「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用に伴い、「電気事業会計規則」が改正され、当連結会計年度から再生可能エネルギー固定価格買取制度に関する影響額について収益及び費用計上の対象外となった。
この改正を過去の期間に遡及適用しており、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析については、遡及適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っている。
(1) 経営成績の分析
① 経営成績
当連結会計年度の連結決算の売上高は、前連結会計年度に比べ782億10百万円(13.4%)増の6,634億14百万円となり、これに営業外収益を加えた経常収益は、799億13百万円(13.6%)増の6,668億14百万円となった。これは、卸販売が好調であったことや燃料価格の上昇に伴う燃料費調整額の増加などによるものである。小売販売電力量は、積極的な営業活動を展開しているが、引き続き厳しい競争環境にあることや気温の影響による暖房需要の減少などから、対前年度増減率△2.3%となった。他社販売電力量は、卸販売が好調であったことなどから、対前年度増減率100.6%となった。
一方、経常費用は、前連結会計年度に比べ1,072億33百万円(19.6%)増の6,529億83百万円となった。
以上により、経常利益は、前連結会計年度に比べ273億20百万円(△66.4%)減の138億30百万円となった。これは、発電設備に係る修繕費の減少や好調な卸販売などによる増加はあったが、前年度の寒波の影響や燃料価格の上昇などによるものである。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ292億90百万円
(△81.0%)減の68億64百万円となった。これは、 経常利益の減少に加え、インバランス収支還元損失15億19百万円を特別損失に計上したことなどによるものである。
セグメント別の経営成績(セグメント間取引消去前)は、次のとおりである。
[北海道電力]
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ592億62百万円(11.0%)増の5,979億34百万円となり、経常利益は、前連結会計年度に比べ242億26百万円(△66.9%)減の120億円となった。これは、発電設備に係る修繕費の減少や好調な卸販売などによる増加はあったが、前年度の寒波の影響や燃料価格の上昇などによるものである。
[北海道電力ネットワーク]
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ242億26百万円(9.9%)増の2,679億99百万円となり、経常損益は、前連結会計年度に比べ56億41百万円減の44億44百万円の損失となった。これは 北海道エリアの需要が低位で推移する中、カイゼン活動の積極的な推進をはじめ、経営全般にわたる効率化に努めたが、需給調整に係る費用が増加したことなどによるものである。
[その他]
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ32億89百万円(△2.4%)減の1,363億31百万円となり、経常利益は、前連結会計年度に比べ32億19百万円(67.9%)増の79億65百万円となった。これは主に電気通信事業の携帯電話事業者への回線提供収入が増加したことなどによるものである。
当社及び連結子会社の業種は広範囲かつ多種多様であり、また、「北海道電力」が担う発電・小売事業や「北海道電力ネットワーク」が担う一般送配電事業、離島における発電事業が事業の大半を占めることから、当該事業の発受電実績、販売実績及び資材の状況についてのみ記載している。
(注) 1 他社受電電力量には、連結子会社の北海道パワーエンジニアリング㈱及びほくでんエコエナジー㈱
からの受電電力量が含まれている。
2 揚水発電所の揚水用電力量とは貯水池運営のための揚水用に使用する電力である。
3 出水率は、自社の1990年度から2019年度までの当該累計期間の30ヶ年平均に対する比である。
(注) 1 販売電力量の小計欄は、北海道電力㈱の販売電力量を示す。
2 販売電力量のその他欄は、北海道電力ネットワーク㈱及び北海道電力コクリエーション㈱の販売電力量
を示す。
石炭、重油及びLNGの状況
(注) 本表には、当社及び北海道電力ネットワーク㈱の主な使用燃料を記載している。
[資産]
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ87億71百万円減の1兆9,928億79百万円となった。これは、固定資産仮勘定の増加や燃料価格の上昇による棚卸資産の増加などはあったが、減価償却による電気事業固定資産の減少などによるものである。
[負債]
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ47億55百万円減の1兆7,071億61百万円となった。これは、有利子負債の減少などによるものである。
[純資産]
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ40億15百万円減の2,857億17百万円となった。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上はあったが、配当金の支払いや退職給付に係る調整累計額の減少などによるものである。
以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は前連結会計年度末の13.8%から0.1ポイント減少し、13.7%となった。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ51億27百万円増の888億94百万円となった。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ342億9百万円減の1,023億37百万円の収入となった。これは、税金等調整前当期純利益の減少などによるものである。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ78億87百万円減の777億20百万円の支出となった。これは、固定資産の取得による支出の減少などによるものである。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の減少などにより、194億89百万円の支出となった。
(4)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
ほくでんグループの資金需要は、主に電気事業に係る設備投資や債務償還に必要な資金であり、自己資金のほか、社債の発行及び金融機関からの借入により調達を行っている。また、短期的な資金需要にはコマーシャル・ペーパーを活用している。
資金調達にあたっては、月次での資金繰計画に基づく適切な資金管理を行っており、緊急の資金需要に対しては、現金及び現金同等物の保有に加え、当座貸越契約やコミットメントライン契約により充分な流動性を確保している。
なお、2021年12月には、再生可能エネルギーの開発等に資金使途を限定した社債「北海道電力グリーンボンド(第372回債)」を当社として初めて発行し、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを進めていく上での資金調達の多様化・安定化に努めている。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
ほくでんグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたり採用する重要な会計方針については「第5経理の状況」に記載している。
ほくでんグループは、連結財務諸表を作成するにあたり、繰延税金資産の回収可能性、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積り及び判断を行っているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。このうち、重要なものについては、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載している。
(6)経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
ほくでんグループは、2021年度は「ほくでんグループ経営ビジョン2030」で示した第Ⅰフェーズの経営目標「連結経常利益230億円以上/年」を目指し、電力販売におけるサービスの充実やアライアンスの拡大による販売活動の強化や、カイゼン活動・DXの推進などによる費用低減を通じた経営基盤の強化に取り組んだ。
2021年度の連結経常利益は、「連結経常利益230億円以上/年」の目標に対して、発電設備に係る修繕費の減少や好調な卸販売などによる増加はあったが、前年度の寒波の影響や燃料価格の上昇などにより、前連結会計年度に比べ273億20百万円減の138億30百万円となった。また、連結自己資本比率は、13.7%となり、2030年度までに15%以上の達成を目指している。
2030年度までに目指す経営目標については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」へ記載している。
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