課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、『地域住民への生活モデルの提供を通して、地域社会になくてはならない存在であり続けること』を企業の基本理念としており、『「楽しい」「うれしい」「おいしい」の価値創造を通じお客様の心を豊かにする暮らしの元気パートナーとして、地域社会と子どもたちや地球の未来に貢献したい』というビジョンのもと、グループ全体のさらなる企業価値向上を目指しております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、成熟した市場環境の中で将来にわたり継続的に企業価値の向上を図るために、セグメント毎の営業利益、売上高営業利益率を重視して事業の成長性と収益性を高め、連結の自己資本当期純利益率(ROE)の向上を目指してまいります。

 

(3)経営環境、中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

2021年7月に長期事業構想2030および2021年度を初年度とする中期経営計画を公表いたしました。お客様とのダイレクトなコミュニケーションによる継続的な強くて深い関係を基に、様々な商品やサービスをパーソナルに提供する「コミュニケーションリテイラー」として、地域とともに成長し続けていきたいと考えています。

[長期事業構想]


 

1.既存事業の再建・磨き上げ

●百貨店事業の再建

コスト構造改革を進めると同時に、デジタルを活用したOMOの推進と、阪神梅田本店建て替え開業、神戸阪急と高槻阪急のリモデルを軌道に乗せることにより、「楽しさNo.1」の百貨店として、営業利益150億円以上の規模を着実で安定的に持続することができる事業体を目指します。

 

●食品事業の「第二の柱」化

業務の徹底的な見直しと生産性向上への取り組み、イズミヤ・阪急オアシスの業務統合に伴うコスト削減や原価率低減を図ることで、営業利益100億円をコンスタントに稼ぎ出すことができるよう、改革を進めます。

 

●商業施設事業を収益体として確立

ショッピングセンターとビジネスホテルを中心に、営業利益30億円を確保する収益体を目指して、営業力強化と運営の効率化を進めます。

 

2.新市場への展開

店舗商業における新しい市場への機会拡張として、10年後にはグループの収益核のひとつとなるべく、まずは2021年4月に開業した寧波阪急事業を地域一番店として確立し、阪急うめだ本店と連携して、寧波・浙江省の富裕層・アッパー層に向けたハイエンドコンテンツ・ジャパンコンテンツの提供や、EC、関連事業の展開を図ります。

 

3.新事業モデルへの挑戦

これまで培ってきた関西の市場と顧客基盤を活かして事業モデルを拡張する挑戦として、顧客サービス事業に取り組みます。マスマーケットで広く利用される食を中心としたオンライン軸のサービスコンテンツ開発や宅配事業の強化、リアル店舗との連携、ローソン社や大阪府などアライアンスによるネットワークづくりを通じて、関西エリアでの新たなサービス事業化を目指します。そこで得られた顧客データと開発した機能をプラットフォーム化し、B2Bビジネスに展開することで、新たなグループ収益核事業に育てていきたいと考えています。

 

●IT・デジタル化推進によるインフラ整備

コミュニケーションリテイラーの実現を支えるものとして、IT基盤の整備、デジタル技術を活用したOMOスタイルの確立、グループデータ基盤の構築を行うことで、顧客データを活用した新たな関西ドミナント化戦略の展開に備えます。

 

 

[中期経営計画]

また、2021年度から2023年度の中期経営計画においては、コロナ禍前の営業利益水準への回復を目標に、以下の項目を重点項目と定め、長期事業構想実現に向けて取り組みを推進します。

 


 

※上記表内の数値は、中期経営計画の公表時点(2021年7月28日)のものとなります。

 

[サステナビリティ経営]

さらに、サステナビリティ経営につきましては、2021年4月より「地域社会への貢献」を柱にした3つの重点テーマと2つの基本テーマをグループの「重要課題(マテリアリティ)」と位置づけ取り組みを推進しております。

 


 

 

