事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のある事業等のリスクには、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)当社のリスク管理体制及びリスク管理プロセス

当社は、当社グループのリスク管理体制の維持、向上を図るため、リスク管理委員会を設置し、リスク管理委員会規則に従い、サステナビリティ委員会委員長がリスク管理委員会委員長および副委員長を任命しております。

リスク管理委員会は、グループ経営上重要なリスクの抽出・評価を行い、重点対応策を決定し、重点対応策の実行状況のモニタリングを定期的に行い、その結果についてサステナビリティ委員会へ報告を行うこととしています。

 

■ 当社のリスク管理体制


 

 

■ 当社のリスク管理プロセス


 

 

(2)   事業等のリスク

当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のある事業等のリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する記載は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。

最初に、各リスク項目を影響度と発生頻度で評価したリスクマップを掲載いたします。

 


 

上記リスクのうち重要と認識しているリスクは以下の通りです。ただし、これらは、当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、現時点において予見できない、あるいは重要とみなされていない他の要因の影響を将来的に受ける可能性があります。また、リスクを低減するための対応を記載しておりますが、リスクを完全に回避することは困難です。

 

① 外部要因リスク

リスク

感染症

内容

未知の変異ウィルス等による感染が世界的に拡大するなど、想定を超えるような事態が発生した場合には、売上の減少や信用リスクの増大、回収遅延・不良債権の発生など、当社グループの財政状態や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、社員やその家族の健康にも大きな影響を与えるとともに、多数の罹患者が発生した場合は、事業の一部の継続が困難となる可能性があります。

対応

当社グループは、社員とその家族の健康、そしてお取引先様等ステークホルダーの安全・安心を最優先するため、感染症に関する対策委員会を設置し、テレワークによる在宅勤務、時差出勤、マスクの着用、消毒液の設置に加えて3密回避などあらゆる角度から感染拡大防止の施策を講じております。加えて、多数の罹患者が発生した場合にも業務を継続できるよう、緊急時における優先継続業務を定め、業務の補完体制を構築する等の対応方針を定めております。また、新型コロナウイルス感染症終息後においても、勤務体制や営業活動の手法を継続的な検討課題とするとともに、事業の持続的成長に向けた対応を確実に進めてまいります。

 

 

 

リスク

カントリーリスク

内容

当社グループは、世界各国に事業を展開しており、当連結会計年度における海外拠点紙パルプ等卸売事業は連結売上高の54.3%を占めており、投資する国・地域の政治、経済、社会情勢などの変化に影響を受けます。これらのリスクが顕在化した場合、当該国において代金回収の遅延や事業遂行上の大きな問題が発生する可能性があります。

対応

当社グループでは、海外拠点紙パルプ等卸売事業における売掛金に係る取引信用保険の活用といったリスクヘッジ策の実行や、「信用リスク」の項目において記載する与信管理の実施、当該国における情報収集の徹底等により、これらのリスクを最小限に止めることに努めております。

 

 

② 経営リスク

リスク

競争力/業績(海外投資)

内容

当社グループはインオーガニック戦略として、事業ポートフォリオの改革を目的に海外への投資を進めております。豪州への投資について、2019年7月にSpicers Limitedの全株式を取得し、当連結会計年度末現在16億58百万円ののれん額が計上されております。また、Spicers LimitedによるWilmaridge Pty Ltdが営む事業の譲受け、Universal Packaging Limitedの取得等により、当連結会計年度末現在、27億39百万円ののれん額が計上されております。

海外投資に関わるのれんの額につきましては、将来のシナジー効果が発揮されることによる収益力を適切に反映しているものと考えておりますが、事業環境の変化等により期待する成果が得られないと判断された場合は減損損失が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

対応

これらのリスクの管理については、投資委員会において投資の採算性について十分な審議を行った上で、定期的に業績の推移や計画の進捗等を確認し、事業環境の調査・情報収集を徹底すると共に、取締役会等でモニタリングしております。

 

 

リスク

競争力/業績(研究開発活動)

