業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。当連結会計年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。当該会計基準等の適用が財政状態及び経営成績等に与える影響の詳細については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)連結財務諸表 注記事項」の(会計方針の変更)と(セグメント情報等)をご参照ください。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動縮小から正常化に向かう動きを見せつつありますが、ウクライナ情勢等による不透明感も相まって、依然として厳しい状況が続いております。

このような状況のもと、当社グループは継続した感染予防策をとることでお客様や従業員の安全を図りつつ、第10次中期経営計画(2022年6月期から2024年6月期)の目標達成に向けた取り組みを実行してまいりました。

「テプラ」や「ファイル」といった基盤事業のさらなる強化を図りつつ、インテリアライフスタイル事業や衛生・健康用品の拡販、M&Aによる事業領域拡大に注力しております。第2四半期連結会計期間では、インテリアライフスタイル事業の飛躍的な拡大を実現するべく、ライフオンプロダクツ㈱を子会社化いたしました。同社は、生活家電や雑貨、ルームフレグランス等の各種商品の企画・販売等を行っております。同社と、商品調達・品質管理を共同で行うことによる効率化に加え、グループ内の海外を含む販路を相互に活用した売上拡大を図ってまいります。また、当社グループでは、コーポレートメッセージ「おどろき、快適、仕事と暮らし」を策定いたしました。これまで事業の中心としていたビジネスシーンに加え、暮らしにおいても、おどろきと快適さを提供してまいります。当連結会計年度の業績につきましては、半導体不足に伴う「テプラ」の品切れや生産国のロックダウンによるファイルの品切れの影響が長引き、大幅な販売減はありましたが、第3四半期連結会計期間から連結対象となったライフオンプロダクツ㈱の売上寄与により、売上高は 366億3,651万円(前連結会計年度比 0.9%増)となりました。利益面では、急激な円安や原材料価格・物流費等の高騰に伴う売上原価率や販売管理費率の上昇により、営業利益は 10億760万円(前連結会計年度比 58.3%減)、経常利益は 13億3,859万円(前連結会計年度比 51.4%減)、販売物流システム再構築プロジェクトにおける要件定義の見直しにより、特別損失1億500万円を計上したこともあり、親会社株主に帰属する当期純利益は 7億8,878万円(前連結会計年度比 59.8%減)となりました。

 

セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

・文具事務用品事業 

電子製品におきましては、基盤事業のさらなる強化として、「テプラ」におきましては、最上位モデルとなる「SR-R980」を発売いたしました。また、衛生・健康用品では、室内のCO2濃度を表示できる「卓上CO2モニター」、ライトとブザーで換気のタイミングをお知らせする「換気を促すCO2モニター」、大きな表示で見やすい「ザラージCO2モニター」を発売いたしました。オフィス・生活環境用品では、音響設備が不要なスピーカーとマイクが一体型となった拡声器「スピーカー付きマイク」が、学校や公共施設の備品として好評を博しています。ウインセス㈱では、好調な半導体工場や製薬会社向けのクリーンルーム用手袋が売上に貢献しました。

ステーショナリーにおきましては、表紙に差し込むだけで複数のクリアーホルダーをまとめて収納・閲覧ができる「ホルサッククリアーホルダーファイル」や、書類をホチキス留めされた感覚でナナメにめくれる書類収納用品「ナナメクリファイル」「ナナメクリホルダー」、自立するクリアーファイル「ジリッツ」のサイドインタイプなど、新機能を追求した製品の発売により、需要の拡大を図りました。また、原材料費や物流費の高騰が続いている中、2021年12月より一部商品の価格改定を行い、収益の確保に努めております。成長分野への注力としては、雑貨・家庭用品や新しい働き方・暮らし方に向けた新製品の投入に軸足を置いております。女子文具のブランド「HITOTOKI(ヒトトキ)」シリーズとして、マスキングテープ「KITTA」「SODA」の新製品や、“手帳のように使える”ノート「HITOTOKI NOTE」を発売いたしました。

しかしながら、「テプラ」やファイルの品切れの影響により、売上高は 260億6,074万円(前連結会計年度比 5.9%減)、急激な円安や原材料価格・物流費の高騰により、営業利益は、5億2,671万円(前連結会計年度比 67.7%減)となりました。

・インテリアライフスタイル事業

㈱ぼん家具では、楽天スーパーセールや超PayPay祭といったECモールのセール企画を活用し、収納用品を中心に売上を伸ばしました。㈱ラドンナでは、主力のキッチン家電が引き続き好調に推移し、販売面ではEC店舗の新規開拓も進み、売上が伸長しています。㈱アスカ商会では、主力の花類がブライダル需要の復調やフォトスタジオなどの装飾関連で売上を回復しました。また、オフィス装飾需要の取り込みに成功したグリーン・観葉類も引き続き好調でした。2021年11月よりグループ入りしたライフオンプロダクツ㈱では、均一系店舗への販売強化を行い、新たに美容家電を受託するなど大きな成果を上げることができました。

この結果、前期好調であった㈱ぼん家具の反動減はあったものの、㈱ラドンナと㈱アスカ商会は増収となったことに加え、グループ入りしたライフオンプロダクツ㈱の加算もあり、売上高は 105億7,577万円(前連結会計年度比 22.6%増)、急激な円安や仕入価格の上昇による売上原価率の上昇や、ライフオンプロダクツ株式取得費用の計上等による販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は4億6,279万円(前連結会計年度比 39.3%減)となりました。

 

