課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は、「美と健康」に関する生活必需品をフルラインで安定的に供給する企業として、高品質・ローコストの物流機能と小売業の利益経営に貢献する営業機能を両輪に、メーカーから小売業に至るまでのサプライチェーン全体の最適化・効率化に貢献する中間流通業を目指すことを基本方針としております。

 

(2)経営環境及び優先的に対処すべき課題等

当社が属する化粧品・日用品、一般用医薬品業界においては、労働人口減少による人手不足により、人件費や配送費の上昇が続いており、将来においてもこの影響はさらに大きくなると予測しております。また、新型コロナウイルス感染症がもたらしたニューノーマルへの対応や、持続可能な企業・社会を目指した動きの加速など、当社を取り巻く環境は多様化かつ複雑化しております。

このような環境のなか、今後迅速な対応がより重要性を増すと予想され、当社は以下の課題を優先的に対処すべき課題と認識し、これに対応すべく中期経営計画における重点戦略を定め取り組んでまいります。

 

《マテリアリティ(重要課題)》

①事業活動・強みを活かして解決すべき課題

・当たり前の日常を支える  ・持続可能な流通の構築  ・環境への配慮

②自らの強みとすべき課題

・パートナーシップ(連携・協働)  ・人財、組織  ・イノベーション(デジタル活用)

 

(3)経営戦略等

当社の事業エリアである化粧品・日用品、一般用医薬品業界は、気候変動に伴う自然災害の多発や新型コロナウイルス感染症の流行など人々の生活を脅かす環境の中にあっても、「当たり前の日常を支える」エッセンシャルな事業エリアであります。同時に、当社売上高は1兆円を超え、年間35億個(国民一人当たり換算で30個)を生活者の皆様にお届けする企業として、当社の果たす役割は非常に重要性が増しております。

このような観点から、当社が有するマーチャンダイジングや物流などの中間流通機能をさらに高め、「安心・安全」はもとより「高効率」な流通プラットフォームを提供できる企業基盤を構築し、小売業様、メーカー様をはじめとしたステークホルダーの皆様との連携・協働を加速させ、社会のニーズに柔軟に対応することにより、持続的成長を果たしてまいります。

具体的には、「輝く未来へ ~サプライチェーンとともに歩む~」をビジョンとする3か年の中期経営計画(2022年3月期から2024年3月期)の中で、次の重点戦略を取り組んでまいります。

また、取り組みの達成状況を判断するための指標として事業活動の成果を示す売上高及び営業利益、並びに当社の生産性を推し量る販管費率を定めております。中期経営計画の最終年度である2024年3月期は以下の目標を設定しております。

 

①売上高    1兆1,250億円

②営業利益      290億円

③販管費率       5.29%

 

①激変する環境に対応する「リテールソリューション力の強化」

「ニューノーマル」と言われるような、従前の常識が通用しない変化が流通業界にも起こっております。「生活者に商品がわたる現場(店頭)」を重視し、前回の中期経営計画において機能強化を目的に設置した店舗支援本部、SCM本部、EC事業部をはじめ各部門と営業部門との連携・協働により、マーチャンダイジングや生産性向上など流通全体の幅広い課題に対応できるソリューション力を強化してまいります。

 

②安心・安全・高効率を追求する「ロジスティクスソリューション力の強化」

当たり前の日常を支える「安心・安全」を基本に据え、高効率のロジスティクス機能を引き続き強化してまいります。既存センターにおける継続的な改善を進めるとともに、「新物流モデル」を活用した新センター建設により出荷キャパシティ拡大を進めてまいります。同時にホワイト物流など、「配送課題」の解決に向けた取り組みを進めてまいります。

 

③価値提供の仕組みを支える「システム機能の強化・デジタル化の推進」

当社の価値提供の仕組みを支えるシステム機能の強化は、生産性及び対応スピード向上を実現するためには欠かすことができない「扇の要」であります。増大するサイバーリスクに対応するためのセキュリティ強化はもとより、基幹システム刷新やデジタル人財の育成・確保などにより、守りから「攻めのIT」へ転換を進め、急速に変化する現場ニーズに対応してまいります。さらに業務の効率化や提供価値の向上など、将来のデジタルトランスフォーメーションに向けた体制を強化してまいります。

 

④持続的成長の源泉「人財・組織の強化」

当社従業員の多様性を活かしながら、経営理念(PALTAC MIND)の浸透を図り、当社の事業戦略を実現できる組織強化を進めてまいります。人財面では、現場力や専門知識などのスキル向上を進め、チャレンジ精神やグリット(やりきる力)など、従業員に備わっている強みを最大限に引き出す取り組みを進めてまいります。また、組織面では、人財が活躍できるよう、デジタル技術を活用するなど、各部門が連携・協働できる体制を整え、組織として総合力を発揮できる基盤を構築してまいります。

 

⑤ESG、SDGsを重視した経営

当社は、化粧品・日用品、一般用医薬品などの生活必需品を扱う中間流通業者であります。企業活動を通じて、持続可能な社会に向けたSDGsの達成に貢献するとともに、「人々の豊かで快適な生活の実現」を目指しております。本中期経営計画においても流通段階に存在するムダを排除し生産性向上に努めることで、社会的価値の提供や環境負担軽減にも貢献できると考えております。このような考え方を基本に、効率的かつ有効なガバナンス体制の強化を進め、社会インフラ企業として持続的成長を果たしてまいります。

 

(注)SCM(Supply Chain Management)とは、生産された商品が生活者にわたるまでの流通過程全体を視野に、商品や情報等の流れを最適化・効率化するための手法のことをいいます。

 

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