文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年6月30日)現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは「スマート&テクノロジーで歴史に残る社会システムを創る!」を標榜し、事業成長を図りつつ競合他社との差別化に注力するとともに、収益性の向上に取り組み、企業価値を継続的に拡大させる方針であります。また中長期的には2028年の創業100年までの方針として「Moonshot Vision 2028」と定め、既存クラウドサービスの拡充を図りつつ、リアルなまちをデジタルとコミュニティのチカラで未来の社会システム(スマートシティ)の創造を目指して推進してまいります。
当社グループは、2022年8月に発表した第3次中期経営計画(ローリング版)において、目標とするKPI(経営指標)として以下の数値を掲げております。当該KPIを採用した理由は、持続的な企業価値の向上につながる収益性の観点に加え、クラウドサービスをさらに充実させていく上でMRR(月次経常収益)を重要な指標として考えているためです。これらをKPIと認識し、企業価値の向上に努めてまいります。
(注)1.上記KPIについては、有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
2.スマートべニューセグメントは、2023年6月期より新たにデジタルガバメントセグメントから分離したセグメントです。
3.MRR(月次経常収益)は、月次で固定的に得るクラウドサービス利用料収入を指します。
クラウド市場では、IoT関連サービスのプラットフォームとしてもクラウドが不可欠な基盤となっており、引き続きクラウドファースト(注1)の流れや行政デジタル化に関する取組みにより、クラウド市場はさらに拡大していく見通しです。
デジタルガバメントでは、自治体など公の存在と地域社会・住民とのコミュニケーションを創発する社会システムとしてのクラウドサービスを提供しており、今後は、データ連携基盤(都市OS)をベースとしたスマートシティへと展開を図ることで21世紀の社会システム創造を推進いたします。
また、モビリティ・サービスでは、コネクティッドカーをはじめとする次世代のモビリティ社会の到来を見据え、自動車向けIoTサービスを自社で開発、展開してまいりました。今後、データの利活用を軸に、損害保険やカーシェアリング、「C.A.S.E」(注2)におけるイノベーティブなサービスの創造等、モビリティ分野における新たな社会システムやサービスなど付加価値の創造を行ってまいります。
また、当社グループの成長に必要不可欠なエンジニア等の育成と人材の高度化など人的資本への投資を推進し、管理機能の強化及び企業価値向上に向けたガバナンス体制の構築にも取り組んでまいります。
以上を踏まえた、当社グループ業績の拡大及び収益の向上を図り、経営基盤をさらに強固なものにすると共に更なる成長に向けて邁進してまいります。
情報通信サービス業界の事業環境は、大きな環境変化が短期間で次々とやってきており、所有から利用へのクラウドシフトはもちろんのこと、 IoT 、 AI 、さらにメタバース(注3)やトークンエコノミーなど Web3.0 (注4)関連の新たな世界観へと急速な発展を見せようとしています。
一方、新型コロナウイルス感染症の世界各国での拡大や戦争、資源問題など、経済活動や国民生活に大きな影響が及んでおり、今後も多方面にわたって先行きが不透明な状況となることが懸念されています。当社グループはこのような環境下において、以下の項目を対処すべき重要課題として取り組んでまいります。
① 高品質なクラウドサービスの提供
社会課題の解決に資するクラウドサービスの提供を推進している当社グループにとっては、安全・安心で高品質なサービスを提供することが重要な課題であると認識しております。そのためには、技術力の向上をベースとして、システム障害やサイバー攻撃への対応、急激なトラフィック増への対処や、特に自然災害発生時の大量のアクセス集中においても安定的なサービスをご提供するなど、あらゆる面で安心・安全なサービス運営が必要不可欠であります。当社グループといたしましては、引き続き信頼性・可用性・保守性を踏まえた高品質なクラウドサービスの実現に向けて取り組んでまいります。
② 積極的な営業展開とアライアンス戦略
当社グループでは、すでに全国に向けた営業展開を行っておりますが、クラウドファーストが浸透する中、自治体や法人企業向けに引き続き積極的な営業展開を推進する意向であります。常に技術革新が起こっているクラウドサービス市場において機能優位性及び販売価格の競争力を維持するため、お客様の声を広く収集しその要望と仕様を反映することで、既存サービスの機能改善・追加及び新規サービスの創出を継続的に実施してまいります。さらに市場やサービス提供領域の拡大に対応するためには、強みを有する他社とのアライアンス戦略も重要であると認識しております。
③ イノベーションの創出
当社グループ事業は、大きな時代の転換点において 20 世紀までの社会システムをデジタルのチカラで改革していくことを根幹に据えております。常に社会実装を意識して実質的な課題を念頭に置き、行政デジタル化の実現に向けたデジタルガバメント事業や C.A.S.E 時代の新たなモビリティ・サービスの創造、そしてスマートシティなどリアルなまちにおいて未来の社会システムの創造などを推進しております。
このように、当社グループにおいて引き続き創造的にイノベーションを育むことが重要であると認識しております。
④ 内部管理体制の強化
内部統制システムの適正な維持は、当社グループにおいて重要な課題と認識しております。財務報告をはじめ、業務全般における適正なプロセスの整備と運用を徹底してまいります。
また、当社グループは2021年11月より公正取引委員会による調査を受けておりましたが、当社グループが2022年6月に提出した確約計画について公正取引委員会の認定を受け、本調査を終了しております。確約手続とは、事業者が独占禁止法違反の疑いのある行為につき、自主的な解決のために実施する措置であり、当社グループが独占禁止法に違反したことを認定するものではありません。当社グループは、認定を受けた確約計画に基づき独占禁止法遵守体制の整備と運用を徹底してまいります。
⑤ 人的資本への投資及び働く環境の整備
人的投資の重要性が叫ばれ、賃金増なども踏まえつつ働く環境の整備は急務であると認識しております。競合が多数存在する当社事業領域において、イノベーションを創出し、競争優位で高品質なクラウドサービスを提供するためには技術力・営業力及び組織で働く上での魅力などの裏付けが不可欠となります。引き続き人材採用・育成・人事評価体系の整備運用及びその他の人材育成計画を策定し、知識の習得などの技術的研修と働く上での納得感を踏まえた社員幸福度の追求を実施してまいります。また、新型コロナウイルス感染症の影響に端を発し、職場環境の在り方に大きな変化が現れてきております。当社でもリモートワークやオンライン商談は標準化されておりますが、さらに物理的、環境的な制約のない働く環境への対応も必要であると認識しております。
⑥ 新型コロナウィルス感染拡大が経営戦略に及ぼす影響
国内外での新型コロナウイルス感染症への拡大防止策が講じられる中で、景気全体については持ち直しの動きがみられますが、新型コロナウイルス感染症が当社の業績に与える影響を適正かつ合理的に予測することは困難であります。中長期的には、クラウドサービス市場では、引き続きクラウドファーストの流れにより拡大していく見通しです。当社グループの主要なサービスであるデジタルガバメント及びモビリティ・サービス両分野は、「新常態」時代において新たな需要が見込まれ、事業機会の拡大の可能性があると想定しており、総合的には当社グループへの影響は限定的であると判断しております。
[用語解説]
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