事業等のリスク

2【事業等のリスク】

当社では、当社を取り巻くリスクについて経営レベルで議論を行い、的確にリスクを把握することに努めております。こうして把握したリスクに対して、影響度や発生可能性を勘案し「重要なリスク」を特定しております。

 

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)労働人口減少に関するリスク

 当社は、多くの従業員により事業活動を行っておりますが、昨今の労働人口減少により人件費の高騰や人材の確保が難しくなっております。このため、魅力ある職場環境や人事制度の構築、既存物流センターの改善活動による生産性の向上、及び大幅に生産性を向上させる新物流モデルの開発などに取り組み、労働人口減少に向けた対応を行っております。しかしながら、今後労働人口の減少の予期せぬ進展により、さらなる人件費の高騰や計画どおりに人材を確保できない場合は、事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)配送に関するリスク

当社は、物流センターを起点として小売業へ商品配送を行っており、配送については全面的に外部の配送業者へ委託しております。現在、配送業者と良好な関係を構築しておりますが、今後の配送業者における人手不足が深刻化するなどした場合には、当社が負担する配送費が増大するなど事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)事業環境の変化に関するリスク

当社が属する化粧品・日用品、一般用医薬品業界において、業種・業態を超えた競争の激化やM&Aによる規模拡大が続いております。このため、当社では取引先のニーズを捉え、環境の変化に即座に対応できる組織を構築しております。しかしながら、今後さらなる競争の激化や取引先の企業再編等により取引先の政策や取引条件が大幅に変更された場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)情報システム・情報セキュリティに関するリスク

当社は、重要な営業・物流施設であるRDCの運営・管理において、複雑にプログラミングされた独自の情報システムやコンピュータネットワークを用いております。自然災害などに対応するため、基幹コンピュータ機器を免震設備及び自家発電装置を備えたデータセンターに設置し、サーバの二重化及びバックアップを行っており、業務が困難な場合は、遠隔地にある代替データセンターに切替え業務継続するなどの仕組みを整え、業務継続性の向上を図っております。しかしながら、想定を超える自然災害などの発生により、機能停止した場合などは、販売・物流に大きな支障が生じる可能性があります。

また、コンピュータウイルスの侵入を防止するため、ソフトの導入及びシステムの監視体制を構築しておりますが、サイバー攻撃などによるシステム障害や情報漏洩が発生した場合は、事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)自然災害・感染症等の発生に関するリスク

当社は、全国に多数の事業所、物流センターを設置し、多くの従業員により事業活動を行っております。自然災害や感染症の拡大等による損失を最小限に抑えるため、一部の事業所の物流機能が不全となった場合においても、他の事業所からバックアップできる体制を敷くなど、事業継続計画(BCP)の整備に努めております。しかしながら、大規模な自然災害の発生等によるライフラインや交通網の寸断、新型インフルエンザ等の感染症の流行により予期せぬ事態が発生した場合、物流サービスの提供などに支障が生じ業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)気候変動に関するリスク

当社が属する生活必需品の流通業界においても、気候変動への対応は業界全体で対応すべき重要なテーマであると認識しております。当社は気候変動をはじめ環境に関する社会的課題を持続的成長に向けて解決すべき重要課題の一つとして捉え、中長期戦略に織り交ぜた対応を進めております。しかしながら、気候変動による自然災害の増加によってもたらされる供給網への被害や原材料費高騰に伴う仕入原価の上昇などの物理的な被害や炭素税等の導入をはじめとする脱炭素社会への移行コストにより当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)固定資産の減損に関するリスク

他事業者との競合規模や当社の事業領域の拡大、日々進化し続けるデジタル技術の活用など当社を取り巻く環境が変化するなか、持続的成長に向けた物流・情報システム機能を充実・拡大するための設備投資を積極的に実施しております。しかしながら、事業環境の著しい変化や収益状況の悪化などにより、固定資産の減損損失を計上する必要が生じた場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)コンプライアンスに関するリスク

当社は、ステークホルダーのみなさまから信頼され永続的に発展する企業であるためには、一人ひとりが、法令の遵守はもちろんのこと、社会におけるルールやマナーを守り、高い倫理観を持って行動することが重要であると考えております。このため一人ひとりがコンプライアンスの重要性について理解を深められるよう、集合研修やオンライン研修など様々な教育・研修を行っております。しかしながら、コンプライアンス上のリスクは完全に排除することは困難であり、法令等に抵触する事態が発生した場合、当社の社会的信用の低下や発生した損害に対する賠償金の支払いなどにより、事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)特有の法的規制等に係るもの

当社は、一般用医薬品及びその関連商品を取り扱っております。このため主に医薬品医療機器等法などの関連法規の規制を受けており、各事業所が所轄の都道府県知事より必要な許可、登録、指定及び免許を受け、あるいは監督官公庁に届出の後、販売活動を行っております。このため主管部門であるCSR推進本部において必要な許認可等の取得及び法令遵守の環境維持に努めておりますが、法令違反等によりその許認可等が取り消された場合や許認可等が得られない場合は、当社売上のおよそ1割を占める商品の全部又は一部の販売が制限され事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)債権回収リスク

