグループソリューション提供強化を図っております。加えて、自動車製造業や船舶関連業をはじめとした地元の主要産業の産業構造が大きく転換する可能性があり、そうした社会構造の変革を踏まえた取引先企業のカーボンニュートラルに係る総合的なコンサルティングを展開しております。

 

当社グループによる取引先企業のカーボンニュートラルに係る総合的なコンサルティングの展開


 

(その他重要なリスク)

(1) 信用リスク

当社グループの不良債権は世界経済の変動、国内景気の動向、業種の盛衰、不動産価格並びに株価・為替の変動及び貸出先の経営状況等によって増加する可能性があります。
 当社グループでは不良債権に対し、貸出先の状況、差入れられた担保の価値及び経済全体に関する前提及び見積りに基づいて貸倒引当金を計上しております。また、大口債務者のうち、将来キャッシュ・フローを合理的に見積もることができる債権については、キャッシュ・フロー見積法により貸倒引当金を計上しております。
 しかし、貸出先の経営状況の悪化、担保価値の下落等が貸倒引当金計上時の前提と大きく乖離する場合、貸倒引当金が不十分となり貸倒引当金の積み増しをせざるを得なくなる可能性があります。
 また、経営状況が悪化した先に対し、債権放棄又は追加貸出等を行って支援をすることもありえます。さらに、担保権を設定した不動産又は有価証券等に対し、流動性の欠如や価格の著しい下落等を要因として担保権の執行が事実上できない可能性があります。
 このような事態が生じた場合には当社グループの与信費用が増加し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
 なお、当社グループにおいては、こうしたリスクに対し、厳正な審査を実施するとともに、経営改善が必要となった取引先に対して、営業店と本店部の連携による資金繰り支援の徹底や事業再構築補助金等の活用に加え、経営改善支援チームを中心とした本業支援強化などの総合的な伴走型支援を行っております。また、子会社である株式会社広島銀行においては、貸出金ポートフォリオに占める割合を勘案する中、一定の業種に係るモニタリングを強化しております。

 

(2) 市場リスク

当社グループでは市場取引関連業務において、有価証券投資をはじめ様々な金融商品での運用を行っています。こうした活動には金利、為替レート、株価及び債券価格の変動等のリスクがあり、例えば以下のようなリスクが顕在化した場合には当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
 なお、当社グループでは、こうしたリスクに対し、流動性が高く安全性の高い資産への分散投資を基本とした適切な有価証券ポートフォリオ管理を徹底するほか、各種保有限度額や評価損益に対する損失管理ポイントの設定等による管理を徹底しております。
 

①金利変動のリスク

当社グループは国債等市場性のある債券を保有しています。今後金利が上昇した場合、当社グループが保有する国債をはじめとする債券のポートフォリオの価値が低下し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、金利が著しく低下した場合、適切な利回りが確保できない可能性があります。

②為替変動のリスク

当社グループの業務は為替レート変動の影響を受けます。円高が進行した場合には外貨建て取引の円換算額が目減りすることになります。さらに、資産及び負債の一部は外貨建てで表示されており、外貨建ての資産と負債の額が各通貨毎に同額で相殺されない場合又は適切にヘッジされていない場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

③株価下落のリスク

当社グループは市場性のある株式を保有しています。株価が大幅に下落する場合には保有株式に減損または評価損が発生し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 流動性リスク

格付機関により当社及び子会社である株式会社広島銀行の格付けが引き下げられた場合、当社グループを含む日本の銀行及びその他の金融機関の財政状態が悪化した場合又は市場環境が悪化した場合、予期せぬ資金の流出等により、当社グループの資本・資金調達等ができなくなる、不利な条件での取引を余儀なくされる又は一定の取引を行うことができなくなる可能性があります。
 このような事態が生じた場合には当社グループは資金調達費用の増加等により、市場取引関連業務及び他の業務の収益性が低下し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
 なお、当社グループでは、こうしたリスクに対し、一定の資金流出を前提とした運用・調達コントロールの実施や、市場性資金の調達状況及び市場からの評価等のモニタリングによる管理を徹底しております。

 

(4) オペレーショナルリスク

①事務リスク

当社グループにおいて、大きな賠償に繋がるような事務事故が発生した場合、当社グループの評価に重大な影響を及ぼすとともに、当社グループの業績及び株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
 なお、当社グループは、こうしたリスクに対し、事務規定に基づき厳正な事務処理を徹底し、事務事故の未然防止に努めております。

 

②システムリスク

当社グループはコンピュータシステムの停止・誤作動又は外部からのサイバー攻撃、その他の不正アクセス、コンピューターウイルス感染が発生する等、重大なシステム障害が発生した場合、業務の停止や情報流出、それに伴う損害賠償の負担等が発生する可能性があります。その結果、当社グループの業績及び株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
 なお、当社グループでは、こうしたリスクに対し、システムリスク管理規程に基づき、システムの安定稼働やセキュリティ対策に万全を期すほか、厳格な情報管理を行うなど運用面での対策を実施しております。

