業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、世界的な新型コロナウイルス感染症の蔓延及び国内においても第6波、さらに第7波と依然勢いが収まる気配はなく厳しい状況にありますが、国内外の感染拡大防止策を講じる中で、経済との両立が進み景気全体については持ち直しの動きがみられます。

一方、ウクライナ情勢の悪化による資源価格高騰や日米金利差拡大を受けた円安によって物価が上昇しており、消費者マインド悪化、実質購買力の低下やコスト増加によって企業業績の悪化も懸念されています。また世界的な物価上昇を背景に、米国をはじめとした各国で金融政策が引き締めに転じており、金利上昇が世界経済の回復ペースを鈍らせ、上海ロックダウンの影響など物流の混乱により生産制約や品不足が深刻化する、といった景気下振れリスクが、景気回復のブレーキとなることが懸念されており、先行きの不透明感が高まる中、予断を許さない状況が続いております。当社のサービスセグメントにおいては、自治体を対象としたクラウドサービスを担うデジタルガバメントにおける影響は軽微であるものの、企業の営業車両を対象としたモビリティ・サービスにおいては移動の制約による影響やエネルギー価格の高騰による車両維持費の負担上昇、景気下振れによる既存顧客の解約リスクは一定程度存在している状況と思料しております。

このような情勢の中当社グループでは、「スマート&テクノロジーで歴史に残る社会システムを創る!」をミッションとし事業を展開しております。

当社グループは、企業価値を向上させるために、クラウドソリューション事業への集中が重要であると考え、2020年3月31日付けで移動体情報通信機器の販売代理店事業を譲渡する経営判断を行いました。その後2020年6月期及び2021年6月期と新型コロナウイルス感染症の影響もあり業績は大きく低迷する結果となりました。

そして当連結会計年度においては、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響は受けるものの、前連結会計年度からの業務効率化や減価償却費の減少などの改善策を実践するとともに、クラウドソリューション事業におけるMRR(月次経常収益)の獲得を強化し、持続的成長モデルへの移行と中長期的な新たな収益モデルの創造を行ってまいりました。

その結果、当連結会計年度においては、売上高は3,805,373千円(前年同期比10.4%増)、営業損失は15,083千円(前年同期は605,316千円の損失)、経常利益は8,228千円(前年同期は580,000千円の損失)となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,080千円(前年同期は1,407,512千円の損失)となりました。

今後も引き続き新型コロナウイルス感染症による影響を最低限に抑え込み、クラウドソリューション事業においてはSaaSのMRRの増額を推進するとともに、継続的な業務効率化によるコスト削減により、賃金のベースアップによる費用増加を抑制し、スマートシティなどデジタルなまちづくりに資するサービス開発に注力することで、業績の回復及び中長期的にミッションの実現を踏まえて大きな収益モデルの創造を目指してまいります。

 

当連結会計年度におけるセグメント別の業績は次のとおりです。

 

<デジタルガバメントセグメント>

デジタルガバメントセグメントにおきましては、自治体DXオープンガバメントにおける透明性、参加、連携の社会実装を推進するための自治体向けCLOUD SUITEとして“ガブクラ”を提供しております。

“ガブクラ”は「新しい公」へと続く行政デジタル化の実現に向けて、オープンガバメントにおいて透明性を推進する自治体の情報発信クラウドソリューションである“SMART L-Gov”、住民と自治体をオンラインで繋ぎ「参加・連携」を促す“GaaS”、自治体スマートエリア向けデータ利用基盤(都市OS)である“Open-gov Platform”の3つのプラットフォームによって構成されており、当該“ガブクラ”を通じて持続的かつ民主的なまちづくりを推進しております。

当連結会計年度においてデジタルガバメントでは、新規案件の獲得及び既存顧客の深耕に注力し、継続的な原価低減活動等に取り組みました。自治体及び公的機関を納入先とする入札案件においては、政府の行政デジタル化に関する取り組みが進められ、販売は好調に推移し、結果的にこの領域における売上・利益ともに過去最高を記録しました。

