事業等のリスク

2【事業等のリスク】

 ソフトバンクグループ㈱は、直接または投資ファンドを通じて多数の企業に投資を行い、その投資ポートフォリオを管理する戦略的投資持株会社です。投資ポートフォリオには、子会社・関連会社(以下「グループ会社」)とそれらに分類されない投資先が含まれます(以下、グループ会社と併せて「投資先」)。これらの投資先は、国内外において多岐にわたる事業を展開しています。ソフトバンクグループ㈱の投資活動、および投資先の事業活動の遂行にはさまざまなリスクを伴います。本有価証券報告書の提出日現在において、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主要なリスクは、以下の通りです。なお、これらは、ソフトバンクグループ㈱および投資先で発生しうるすべてのリスクを網羅しているものではありません。また、将来に関する事項については別段の記載のない限り、本有価証券報告書の提出日現在において判断したものです。

 

(1)ビジネスモデルについて

 ソフトバンクグループ㈱は、独自の組織戦略「群戦略」(「第2 事業の状況、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)中長期的な会社の経営戦略」を参照)の下、グループ会社(例えば、ソフトバンク㈱やアーム、アリババ)への投資を含む直接投資(100%子会社を通じた投資を含みます。)に加え、投資ファンド(例えば、ソフトバンク・ビジョン・ファンド)を通じて、情報・テクノロジー分野において多様な事業を展開する企業から成る投資ポートフォリオを構築することで、株主価値(注1)の向上に取り組んでいます。この過程において、ソフトバンクグループ㈱は投資先同士の協業を促進するなど、その幅広いネットワークやこれまで培ってきた知見を活用して投資先各社の資産価値の向上を後押しするともに、適切なタイミングでそれらの株式資産を売却し、その回収した資金を成長戦略に基づき新規投資に充当するほか、適切なタイミングで株主還元や負債返済にも振り向けています。しかし、株式相場が下落した場合や投資先の事業展開や業績がソフトバンクグループ㈱の投資決定時における想定を大幅に下回った場合、その資産価値、すなわちソフトバンクグループ㈱の保有株式価値が低下し、株主価値が低下、LTV(Loan to Value)(注2)が悪化するとともに、保有株式を含む資産の評価損を計上することにより、ソフトバンクグループ㈱の連結業績および財政状態、ひいては新規投資や財務政策に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(注1)株主価値=保有株式価値-純負債

(注2)LTV=純負債÷保有株式価値。「第2 事業の状況、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)重視する経営指標」をご参照ください。

 

(2)資金調達について

 ソフトバンクグループ㈱(資金調達を行う100%子会社を含みます。)は、新規投資を継続的に行っていくために必要な資金を、株式資産の売却、投資先からの配当や投資ファンドからの分配金、保有資産を活用した資金調達(アセット・バック・ファイナンス)などでまかなうことを目指しています。しかし、新規投資のための資金が必要な時期に株式資産の売却や資金調達を行うことができない場合、投資機会を逸し、株主価値の継続的な向上に支障が生じる可能性があります。また、一部の保有株式を活用した資金調達については、株式市場の悪化などにより対象となる保有株式価値が下落した場合には、追加で現金担保の差し入れが必要となる可能性や期限前の返済義務が発生する可能性があることに加えて、新たな資金調達が困難になる可能性があります。

 ソフトバンクグループ㈱は、金融機関からの借入れや社債の発行などによっても、投資活動に必要な資金を調達しています。負債による資金調達については、金融政策や金融市場の変化等により金利が上昇した場合や、保有資産価値の減少や業績悪化によりソフトバンクグループ㈱の信用格付けが引き下げられるなど信用力が低下した場合には、調達コストが増加し、ソフトバンクグループ㈱の連結・個別業績に悪影響を及ぼす可能性があるほか、資金調達が予定した時期・規模・条件で行えない場合には、ソフトバンクグループ㈱の投資活動(投資ファンドを通じた投資を含みます。)および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 ソフトバンクグループ㈱(資金調達を行う100%子会社を含みます。)は、負債の返済原資を確保するために、新たな資金調達やリファイナンス、一部保有資産の売却などを行うことがあります。市場環境を注視した上で適切と考える時期での資金調達を実施し、財務規律に基づき十分な手元流動性を安定的に維持することに努めています。しかしながら、資金調達に適さない環境が想定以上に長期化した場合、返済原資の捻出のために不利な条件での株式資産売却や予定外の株式資産売却を余儀なくされ ソフトバンクグループ㈱の保有株式価値や株主価値、連結・個別業績、投資パフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。