当社は、販売先との継続取引に伴う債権について、当該販売先との密な連携体制の強化や当社内における債権管理の徹底、さらには取引信用保険の加入等により貸倒発生のリスクを抑える活動を行っておりますが、結果として販売先の破産、民事再生等による債務不履行が発生した場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)商品在庫リスク

当社が所有する商品在庫及び販売先からの返品在庫は、ほとんどが仕入先へ返品が可能なため商品在庫リスクを回避することができますが、仕入先の破産や民事再生等が発生した場合、商品在庫の価値低下を招くと同時に返品が不能となるため、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)業績の変動について

当社の業績は、第4四半期において、他の各四半期に比べて売上高は減少する傾向にあり、利益も売上高の変動の影響を受けて減少する傾向になっております。

これは主に、1月は年末にかけて日用品をまとめて購入する消費需要が12月に発生する影響により、また2月は営業日数が少ないため他の月に比べて売上高が少なくなることによります。

このため、第3四半期までの業績の傾向が、年間の当社の業績の傾向を示さない可能性があります。

なお、2022年3月期における四半期毎の業績の概要は以下のとおりであります。

 

 

2022年3月期

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

年間

売上高 (百万円)

(構成比 %)

269,689

(25.8)

261,866

(25.0)

270,546

(25.9)

243,632

(23.3)

1,045,735

(100.0)

営業利益 (百万円)

(構成比 %)

7,005

(27.0)

6,336

(24.4)

6,890

(26.6)

5,688

(22.0)

25,921

(100.0)

経常利益 (百万円)

(構成比 %)

7,752

(27.1)

6,965

(24.3)

7,618

(26.6)

6,300

(22.0)

28,637

(100.0)

 

(13)親会社グループとの関係

親会社グループは、「医療と健康、美」の流通で社会に貢献することを目指し、主な事業として「医療用医薬品等卸売事業」、「化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業」、「動物用医薬品・食品加工原材料等卸売事業」を営んでおります。当社は、その中で「化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業」を専属的に担っており、他のグループ企業とは取扱商品や流通形態等が大きく異なることから、当社との間に競合関係は存在せず、親会社グループから影響を受けることなく独自に営業活動を行っております。ガバナンス面における当社の事業戦略、人事政策等の経営判断につきましては、全て当社が独立して主体的に検討のうえ決定しており、当社取締役会の決定が、グループ内の最終決定となっております。また、当社役員につきましては、親会社グループからの受け入れはなく、独立した社外役員を積極的に登用し、取締役の過半数が独立社外取締役となっております。一方で、親会社においても、少数株主の権利保護をはじめ当社の独立性確保は重要であると認識しており、「グループ会社基本規程」(適切なグループガバナンスの確保に向け制定された規程)のなかで、当社に対しては「独立性を確保し、独自の資金調達、迅速な意思決定のもと積極的に事業展開を図ることで企業価値を向上させることがグループ経営の観点からも望ましい」と明記しており、併せて当社事業にかかわる意思決定については当社の取締役会がグループの中での最終意思決定機関である旨が明確になっております。現状は、これら親会社グループとの関係については大きな変更を想定しておりませんが、仮に将来において親会社グループが当社と同一の事業に参入し新たな競合関係が発生するなど経営方針を変更した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当事業年度末現在の親会社グループとの関係につきましては、次のとおりであります。

① 資本関係

当社親会社である株式会社メディパルホールディングスの持株比率は50.68%となっております。

 

② 人的関係

[役員の兼任]

当社役員について親会社グループからの受け入れはありませんが、適切なグループガバナンス維持のため、当社代表取締役社長糟谷誠一は親会社の取締役を兼務しております。

 

③ 取引関係

関連当事者取引のうち、親会社グループに関連する取引は以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

会社名

取引内容

取引金額

取引条件等

2021年3月期

2022年3月期

(親会社)

㈱メディパルホールディングス

保険料の支払

11

13

団体保険を親会社グループ一括で運用しており、負担分を支払しております。

保険金等の受取

11

4

保険契約に基づき、保険金等を受取しております。

(兄弟会社)

㈱メディセオ

確定拠出年金信託報酬の支払

2

2

親会社グループ一括で運用しており、負担分を支払しております。

商品の販売等

348

349

卸売業者間の取引条件を勘案して決定しております。

商品の仕入

17

14

配送コスト等を勘案して双方交渉のうえ決定しております。

不動産の賃貸

28

第三者機関の価格査定を基に決定しております。

(兄弟会社)

㈱アトル

商品の仕入

2

2

配送コスト等を勘案して双方交渉のうえ決定しております。

(兄弟会社)

㈱メディパル保険サービス

保険料の支払

425

430

当社の保険代理店として取引しており、第三者の取引条件と同等であります。

 

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