当社グループは、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。そのため、売上高についての当連結会計年度における経営成績に関する説明は、前連結会計年度と比較しての前年同期比(%)を記載せずに説明しております。
当連結会計年度における我が国経済は、ワクチン接種の進展や各種政策の効果等により一部で景気持ち直しの動きが見られたものの、新たな変異株(オミクロン株)の感染拡大の懸念から、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。当社の主力事業である紙・パルプ業界におきましては、紙・板紙の内需は前年比でやや回復微増したものの、新型コロナウィルス感染拡大前の水準までの回復には至りませんでした。
一方、世界経済においては、ワクチン接種が進んだ欧米諸国と発展途上国に経済の回復スピードの差が生じ、特に中国においては、「ゼロコロナ政策」による断続的な都市封鎖による社会・経済への影響が影を落としています。また、港湾労働者不足やコンテナ不足によるサプライチェーンの分断によって品不足も常態化している最中、新たな課題としてロシアのウクライナ侵攻により出口が見通せない状況となっております。
このような状況下、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高5,634億14百万円、営業利益は93億79百万円(前期は90億35百万円の営業損失)、経常利益は88億44百万円(前期は120億41百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は、74億97百万円となりました。
当連結会計年度の業績については、以下の通りです。
事業別セグメントの業績は次の通りです。
<国内拠点紙パルプ等卸売事業>
紙分野では、経済活動の再開に伴い、新型コロナウィルス感染症の影響を大きく受けた前年度を数量・売上高共に上回りましたが、オフィス需要の減少やまん延防止等重点措置、緊急事態宣言の再発令などによる観光・イベント事業が回復途上にあり、コロナ禍前の実績を回復するまでには至りませんでした。
一方、板紙分野では、Eコマースによる宅配事業や経済再開によるプラス要因が紙器用板紙や段ボール原紙の需要を押し上げて前年度実績を共に上回りました。
製紙原料分野では、古紙は緊急事態宣言の発令延長により家庭からの古紙発生量が減少した結果、数量では前年度割れとなりましたが、価格の上昇により売上高は前年度を上回りました。
パルプは、国内家庭紙メーカー向けの需要が減少しましたが、中国向け輸出の増加や販売単価の上昇によって数量・売上高共に前年度を上回りました。
この結果、国内拠点紙パルプ等卸売事業の売上高は2,562億82百万円、セグメント利益は49億82百万円(同34.3%増)となりました。
<海外拠点紙パルプ等卸売事業>
●トレード事業
トレード事業は、サプライチェーンの分断やコンテナ不足に加え、製紙メーカーの生産枠制限により取扱い数量は低調に推移しました。
●域内事業
ANZ市場(豪州・ニュージーランド)及び欧州市場については、ウィズコロナ政策を背景に経済活動が再開され需要の回復がみられました。更に供給不足やエネルギーコスト問題によって、価格は上昇基調が続いています。このような状況下、前年度に買収したAntalis S.A.S.の業績が通期で貢献したこともあり、大幅な増収・増益となりました。
アセアン地域では、経済の回復が遅れているものの、重複拠点の整理統合によるシナジー効果が出ております。
中国事業については、子会社、及び新たに設立した分公司における紙卸売事業での販売が寄与し、売上高は前年を上回り、経常利益も前年を上回りました。
この結果、海外拠点紙パルプ等卸売事業の売上高は3,059億1百万円、セグメント利益は71億60百万円(前期は105億57百万円のセグメント損失)となりました。
<不動産賃貸事業>
全国主要都市のオフィスビル市場は、コロナ禍の影響による景気の悪化やテレワークの普及等からオフィス需要は減退し、平均空室率の上昇や平均賃料の下落基調が続いております。今後も各地で新築ビルの竣工が控えるなど、需給バランスに注視が必要な状況です。
当社グループでは主力のKPP八重洲ビルが満室稼働を継続しましたが、所有物件の再開発に伴う賃料収入減もあり、前年比で減収となりました。
この結果、不動産賃貸事業の売上高は12億30百万円、セグメント利益は1億76百万円(同72.0%減)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、主に税金等調整前当期純利益で獲得した資金を、固定資産の取得及び短期借入金の減少等に充当したことで、前連結会計年度末比79億12百万円減少し、226億31百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は48億21百万円(前期は64億72百万円の使用)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の獲得、仕入債務の増加等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は26億78百万円(前期は230億46百万円の獲得)となりました。これは主に、固定資産の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は118億3百万円(前期は65億97百万円の獲得)となりました。これは主に短期借入金の減少によるものであります。
③ 仕入及び販売の実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
(参考情報)
当社グループの品種別販売実績は以下のとおりであります。
(注) 1.「その他」の数量は各単位が相違するのでその記載を省略し、「合計」の数量からも除いております。
2.賃貸収入は「その他」に含まれております。
提出会社の商品販売実績は以下のとおりであります。
(注) 1.「その他」の数量は各単位が相違するのでその記載を省略し、「合計」の数量からも除いております。
2.賃貸収入は「その他」に含まれております。
提出会社の用途別販売実績は以下のとおりであります。
(注) 1.用途の分類は当社独自の基準によっております。
2.上記の金額には、賃貸収入は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における当社グループの経営成績につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載の通りです。
ワクチン接種率の向上に伴い、各地域や事業にて新型コロナウイルス感染症による景気低迷から回復が見られるものの、ロシアのウクライナ侵攻による混乱やインフレの長期化を反映し、世界経済の成長は鈍化しております。