 ソフトバンクグループ㈱の金融機関からの借入れや社債などの債務には、各種コベナンツが付されていることがあります。いずれかのコベナンツに抵触する可能性が発生し、抵触を回避するための手段を取ることができない場合、当該債務について期限の利益を喪失する可能性があるほか、それに伴い、その他の債務についても一括返済を求められる可能性があります。その結果、ソフトバンクグループ㈱の信用力や財政状態に著しい悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)経営陣について

 ソフトバンクグループ㈱が投資をしている主要な投資先やファンドは、それぞれのCEOなどを中心とする経営陣の下で自律的に運営を行っています。例えば、ソフトバンク㈱の代表取締役 社長執行役員 兼 CEOは宮内 謙(ソフトバンクグループ㈱取締役)が、アームのCEOはサイモン・シガース(ソフトバンクグループ㈱取締役)がそれぞれ務めています。また、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの運営会社であるSoftBank Investment AdvisersのCEOはラジーブ・ミスラ(ソフトバンクグループ㈱取締役副社長)が務めています。

 しかし、ソフトバンクグループ㈱の重要な経営陣、特に代表取締役会長兼社長であり当社グループ代表である孫 正義に不測の事態が発生した場合、ソフトバンクグループ㈱の活動全般に支障が生じる可能性があります。

 

(4)投資活動について

 ソフトバンクグループ㈱は、企業買収、子会社・合弁会社の設立、事業会社(上場・非上場企業を含みます。)・持株会社(各種契約によって別会社を実質的に支配する会社を含みます。)・投資ファンドへの出資などの投資活動を行っています。これらの投資活動については、以下a~eのようなリスクがあり、これらのリスクが顕在化した場合には、投資先の資産価値、すなわちソフトバンクグループ㈱の保有株式価値が低下し、株主価値が低下、LTVが悪化するとともに、保有株式を含む資産の評価損を計上することによりソフトバンクグループ㈱の連結業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、投資先の中でも、特に連結業績への影響の大きい、ソフトバンク・ビジョン・ファンドとソフトバンク㈱の特有のリスクについては、それぞれ「(5)ソフトバンク・ビジョン・ファンドについて」と「(6)ソフトバンク㈱について」をご覧ください。

 

a.政治情勢、金融・財政政策、国際情勢の動向

 ソフトバンクグループ㈱は、日本だけでなく、米国、中国、インド、欧州・中南米諸国などの海外の国・地域に展開する事業体に投資しているため、これらの国・地域における政治情勢や金融・財政政策の変化、貿易摩擦・紛争などの国際情勢の変化、自然災害の発生、感染症のまん延などの公衆衛生上の危機(「b.新型コロナウイルスの感染拡大」を参照)により、経済情勢や金融市場が悪化した場合には、ソフトバンクグループ㈱の投資活動や投資先の事業活動が期待通りに展開できない可能性があります。例えば、ソフトバンクグループ㈱の投資実行や回収の遅滞、投資回収における条件の悪化などが起こる可能性があるほか、投資先が提供するサービス・商品に対する需要の低下や供給の停滞により各社の事業や業績が悪影響を受ける可能性があります。また、流動性の低い未上場企業への投資については、市場環境が急激に悪化した場合などには、ソフトバンクグループ㈱の希望する時期・規模・条件で投資持分を売却できない可能性があります。これらの結果、ソフトバンクグループ㈱の保有株式価値や株主価値、LTV、連結・個別業績、投資パフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。

 このほか、ソフトバンクグループ㈱による海外企業への外貨建投資においては、為替変動に伴う損失が発生する可能性があります。また、ソフトバンクグループ㈱の連結財務諸表の作成にあたり、アームをはじめとする海外のグループ会社の現地通貨建ての収益・費用および資産・負債を日本円に換算するため、為替相場の変動がソフトバンクグループ㈱の連結業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