内容

当社グループは、事業ポートフォリオの改革、事業機会の拡大を図っていくため、様々な研究開発を進めております。例えば2018年9月より開始した、バイオマス発電所運転支援システム(BMecomo)の開発につきましては、当連結会計年度末までに6億63百万円の開発費用を拠出しております。こうした研究開発活動において、期待された効果が得られない場合や、事業環境の変化によって撤退した場合など、状況変化により拠出した資金を回収できない可能性があります。

対応

これらのリスクの管理については、投資委員会を開催し投資の採算性について十分な審議を行った上で、定期的に開発状況や計画の進捗等を確認し、事業環境の調査・情報収集を徹底すると共に、取締役会等でモニタリングしております。

 

 

 

③ オペレーショナルリスク

リスク

環境(気候変動)

内容

当社は気候変動によるリスクとして、脱炭素社会に向けた規制強化や低炭素技術の革新、気候変動対応に伴う市場の変化、および気候変動によって生じる災害を主に想定しております。

例えば仕入先のパルプメーカーや製紙会社が炭素税やGHG削減対応等、気候変動に対応するための施策を講じた場合、仕入価格への転嫁などに起因する当社の調達コスト増が予想されます。

また、台風や豪雨といった災害の激甚化・頻発化が進行すれば、被災によるサプライチェーンの混乱など、事業・財務に大きな影響を与えるリスクが高まることが予想されます。

対応

環境負荷低減製品の選定を積極的に検討するとともに、幅広い仕入ソースを引き続き確保してまいります。

また、非化石エネルギー利用拡大や循環型社会の形成を見越し、バイオマス発電所運転支援システム「BMecomo」の開発や提供、古紙回収ソリューション「ecomo」を通じた循環型事業モデルの構築を目指す等、ビジネス機会の獲得に向けた対策を積極的に進めてまいります。

 

 

リスク

サプライチェーンマネジメント(主要取引先への依存)

内容

当社の主要株主である王子ホールディングス株式会社及び日本製紙株式会社のグループ会社は、当社グループの主要商品である紙及び板紙を仕入れている主要仕入先であります。当連結会計年度における2社グループからの仕入金額合計は総仕入金額の28.1%になります

当社は現在、両社と代理店指定に係る基本契約書を締結しており、今後も取引の継続的な拡大を図っていく方針でありますが、天災及び何かしらの影響により、両社グループから当社への商品供給に著しい支障が生じた場合、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

対応

当該リスクにつきましては、さまざまな仕入先を国内外問わず開拓して仕入ソースを確保するとともに、海外事業の拡大により国内取引への依存度を下げ、事業ポートフォリオ改革により新たな事業領域を開拓し、紙及び板紙販売の事業比率を下げていくことで対応をしてまいります。

 

 

リスク

情報システム(基幹システムの開発)

内容

グローバル展開および新規ビジネスの推進に対応すべく、経営管理の見える化を目的として、基幹システムの開発を進めておりますが、想定した投資効果が得られない可能性や、開発スケジュールの遅延等による想定外のコストが発生する可能性があります。

対応

経営管理の見える化を実現するため、分析粒度や多面的分析軸の向上を考慮し各マスターの見直しや追加データ項目の検討を進めています。また、プロジェクト全体管理として、開発ベンダーやプロジェクトメンバーの代表者から成る運営組織を形成し、定期的な進捗管理やチェックポイントを設定し遅延を防止するとともに、想定した投資効果との整合性を評価しております。

 

 

 

④ 財務リスク

リスク

信用リスク(取引先与信)

内容

当社グループにおける営業取引においては、売掛金及び受取手形などの形で取引先に対して信用供与を行っており、取引先の信用悪化や経営破綻等による損失が発生する可能性があります。

対応

当社では、取引先ごとに与信限度額を定めて取引先との取引額を管理する他、取引先の信用状態に応じて必要な担保の設定や取引信用保険の活用等を行うことにより、信用リスクの低減に努めております。

 

 

リスク

市場リスク(商品市況変動の影響)

内容

① 紙・板紙等

当社グループの主要な取扱商品である紙、板紙等の製品仕入価格は、原材料であるパルプ、チップ、古紙等の世界的な需要及び原油等の燃料価格の動向の影響を受けることから、それらの価格が大きく上昇した場合には、製品の仕入価格に影響を与えます。

