課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、「個人投資家へ『リスク管理追求型』というコンセプトを掲げ、利便性と安定性を徹底的に追求した独 自サービスを提供するとともに、啓蒙を図り『新しい投資スタイル』を提供する」ことを経営理念としており、他社に先駆けて様々なサービスを提供してまいりました。また今後は、「お客さまの生活をより豊かにするため、高品質・高付加価値な金融関連サービスの提供を通じて、お客さまの資産形成と日本の金融資本市場の発展に貢献する」ことを当社の使命といたします。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

① 中期経営計画

当社はMUFGグループと平仄を取り、第20期事業年度から第22期事業年度までの3ヵ年の中期経営計画を策定しました。その中で「カブコム2.0」を掲げ、ネット証券からMUFGデジタル金融企業に進化すべく、デジタルイノベーションのフロントランナーとして先進性No.1、多様性No.1、効率性No.1を目指します。

② MUFGグループ内におけるネット金融戦略の中核的地位の確立・発展

個人向け投資商品の拡充や投資リテラシーの向上、金融とテクノロジーの融合であるFintechの発展、団塊世代の大量退職、マクロ経済環境の変化を反映したアセット分散・グローバル化ニーズの本格化、SNS・動画など基礎技術の大衆化を受けたサービス購買スタイルの変化等、個人投資家の投資スタイルは大きな転換期を迎えています。このような大きな変革期にあたり、当社は、MUFGグループのネット金融戦略において「ネットとの親和性の高い商品・サービスを中心に扱うブティック型ネット中核企業」としての独自の地位を確立してまいります。

③ 金融サービスの情報処理産業化・ソーシャル化・通販化への対応

当社は、取引所新システム稼働に伴う取引の高速化、スマートフォンなど新たな取引媒体の進展、システムトレードなど取引手法の高度化、SNS・動画など基礎技術の大衆化を受けたサービス購買スタイルの変化等、金融サービスの情報処理産業化・ソーシャル化・通販化の進展に対応したビジネスを展開してまいります。当社はフロントシステムからバックオフィスシステムまでを自社で開発しておりますが、当社の技術力及び設立時より蓄積してきたノウハウの優位性を梃子に、既存ビジネスの基盤の強化ならびにシステム力を活用したBtoBtoCモデルの推進など新たな事業の展開に努めてまいります。

④ 高効率経営の推進

当社は、ネット証券のビジネスモデルの優位性に基づいた高効率経営を推進してまいります。当社の特徴である、自社によるシステム開発及び社員のITリテラシーの向上等による業務効率化を実現した経営体制を維持・継続していくことにより、市況の変動により業績を大きく左右されない強固な経営基盤の構築に努めてまいります。

 

(3) 目標とする経営指標

 当社は、企業価値最大化のためには自己資本に対する利益率の向上がその基盤になると考え、ROE(自己資本当期純利益率)を重視しております。当期のROEは9.9%と前期の14.5%から下落し、当社が目標としている20%には届きませんでした。収益増強と多様化、経営効率と資本効率の改善を通じて、中期経営計画の最終年度に20%の達成を目指してまいります。
 また今後は、先進性の指標として外部調査機関の評価、多様性の指標としてノントラディショナル収益比率及びBtoBtoC収益比率※、効率性の指標として1人あたり経常利益を重視してまいります。

※ノントラディショナル収益とは、トラディショナル収益(API、金融商品仲介を除く株式委託手数料及び信用金融収支)以外の収益の合計です。またBtoBtoC収益とは、ノントラディショナル収益の一部である、API、金融商品仲介、ASP、システム販売収支による収益の合計です。

 

 

(4) 会社の対処すべき課題

 マクロ経済環境の変化、規制・制度環境や個人投資家の投資スタイルの変化、FinTechの進展という大きな転換期を迎え、MUFGグループとしての総合力や当社ならではのIT力を活かした競争力強化により、業界内ポジションの向上を目指すとともに、内部管理態勢を強化し強固なビジネス基盤を確立してまいります。

 

① MUFGグループとの業務提携成果の拡充

 三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社(以下、MUMSS)とのIPO/PO、債券の取扱いや、同じ証券ユニットとしての対面・非対面の連携、株式会社三菱UFJ銀行や株式会社じぶん銀行等との金融商品仲介を通じた口座獲得、両行銀行サービスとの連携施策の展開、モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社との株券貸借取引やFXでの連携、グループ各社への当社コンピューターシステムの展開等、MUFGグループ各社との業務提携を進めておりますが、規制・制度面や投資環境・投資家動向の変化をチャンスと捉え、一層のグループ展開の強化とそれらによる営業成果の拡充を図ってまいります。

② 金融商品取引業者としての法令遵守、内部統制及び品質管理態勢の強化

 金融商品取引業者に求められるプリンシプルベースを背景とした法令遵守態勢の確立のため、継続して強固なコンプライアンス意識の向上を図るとともに、MUFGグループ・ベースでの内部統制基盤、情報セキュリティやシステム管理態勢を含むリスク管理態勢基盤の整備・高度化を図ります。又、BCP(事業継続計画)の高度化等により安定したシステム基盤によるサービスの提供、内外規格に準拠した苦情対応プロセスや法令遵守マネジメントシステムを基盤とするコンプライアンスのPDCAサイクルを継続してまいります。

 ③ 金融サービスの情報処理産業化・ソーシャル化・通販化に対応した競争力の追求

金融サービスの情報処理産業化・ソーシャル化・通販化、FinTechの進展とそれに伴う個人投資家の投資スタイルの変貌を迎え、当社のITインフラ力を活かしたBtoBtoCモデルを含む新たな業務・サービスの展開、システムトレードやソーシャルトレード等新たな投資手法への対応、スマートフォン・SNS・動画といった基礎技術の普遍化・浸透を背景とした個人投資家の投資スタイルの変化への対応等を通じ、競合他社との差別化、優位性向上を一層図ってまいります。

④ コスト競争力の維持

当社の主たる業務である金融商品取引業は株式等の市況の影響を大きく受けているためコストコントロールは経営上重要な課題です。当社は従来、経営効率性の指標としてコストカバー率を重視しております。

⑤ 中期経営計画

当社は第20期事業年度から第22期事業年度まで3ヵ年の中期経営計画を策定しております。「カブコム2.0」を掲げ、ネット証券からMUFGデジタル金融企業に進化すべく、デジタルイノベーションのフロントランナーとして先進性No.1、多様性No.1、効率性No.1を目指します。これにより、最終事業年度におけるROE20%達成を目指します。

⑥ KDDI株式会社と業務提携

当社は、2019年2月12日にKDDI株式会社及び三菱UFJ証券ホールディングス株式会社との間で、当社の企業価値の向上を目的として、業務提携契約を締結しました。これにより、従来からの当社の強みであるIT技術力・ノウハウ等を活かし、Fintech技術等の最先端技術を活用した経営を継続しつつ、KDDI株式会社との関係強化を通じて、小口・中間層の顧客の取込みや商品ラインナップの強化を図ることで、競合するネット専業証券他社への差別優位性を強化する考えでおります。

 

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