他方、中長期的に大きな収益を期待するデータの利活用によるスマートシティやスマートべニュー(注1)領域においては、投資が先行している状態となっています。

以上の結果、セグメント売上高は2,249,199千円(前年同期比29.8%増)、セグメント利益は228,026千円(前年同期比39.2%増)となりました。

 

<モビリティ・サービスセグメント>

モビリティ・サービスセグメントは、祖業である自動車電装に端を発し、100年に一度という自動車産業の大変革期において、自動車に装着する安全支援機器や情報デバイスの販売であるカーソリューションから、コネクティッドカーサービスである“CiEMSシリーズ”やクルマのデータ利活用を推進するプラットフォーム、ソフトウエア、さらにカーシェアリングなどクルマのサービス化を支援するプラットフォーム“Kuruma Base”の提供へと、多様なモビリティIoTを事業とするモビリティ・サービスを推進してまいりました。特にテスラ車などのEVを活用したEVカーシェアリングのプラットフォーム提供は、今後のモビリティ・サービスにおける可能性を指し示すプロダクトをローンチできたと考えております。

当連結会計年度においては、企業の営業車活用が移動の制限の中で減少している影響を受けたものの、Kuruma Baseを活用したカーシェアリング分野では、所有からシェアへと自動車の所有の概念を大きく変える動向や、カーボンニュートラルの動きを踏まえEV化の波を背景に、ソリューション強化に取り組みました。

また、減価償却費の減少等により売上原価が抑制され、業務効率化により販売費及び一般管理費の抑制に努めました。

以上の結果、セグメント売上高は1,556,174千円(前年同期比9.2%減)、セグメント利益は233,098千円(前年同期は276,272千円の損失)となりました。

 

各事業の売上構成は、以下のとおりです。

(単位:千円、%)

セグメントの名称

2021年6月

2022年6月期(当期)

前年同期

増減率

売上高

構成比

売上高

構成比

デジタルガバメント

1,732,547

50.3

2,249,199

59.1

29.8

モビリティ・サービス

1,713,630

49.7

1,556,174

40.9

△9.2

合計

3,446,178

100.0

3,805,373

100.0

10.4

 

 

[用語解説]

注1.

スマートべニュー

:

 

周辺のエリアマネジメントを含む、複合的な機能を組み合わせたサステナブルな交流施設のこと。

 

 

②財政状態の状況

a.資産

当連結会計年度末の総資産は、4,120,656千円となり、前連結会計年度末と比べ1,380,280千円の増加となりました。

流動資産は3,179,281千円となり、前連結会計年度末と比べ1,417,824千円の増加となりました。その主たる要因は、現金及び預金が1,793,018千円増加したものの、売掛金が142,243千円、未収還付法人税等が199,838千円減少したことによるものであります。

固定資産は938,468千円となり、前連結会計年度末と比べ39,887千円の減少となりました。その主たる要因は、ソフトウエアが37,865千円、繰延税金資産が23,338千円増加したものの、建物及び構築物が18,530千円、のれんが16,242千円、ソフトウエア仮勘定が52,656千円減少したことによるものであります。

繰延資産は2,906千円となり、前連結会計年度末と比べ2,343千円の増加となりました。その主たる要因は、株式交付費が2,461千円増加したことによるものであります。

 

b.負債

当連結会計年度末における負債合計は、1,669,403千円となり、前連結会計年度末と比べ1,046,942千円の増加となりました。

流動負債は1,278,394千円となり、前連結会計年度末と比べ787,232千円の増加となりました。その主たる要因は、短期借入金が628,000千円、1年内返済予定の長期借入金84,450千円、未払法人税等が30,979千円増加したことによるものであります。

固定負債は391,009千円となり、前連結会計年度末と比べ259,709千円の増加となりました。その主たる要因は、長期借入金が266,886千円増加したことによるものであります。