b.新型コロナウイルスの感染拡大

 「a.政治情勢、金融・財政政策、国際情勢の動向」で言及した公衆衛生上の危機の具体例として、新型コロナウイルスの感染拡大が挙げられます。2020年初頭から始まった新型コロナウイルスの感染拡大は収束の時期がなお見えず、ソフトバンクグループ㈱の投資活動および投資先の事業活動に与える中期的な影響を具体的に見通すことが困難な状況が続いています。ただ、足元ではすでにソフトバンクグループ㈱の保有株式価値に悪影響が出ており、中でもソフトバンク・ビジョン・ファンドは投資先の公正価値の減少に伴い、当第4四半期に1.1兆円の投資損失を計上しました。感染拡大の収束までの期間が延びれば、来期も投資活動および投資先の事業活動は先行きの不透明感が拭えない状況が長引くと見込んでいます。主要な投資先であるソフトバンク㈱においては、現段階では通信事業への影響は軽微と見込んでいます。また、その傘下のZホールディングス㈱においては、イーコマースの利用が増加すると見込まれる一方で、広告出稿や宿泊・飲食予約サービスの利用が減少すると見込んでいます。もう一つの主要な投資先であるアームにおいては、コンシューマー・エレクトロニクスの出荷が減少することによりテクノロジー・ロイヤルティー収入に、またライセンシーによる新規ライセンス契約締結の延期が発生することによりテクノロジー・ライセンス収入に、それぞれ悪影響が及ぶ可能性があると見込んでいます。

 多くの国が都市封鎖や外出制限、出入国制限を実施する中、ソフトバンクグループ㈱および多くの投資先はビデオ会議システムやビジネスチャットツールなどを活用して投資活動や事業活動を継続しています。しかし、そのような環境下では投資活動や事業活動に制約が生じることがあり、新型コロナウイルス感染拡大の影響が想定以上に長引いた場合、ソフトバンクグループ㈱の保有株式価値が低下し、株主価値やLTV、連結・個別業績、投資パフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。ソフトバンク・ビジョン・ファンドへの影響については「(5)ソフトバンク・ビジョン・ファンドについて」「k.新型コロナウイルス等の感染拡大」をご参照ください。

 

c.投資に関する規制

 ソフトバンクグループ㈱が行う投資活動は、関係各国の規制当局から承認等が必要となる場合や投資先への関与に制約を受ける場合があります。また、関係各国において、投資活動に関する規制の新設や強化が行われる可能性があります。ソフトバンクグループ㈱は、その法務部門と外部のアドバイザーを含む関係者とで連携し、それぞれの規制に対応していますが、これらの必要な承認等が得られないなど制約を回避できない場合には、ソフトバンクグループ㈱の期待通りに投資を実行できない可能性があります。

 例えば、ソフトバンクグループ㈱は、一部の米国投資に関して、その投資の対象となる会社(本(c)において「対象会社」)および米国関係省庁との間で国家安全保障契約を締結しています。この国家安全保障契約に基づき、ソフトバンクグループ㈱と対象会社は、米国の国家安全保障を確保するための方策を実行することに合意しています。これら方策の実行に伴いコストが増加する、または米国内の施設、契約、人事、調達先の選定、事業運営に制約を受ける可能性があります。

 

d.投資判断

 ソフトバンクグループ㈱が投資ファンド(例えば、ソフトバンク・ビジョン・ファンド)を経由せずに直接投資(100%子会社を通じた投資を含みます。)を行う場合、その投資判断プロセスにおいて、社内関係部門に加えて外部の財務・法務・税務アドバイザーなどの協力を得て、対象企業の事業内容、テクノロジー、ビジネスモデル、市場規模、事業計画、競争環境、財務内容、法令遵守状況などについてデュー・ディリジェンスを実施し、その株式価値を適切に見積るとともに、事業や財務、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス、内部統制に係るリスクを把握するように努めています。また、デュー・ディリジェンスで得られた内容が適切かどうか、専門の審査部門が客観的なレビューを行っています。そうして得られた検討結果を踏まえて、取締役会または取締役会から権限を委譲された投融資委員会(「第4 提出会社の状況、コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照)で投資判断を下しています。