また、財政状態の状況については、次のとおりであります。

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して 29億4,694万円増加し、335億1,218万円となりました。これは主に、現金及び預金が減少した一方で、商品及び製品や第2四半期連結会計期間におけるライフオンプロダクツ㈱の株式取得によるのれんの増加等によるものであります。

負債は、前連結会計年度末と比較して 28億3,321万円増加し、92億8,026万円となりました。これは主に、ライフオンプロダクツ㈱の株式取得のための資金需要、および運転資金需要等として短期借入金と長期借入金が増加したこと等によるものであります。

純資産は、前連結会計年度末と比較して 1億1,373万円増加し、242億3,191万円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金が減少した一方で、利益剰余金や為替換算調整勘定が増加したこと等によるものであります。

 

  ② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して 13億9,553万円減少し、56億3,738万円(前連結会計年度比 19.8%減)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は、12億7,830万円(前連結会計年度は 31億800万円の資金獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益 12億2,457万円や減価償却費6億5,896万円等があった一方、棚卸資産の増加額 13億423万円や法人税等の支払額 10億4,014万円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ 30億8,670万円増加し、35億7,878万円となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入6億1,321万円があった一方、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出 27億7,384万円や定期預金の預入による支出6億3,220万円、有形固定資産の取得による支出5億853万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ 45億8,897万円増加し、32億664万円となりました。これは主に、配当金の支払額7億6,775万円があった一方、長期借入れによる収入 30億円や短期借入金の純増額 10億円等によるものであります。

 

 

③ 生産、受注および販売の状況

イ.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、文具事務用品のみ生産活動を行っております。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

文具事務用品事業

電子製品

17,714,286

94.3

ステーショナリー

8,827,313

89.6

合計

26,541,599

92.7

 

(注) 金額は標準出荷価格で表示しております。

 

ロ.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

文具事務用品事業
 ステーショナリー

1,253,836

103.7

35,131

206.5

 

(注) 当社および連結子会社においては、大部分は見込生産であり、特注品のみ受注生産であります。

 

ハ.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

文具事務用品事業

電子製品

16,730,111

94.8

ステーショナリー

9,330,631

92.9

文具事務用品事業計

26,060,742

94.1

インテリアライフスタイル事業

10,575,773

122.6

合計

36,636,516

100.9

 

(注) 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

アスクル㈱

5,377,957

14.8

5,205,827

14.2

エコール流通グループ㈱

4,877,286

13.4

4,539,672

12.4

 

 

 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

  ① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

 イ.売上高

「第2[事業の状況] 3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]   (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 ロ.売上原価、販売費及び一般管理費

当連結会計年度の売上原価につきましては、急激な円安や原材料価格の高騰により、売上原価率は 63.2%となり、前連結会計年度の売上原価率 60.2%より 3.0ポイントの上昇となりました。

販売費及び一般管理費につきましては、物流費等の高騰により売上高に対する割合は 34.0%となり、前連結会計年度の 33.1%より 0.9ポイントの上昇となりました。

 ハ.営業利益

当連結会計年度の営業利益につきましては、売上高は増加しましたが、売上原価率と販売管理費率の上昇により 10億760万円(前連結会計年度比 58.3%減)となりました。

 ニ.親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、特別損失1億1,557万円を計上したことにより、7億8,878万円(前連結会計年度比 59.8%減)となりました。

 

  ② 経営成績に重要な影響を与える要因について

    「第2[事業の状況] 2[事業等のリスク]」をご参照ください。

 

  ③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報

 イ.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

「第2[事業の状況] 3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 ロ.資本の財源および資金の流動性に係る情報

当社グループの主な資金需要は、原材料調達や製品の製造費用、商品仕入費用、販売費及び一般管理費等の運転資金、企業価値向上を目的とした各種設備投資資金、また、事業拡大の一つの手段として実施しているM&Aのための資金等であります。これらは、自己資金、借入金により調達しております。

 

  ④ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

詳細につきましては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」をご参照ください。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りのうち、特に重要なものは以下のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症による今後の影響等を含む仮定に関する情報は、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

(棚卸資産)

「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照ください。

 

(固定資産の減損)

当社グループは、原則として継続的に収支の把握を行っている管理会計上の区分を考慮し資産のグルーピングを行い、遊休資産については個別に資産のグルーピングを行っております。固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、この検討は一定の仮定に基づき見積もった割引前将来キャッシュ・フロー等を基に行っております。対象となる資産または資産グループの帳簿価額に減損が生じていると判断した場合、その帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上します。

減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定にあたっては、将来キャッシュ・フロー等の見積りやその前提となる仮定を用いており、今後、経営環境等の変化により前提条件や仮定に変動が生じた場合には、固定資産の減損処理に影響を及ぼす可能性があります。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

繰延税金資産については、将来の利益計画に基づく課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で計上しております。市場環境の変化等により、課税所得の見積額が減少した場合は、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。

 

    ⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、2024年6月期を最終年度とする第10次中期経営計画において、「成長分野への注力」と「基盤事業の更なる強化」の方針に基づき、売上高 480億円、経常利益 34億円、経常利益率 7.0%、自己資本当期純利益率(ROE) 9.0%を目標としております。

 初年度である当連結会計年度においては、売上高 366億円、経常利益 13億円、経常利益率 3.7%、自己資本当期純利益率(ROE) 3.3%となりました。

 

 なお、経営者の問題認識、今後の方針については、「第2[事業の状況] 1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等] (4)会社の中長期的な経営戦略と対処すべき課題」をご参照ください。

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