 

c.純資産

当連結会計年度末における純資産は2,451,252千円となり、前連結会計年度末と比べ333,338千円の増加となりました。その主たる要因は、連結子会社である株式会社ストークスへの非支配株主への第三者割当増資により資本剰余金が90,000千円、株式会社One Bright KOBEへの第三者割当増資により資本剰余金が5,168千円及び非支配株主持分316,706千円増加したものの、配当金の支払いにより利益剰余金が80,295千円減少したことによるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ693,018千円増加し、1,463,701千円(前年同期は、770,682千円)となりました。当連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は、次のとおりであります。

 

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

営業活動の結果、増加した資金は596,735千円(前年同期は、938,336千円の資金の減少)となりました。資金増加の主たる要因は、減価償却費121,714千円、のれん償却額16,242千円、売上債権及び契約資産の減少額126,921千円、棚卸資産の減少額46,689千円、未払消費税等の増加額79,795千円、法人税等の還付額208,240千円等であり、資金減少の主たる要因は、未払金の減少額24,527千円等であります。

 

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

投資活動の結果、減少した資金は1,175,706千円(前年同期は、236,366千円の資金の減少)となりました。資金増加の主たる要因は、敷金及び保証金の回収による収入6,245千円等であり、資金減少の主たる要因は、定期預金の預入による支出1,100,000千円、有形固定資産の取得による支出13,323千円、無形固定資産の取得による支出64,292千円等であります。

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

財務活動の結果、増加した資金は1,271,990千円(前年同期は、77,095千円の資金の減少)となりました。資金増加の主たる要因は、短期借入金の純増減額628,000千円、長期借入れによる収入358,000千円、非支配株主からの払込みによる収入386,689千円等であり、資金減少の主たる要因は、リース債務の返済による支出13,498千円、配当金の支払額80,526千円であります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは生産活動を行っていないため、生産実績の記載を省略しております。

 

b.仕入実績

仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

デジタルガバメント

15,065

110.70

モビリティ・サービス

371,432

△42.3

合計

386,498

△40.64

 

 

c.受注実績

当社グループは、受注から納品までの期間が短く、販売実績が受注と概ね同じであるため、受注実績の記載を省略しております。

 

 

d.販売実績

販売実績をセグメントごと、またサービス区分ごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

デジタルガバメント

2,249,199

29.8

モビリティ・サービス

1,556,174

△9.2

合計

3,805,373

10.4

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照ください。

 

b.経営成績の分析

(売上高、売上総利益及び営業利益)

当連結会計年度における売上高は3,805,373千円(前年同期比10.4%増)となりました。

デジタルガバメントセグメントにおきましては、自治体DXオープンガバメントにおける透明性、参加、連携の社会実装を推進するための自治体向けCLOUD SUITEとして“ガブクラ”を提供しております。

“ガブクラ”は「新しい公」へと続く行政デジタル化の実現に向けて、オープンガバメントにおいて透明性を推進する自治体の情報発信クラウドソリューションである“SMART L-Gov”、住民と自治体をオンラインで繋ぎ「参加・連携」を促す“GaaS”、自治体スマートエリア向けデータ利用基盤(都市OS)である“Open-gov Platform”の3つのプラットフォームによって構成されており、当該“ガブクラ”を通じて持続的かつ民主的なまちづくりを推進しております。

当連結会計年度においてデジタルガバメントでは、新規案件の獲得及び既存顧客の深耕に注力し、継続的な原価低減活動等に取り組みました。自治体及び公的機関を納入先とする入札案件においては、政府の行政デジタル化に関する取り組みが進められ、販売は好調に推移し、結果的にこの領域における売上・利益ともに過去最高を記録しました。