② 古紙

当社の主要な取扱商品である古紙の販売価格は、世界の主要な古紙消費国の輸入により、大きく価格が変動する為、短期間での大幅な価格下落の場合、完全には回避できない可能性があります。また、増加する日本国内の古紙需要に対して古紙供給量は減少しており、古紙販売に影響を及ぼす可能性もあります。

③ パルプ

紙、板紙等の原材料であるパルプにつきましては、当社の主要な取扱商品でもありますが、世界的な市況商品であるため販売価格及び仕入価格が市況に応じて変動いたします。2021年度も前半の市況安定から夏以降は下落傾向となり、年末から現在に至るまでは価格が大幅に上昇するなど、価格変動のリスクが内包されており、短期間での大幅な価格下落の場合、完全には回避できない可能性があります。

対応

① 紙・板紙等

当社グループでは、適正な利潤を確保するため、販売先との価格交渉を継続的に行っております。

② 古紙

日本国内のみならず、世界中の古紙需要先を対象として、特に今後需要の増加が見込まれる東南アジア諸国を中心に販路の拡大に努め、仕入先の確保にも注力してまいります。

③ パルプ

仕入成約時の販売価格決定や、在庫の低減などを行ってまいります。

 

 

リスク

市場リスク(為替変動)

内容

当社グループの事業セグメントである海外拠点紙パルプ等卸売事業は、世界各国に事業を展開しております。連結財務諸表の作成に際しては、各国における現地通貨建ての売上高、費用等を円換算しておりますが、外国通貨に対して円高が進むと連結当期純利益にマイナスのインパクトを与えます。

また、当社グループでは、日本からの紙、板紙、古紙等の輸出販売も行っており、これらの商品の海外での価格競争力は為替レートの変動による影響を受けます。為替レートが当社グループの想定を超えて変動した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

対応

為替予約取引等により、為替レートの変動による影響を最小限に止めることに努めております。

 

 

 

リスク

市場リスク(金利変動)

内容

当社グループでは、運転資金等の調達は金融機関からの借入金及びコマーシャル・ペーパーの発行を中心に行っております。

当社グループの想定を超えて金利変動が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度末における借入金及びコマーシャル・ペーパーの残高は802億37百万円です。

対応

長期借入金(固定金利)による調達、金利スワップ等を取り入れ、金利変動による影響を想定の範囲に止めることに努めております。

 

 

リスク

市場リスク(所有株式の時価変動)

内容

当社グループが保有する株式は、仕入先企業、販売先企業、取引金融機関等、業務上密接な関係にある企業の株式が大半でありますが、株式市況の動向及び当該企業の業績等によって当該株式の価格に変動が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

対応

所有株式につきましては、2021年12月20日に当社ホームページにてご報告しております「コーポレート・ガバナンス報告書」の『コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示』における[原則1-4 政策保有株式]に、その所有に関する方針を記載しております。適宜適切に売却を進めることで、当該リスクの低減に努めております。

 

 

リスク

市場リスク(退職給付債務)

内容

当社グループでは、確定給付年金制度及び退職一時金制度を採用しており、これに伴う退職給付費用及び退職給付債務は、割引率等の数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。年金資産の一部には株式信託を採用しております。また、イギリスにおける確定給付年金制度については、新規の加入者を停止していることから平均残存勤務期間が短くなる可能性があり、その場合数理計算上の差異の償却期間も短くなります。

従いまして、割引率の低下や運用利回りの悪化、信託した株式の時価の低下及び多額の数理計算上の差異の償却が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの年金資産及び退職給付債務の残高につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)」をご参照ください。

対応

年金資産の見直し等を定期的に行い、安全性の高い資産の割合を増やすなどの検討をしてまいります。

 

 

リスク

市場リスク(不動産市況)

内容

当社グループは、収益基盤の安定化を目的とし、所有不動産を活用した不動産賃貸事業に取り組んでおります。しかしながら、不動産市況に変動が生じ、所有する不動産価格や賃貸料が低下した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度末における総資産に対する賃貸不動産の比率は2.3%であります。

対応

物件維持のための適正な修繕、建替え・用途変更などの再開発や売却検討を行うとともに経費削減に努めるなど、各所有不動産の状況に応じた有効活用策を継続的に検討しております。

 

 

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