③人的リスク

当社グループは多数の従業員を雇用しておりますが、人財の確保や育成が不十分である場合、当社グループの競争力や効率性が低下する等、当社グループの業績及び株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
 なお、当社グループでは、こうしたリスクに対し、グループ一体となった採用活動及び研修体系の構築を行うとともに、グループ内の人財交流、シニア人財の活用、ダイバーシティの推進、他業態等からの専門性の高いキャリア人財の採用等により、人財の戦略的配置を実施しております。

④コンプライアンスリスク

当社グループはコンプライアンスを経営の最重要課題の一つとして位置付け、態勢強化に努めておりますが、法令等遵守及び社会的規範の遵守が十分でなかった場合や、それに起因する訴訟等が提起された場合、当社グループの評価に重大な影響を及ぼすとともに当社グループの業績及び株価に悪影響を及ぼす可能性があります。また、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与等の金融犯罪防止に係る態勢強化に努めておりますが、想定の範囲を超える大規模な金融犯罪等に利用された場合、業務の停止及び不測の損失等が発生するとともに、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
 なお、当社グループでは、こうしたリスクに対し、各種研修をはじめとした社内啓発を実施すること等により、法令及び社会的規範並びに各種ルール等遵守の徹底を図っております。

⑤有形資産リスク

当社グループは、店舗等の有形資産を保有及び賃借しておりますが、自然災害や不法行為、不適切な資産管理等により、毀損、焼失又は劣化した場合、当社グループの業務遂行に支障をきたす可能性があります。また、保有する固定資産の使用目的の変更、収益性の低下及び価額の下落等が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
 なお、当社グループでは、こうしたリスクに対し、台風・水災や大地震・津波等を想定した対策の実施に加え、老朽化店舗や設備等への計画的な対応を行っております。

⑥風評リスク

銀行業界及び当社グループに対するネガティブな報道、悪質な風説が流布された場合、それが正確かどうかにかかわらず又は当社グループに該当するか否かにかかわらず、当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
 なお、当社グループでは、こうしたリスクに対し、透明性の高いディスクロージャーの実施に加え、風評リスクに関する情報の管理徹底を行っております。

 

(5) その他当社グループの業績等に影響しうる他のリスク

①自己資本比率低下のリスク

当社グループは海外営業拠点を有しておりませんので、当社の連結自己資本比率並びに子会社である株式会社広島銀行の連結自己資本比率及び単体自己資本比率について、国内基準(4%)の維持が必要となります。
 当社グループの自己資本比率が要求される水準を下回った場合には、金融庁長官から業務の全部又は一部の停止等を含む様々な命令を受けることとなります。
 当社グループの自己資本比率は以下のような要因により影響を受ける可能性があります。

・株式を含む有価証券ポートフォリオ価値の下落

・不良債権増加に伴う与信費用の増加

・自己資本比率の基準及び算定方法の変更

・本項記載のその他の不利益な展開

②退職給付債務等に関するリスク

当社グループの年金資産の時価が下落した場合、当社グループの年金資産の運用利回りが低下した場合又は予定給付債務を計算する前提となる数理上の前提・仮定に変更があった場合には損失が発生する可能性があります。また、年金制度の変更により過去勤務費用が発生する可能性があります。金利環境の変動その他の要因も年金の未積立債務及び年間積立額にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。

③規制変動リスク

当社グループは現時点の規制(法律、規則、政策、実務慣行、解釈等を含む)に従って業務を遂行しております。将来これらの規制の変更並びにそれらによって発生する事態が当社グループの業務遂行や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。しかし、どのような影響が発生しうるかについて、その種類・内容・程度等を予測することは困難であります。

④競争に関するリスク

近年金融機関の業務における大幅な規制緩和により業態を超えた競争が激化してきております。また、当社グループの営業基盤である広島県ではメガバンク・近隣他行等の営業攻勢から競争が激化しております。
 当社グループがこうした事業環境において競争優位を得られない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤当社グループの営業戦略が奏功しないリスク

当社グループは収益基盤の強化のために様々な営業戦略を実施していますが、以下に述べるものをはじめとする様々な要因が生じた場合にはこれら戦略が功を奏しないか、当初想定していた結果をもたらさない可能性があります。

・優良な貸出金の量の増大が進まないこと
 ・貸出金について適切な利回りが確保できないこと
 ・手数料収入の増加が期待通りの結果とならないこと
 ・経費削減等の効率化を図る戦略が期待通りに進まないこと
 ・取引先への経営改善支援が期待通りに進まないこと

⑥地域の経済動向に影響を受けるリスク

当社グループは広島県及び近隣3県(岡山県、山口県、愛媛県)を地元と位置付け、主要な営業基盤としていることから、これら地域経済の動向が当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑦自然災害・感染症の発生によるリスク

当社グループは国内に営業拠点を有しており、各拠点において、豪雨災害をはじめとした自然災害や感染症等に係る想定をはるかに超える状況が発生し、当社グループの役職員、店舗等の設備及び取引先が被害を受けた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑧持株会社のリスク

当社は銀行持株会社であるため、その収入の大部分を傘下の銀行子会社から受領する配当金等に依存しております。一定の状況下で、様々な規制上又は契約上の制限により、その金額が制限される場合があります。また、銀行子会社が十分な利益を計上することができず、当社に対して配当等を支払えない状況が生じた場合には、当社株主に対する配当の支払いが不可能となる可能性があります。

 

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