他方、中長期的に大きな収益を期待するデータの利活用によるスマートシティやスマートべニュー領域においては、投資が先行している状態となっています。

以上の結果、セグメント売上高は2,249,199千円(前年同期比29.8%増)、セグメント利益は228,026千円(前年同期比39.2%増)となりました。

モビリティ・サービスセグメントは、祖業である自動車電装に端を発し、100年に一度という自動車産業の大変革期において、自動車に装着する安全支援機器や情報デバイスの販売であるカーソリューションから、コネクティッドカーサービスである“CiEMSシリーズ”やクルマのデータ利活用を推進するプラットフォーム、ソフトウエア、さらにカーシェアリングなどクルマのサービス化を支援するプラットフォーム“Kuruma Base”の提供へと、多様なモビリティIoTを事業とするモビリティ・サービスを推進してまいりました。特にテスラ車などのEVを活用したEVカーシェアリングのプラットフォーム提供は、今後のモビリティ・サービスにおける可能性を指し示すプロダクトをローンチできたと考えております。

当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の蔓延による移動制限の中で、企業の営業車活用が減少している影響を受けるものの、Kuruma Baseを活用したカーシェアリング分野では、所有からシェアへと自動車の所有の概念を大きく変える動向や、カーボンニュートラルの動きを踏まえEV化の波を背景に、ソリューション強化に取り組んでおります。

また、減価償却費の減少等により売上原価が抑制され、業務効率化により販売費及び一般管理費の抑制に努めました。

以上の結果、セグメント売上高は1,556,174千円(前年同期比9.2%減)、セグメント利益は233,098千円(前年同期は276,272千円の損失)となりました。

 

売上原価は2,518,519千円(前年同期比9.5%減)となりました。主たる要因は、モビリティ・サービスの売上高減少に伴う仕入高減少によるものであります。

この結果、当連結会計年度の売上総利益は1,286,854千円(前年同期比94.1%増)となりました。

販売費及び一般管理費は、営業活動の拡大や、企業の成長に合わせた組織強化に伴う人件費等の増加等により、1,301,937千円(前年同期比2.7%増)となりました。

この結果、当連結会計年度の営業損失は15,083千円(前年同期は605,316千円の損失)となりました。

(営業外損益及び経常損失)

営業外収益は、助成金収入を27,134千円、違約金収入を2,919千円計上したこと等により32,673千円(前年同期比28.1%増)となりました。

営業外費用は、支払利息6,058千円、和解金1,500千円を計上したこと等により9,361千円(前年同期は180千円)となりました。

この結果、当連結会計年度の経常利益は8,228千円(前年同期は580,000千円の損失)となりました。

(法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益)

法人税等調整額を23,338千円、非支配株主に帰属する当期純利益21,874千円を計上しました。その結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は1,080千円(前年同期は1,407,512千円の損失)となりました。

 

c.経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

 

d.経営者の問題認識と今後の方針

当社グループは、「スマート&テクノロジーで歴史に残る社会システムを創る!」を標榜しており、クラウドソリューション事業のさらなる拡大および月額固定収入の増額等収益基盤の拡充に取り組んでまいります。そのための経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

② 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2023年6月期から2025年6月期までの「第3次中期経営計画(ローリング版)」において2025年6月期の連結営業利益目標を200百万円として掲げております。2023年6月期におきましては、連結営業利益目標を48百万円としております。

 

③ キャッシュ・フロー状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローに関する分析

「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。 

 

b.資本の財源及び資金の流動性

当社グループにおける資金需要の主なものは、子会社への出資金、仕入代金、外注費等の製造原価、販売費及び一般管理費の営業費用による運転資金及び設備投資資金であります。当社グループの資金の源泉は、主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び増資による資金調達と金融機関からの借入による資金調達となります。

また、手元流動性資金(現金及び預金残高)は、一定額を保持する方針であり、資金の流動性は十分に確保できていると考えております。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産及び負債の数値、収益及び費用の数値に影響を与える見積りを必要としております。当該見積りについては、過去の実績値や状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき行っておりますが、見積りについては不確実性が存在するため、実際の結果と異なる可能性があります。

当社グループの連結財務諸表の作成にあたり用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

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