このような状況下、当社グループは長期経営ビジョン『GIFT+1 2024』に則り、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営の基本方針」に記載の通り、対処すべき課題に対応してまいります。
当連結会計年度における、国内紙パルプ等卸売事業の業績については「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載の通りです。
2023年3月期の日本国内市場におきましては、紙事業、特にグラフィック用紙事業については経済活動の再開により回復が見込まれるものの、前連結会計年度の需要まで回復するのは難しいと見込んでおります。板紙事業につきましては、当連結会計年度より飲料関係及び通販関連の段ボール原紙需要の増加が下支えし、2023年3月期も全体的には需要の増加を見込んでおります。また紙需要の減退を紙・板紙の価格修正により当連結会計年度の実績を上回ると見込んでおります。古紙につきましては、世界的な古紙需要の増加及び国内古紙発生量の減少もあり国内市況の大きな変動は見込んでおりません。パルプにつきましては、ロシア・ウクライナ情勢の影響により世界的な供給減となっており価格の上昇を見込んでおります。
このような状況下、当社は以下の基本戦略に基づき、国内紙パルプ等卸売事業の拡大を目指す所存です。
[国内基本戦略]
製品販売と古紙回収による循環型事業モデルの確立
マテリアルリサイクルとサーマルリサイクルによる事業の拡大
海外子会社のノウハウとシナジーによるブランドオーナー開拓
グラフィック用紙事業の他社との差別化戦略によるシェア拡大
環境配慮型素材や製品の開発・販売
バイオマス発電所の運転最適化支援システム「BMecomo」 を3月1日に子会社化。脱炭素化社会やサーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現化を加速
(c) 海外紙パルプ等卸売事業について
当連結会計年度における、海外紙パルプ等卸売事業の業績については「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載の通りです。
2022年3月期の海外市場につきましては、欧州・豪州ともに、グラフィック用紙の需要は回復基調にありますが、コロナ前の需要水準にはいたりませんでした。また、欧州におけるパッケージ事業では、Eコマース市場の成長に伴う需要増加により好調を維持しております。ビジュアルコミュニケーション事業では、欧州にて公共イベントや展示会の再開が進み、市場は拡大しておりますが、コロナ前の水準までは完全には回復しておりません。一方、豪州においては、ビジュアルコミュニケーション事業でのM&A効果が業績に寄与しております。中国については、新たに中国国内市場での販売体制を再構築した結果、業績は回復しました。
なお、2022年3月期より、2020年7月に買収した仏Antalis S.A.S.の業績が通期で寄与するため、大幅な増収増益を達成しました。
このような状況下、当社は以下の基本戦略に基づき、海外紙パルプ等卸売事業の拡大を目指す所存です。
[海外基本戦略]
パッケージやビジュアルコミュニケーションにて、積極的な外部経営資源の獲得(インオーガニック)によって事業領域の拡大を目指します。
ハイブリッド型ビジネスモデル(※)の展開
※ハイブリッド型ビジネスモデル
(d) 不動産賃貸事業について
当連結会計年度における、不動産賃貸事業の業績については「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載の通りです。
当該事業セグメントにつきましては、前連結会計年度でのKPP八重洲ビルの底地売却による地代負担増はあるものの、本社隣地の再開発事業による収益確保を進めてまいります。
当社グループでは賃貸物件の安定稼働を重視しており、資産価値を維持するための修繕等を計画的に実施しております。
今後も引き続き、安定稼働とローコストでの運用を心掛け、安定した収益を確保する事業として推進してまいります。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、2,907億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ155億87百万円増加しました。これは主に、商品及び製品の増加及び退職給付に係る資産の増加によるものであります。
負債は、2,343億32百万円となり、前連結会計年度末に比べ27億94百万円増加しました。これは主に、有利子負債が減少した一方で、仕入債務の増加したことによるものであります。
純資産は、563億74百万円となり、前連結会計年度末に比べ127億92百万円増加し、自己資本比率は19.4%となり、前連結会計年度末に比べ3.8ポイント増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益、退職給付に係る調整累計額の増加等によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。また、株主還元については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。
当社グループは、長期経営ビジョン『GIFT+1 2024』に基づく第3次中期経営計画(2022年度~2024年度)を推進中ですが、事業で創出される営業キャッシュ・フローにつきましては、成長投資と株主還元に、適正に配分していく所存です。
成長投資への支出につきましては、海外事業の拡大と事業ポートフォリオの多角化を目的としております。今後も海外投資を中心に、投資先の事業内容、投資時点の当社グループの財政状態及び資金需要を勘案し、適切に判断してまいります。
株主還元への支出につきましては、株主への利益還元を経営の重要課題の一つと認識し、安定的かつ継続的に配当を行うとともに、内部留保の拡充と有効活用によって企業競争力と株主価値を向上させることを基本方針としております。
なお、現在当社グループにおいて重要な資金繰りの懸念はございません。当連結会計年度末現在の現金及び現金同等物の残高は、国内で25億58百万円、海外で200億72百万円となっており、当社が考える適正な残高水準を上回る資金を確保しております。また、予定されている資金支出につきましても、資金調達の目途は立っております。
④ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、重要な会計上の見積り及び追加情報」に記載しているとおりです。
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