地域社会への貢献を目指して、千里中央公園(大阪府豊中市)の活性化事業受託をはじめとする地域の絆を深める取り組み、イズミヤ門真店「子どもLOBBY」をはじめとする地域の子どもたちを育む取り組み、阪急うめだ本店におけるエコなアクション提案「GOOD FOR THE FUTURE」をはじめとする地域の自然を守り引き継ぐ取り組みを推進しています。また、これらの取り組みにグループ横断で参画できる機会づくりとして、一部で4月よりボランティア休暇制度を導入いたしました。

さらに、環境課題への中期的な取り組みとして、事業活動で発生する環境負荷(CO2排出、フードロス、プラスチック排出等)を低減するための環境マネジメントを推進します。

 

●温室効果ガス

GHG排出量削減率を2030年30%削減(2019年度比 ※2013年度比48%削減相当)、2050年ネットゼロを目指します。※主要14社対象

 

●食品リサイクル率

2030年に70%(2023年60%)を目指します。※ 主要3社対象

 

[各事業の課題と取り組み]

「百貨店事業」では、グループビジョンを受けて『お客様の暮らしを楽しく 心を豊かに 未来を元気にする 楽しさNo.1百貨店』の実現を目指しております。グループのハブ拠点である阪急本店と2022年4月に建て替えグランドオープンを迎えた阪神梅田本店を中心に、リアル店舗を軸にした価値創造とオンラインを活用した顧客コミュニケーション強化により、新しいショッピング体験の提供と事業モデル開発を進めるとともに、2022年度以降は競争力強化のため神戸阪急・高槻阪急のリモデルにも着手いたします。また、2021年度は営業黒字への回復を果たしましたが、損益分岐点引下げのため、コスト構造改革を引き続き継続して進めてまいります。

「食品事業」では、営業利益拡大を目指し、主力の食品スーパーの更なる競争力強化と収益向上に取り組んでまいります。従来から取り組んでいるイズミヤ株式会社と株式会社阪急オアシス両社の食品スーパーの運営機能統合を契機とした事業改革をさらに推し進め、マーケット対応力を高めた事業モデルの構築とチェーンオペレーション運営力の再構築、製造と販売の一元的運営による営業力の強化を加速していきます。また、2021年12月に経営統合した株式会社関西スーパーマーケットも含めSM事業3社を一元的に運営し、店舗オペレーション、商品政策、決済、物流、プライベートブランド、改装・出店計画、ITデジタル化などの面で相乗効果を図るべく具体的な計画化を進めてまいります。

「商業施設事業」では、2020年4月にイズミヤ株式会社より分割した株式会社エイチ・ツー・オー 商業開発(イズミヤSC)が、直営事業縮小とSC化推進により、当初予定より1年前倒しで2021年度の営業黒字化を達成しており、今後さらに収益力を高めるとともに、「地域との絆」を深める活動を推進し、顧客マインドシェア向上を図ります。また、ビジネスホテルを運営する株式会社大井開発では、コロナ禍の逆風の中、ITの活用によるローコスト運営化と営業力強化により黒字転換し、今後アフターコロナを見据えたさらなる収益力向上に努めます。

さらに、関西エリアにおいて多彩な顧客接点を持つ特性を活かし、ITデジタルを活用し、オンラインを軸とした食領域のサービスをはじめとした新たな顧客サービス事業の開発に取り組み、グループ顧客基盤拡大のため新しいビジネス領域に挑戦してまいります。

2020年から続く新型コロナウイルス感染症がいまだに収束を見通せない中、中期経営計画に基づく各事業の取り組みで収益回復を図り、足元のコストコントロールや資産効率化だけでなく、コロナ後の事業展開加速の準備も同時に進めてまいります。

併せて、サステナビリティ経営を積極的に推進し、ステークホルダーの皆様からの信頼に応えることでさらなる企業価値向上に努めてまいります。

 

 

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