 特に投資先のコーポレート・ガバナンスに係るリスクについては、「ポートフォリオ会社のガバナンス・投資指針に関するポリシー」を定めることにより、ソフトバンクグループ㈱およびその子会社(原則として、ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびソフトバンクグループ㈱の子会社が管理するその他の投資子会社を含みます。)が投資の検討過程において考慮するべき、投資先のコーポレート・ガバナンスに関わる基準を明確化しています。本ポリシーは、投資先の取締役会の構成、創業者・経営陣の権利、株主の権利(多議決権株式に関する事項を含みます。)、利益相反の回避などに関連するもので、広範にわたるコーポレート・ガバナンスの重要事項を網羅しています。なお、本ポリシーは一般的な原則を定めたものであり、一定の制限の下で各投資元に裁量の行使を認めています。各投資元は各投資先のコーポレート・ガバナンスを監視し、その結果をソフトバンクグループ㈱に定期的に報告することが義務づけられています。

 しかし、このような慎重な投資判断プロセスを経たとしても、対象企業の企業価値やテクノロジー、ビジネスモデル、市場規模などを実態よりも過大評価する、リスクを過小評価する、または重要な影響力を持つ創業者や経営者の資質を見誤ったまま投資判断を下す可能性があります。その結果、投資実行後に、その資産価値、すなわちソフトバンクグループ㈱の保有株式価値が低下し、株主価値が低下、LTVが悪化するとともに、保有株式を含む資産の評価損を計上することにより連結業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

e.投資先の資産価値の下落

 ソフトバンクグループ㈱は、投資実行後も、投資先の財務・経営情報や重要な経営指標、投資決定時の事業計画と実際の進捗の差異、コーポレート・ガバナンスの状況など、主なリスク要因を継続的に監視し、その結果を経営陣に報告する体制を整えています。また、監視の結果を踏まえて、投資先の経営改善のために必要な助言の提供や、役員・管理職など各種レベルの人材の派遣、協業先の紹介など、必要に応じて行っています。

 しかし、「a.政治情勢、金融・財政政策、国際情勢の動向」および「b.新型コロナウイルスの感染拡大」で言及したマクロ外部要因に加えて、テクノロジーやビジネスモデルの陳腐化や競争環境の激化などにより、ソフトバンクグループ㈱が投資決定時に想定した通りに投資先が事業を展開できず、業績が大幅に悪化したり、事業計画の大幅な見直しを迫られたりする可能性があります。また、投資先が1株当たり株式価値の大幅な希薄化を伴う増資などを行う可能性があります。こうした場合、投資先の資産価値が下落し、ソフトバンクグループ㈱が、株式などの金融資産の評価損や投資に伴い発生したのれん、有形固定資産、無形資産の減損損失を計上する可能性、投資先から期待通りに利益分配などのリターンを得られない可能性、または、投資の回収ができない可能性があります。

 なお、ソフトバンクグループ㈱の個別決算においては、投資活動により取得した出資持分などを含む資産の価値が下落した場合、評価損が発生し、業績や分配可能額に悪影響を及ぼす可能性があるほか、投資先の業績が悪化した場合には、投資先から期待通りの配当を得ることができず、キャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。

 このほか、ソフトバンクグループ㈱は、ソフトバンクグループ㈱の投資決定時に想定した通りに事業を展開できない場合、他の投資先などとの間で十分なシナジー(相乗効果)を創出できない場合、または事業展開のために想定以上の資金が必要となった場合など、投資先の株主価値の向上に必要と判断した場合、投資先に対し一時的に融資や債務保証などを行うことがあり、当該投資先に係るリスク資産が増加することになります。

 

(5)ソフトバンク・ビジョン・ファンドについて

 ソフトバンク・ビジョン・ファンド(以下「SVF」)は、英国の金融行為規制機構(the Financial Conduct Authority)の認可および規制を受けた、ソフトバンクグループ㈱の英国100%子会社であるSB Investment Advisers(UK)Limited(以下「SBIA」)が運営する投資ファンドであり、テクノロジー分野(通信やインターネット、メディアを含みます。)で株式等に投資を行っています。SVFに対し、ソフトバンクグループ㈱はリミテッド・パートナーとして出資を行っており、また、SBIAはSVFの投資の状況に応じて、SVFから管理報酬および成功報酬を受け取ります。

 2020年3月31日現在、SVFの出資コミットメント総額は986億米ドル(うちソフトバンクグループ㈱および子会社331億米ドル)(注1)であり、これに対するリミテッド・パートナーによる累計支払義務履行額は783億米ドル(うち同286億米ドル)、コミットメント残額は203億米ドル(うち同45億米ドル)です。

(注1)SVFに関連するインセンティブ・スキームへ活用される予定の50億米ドルを含みます。

 

 SVFおよびSBIAに存在する特有のリスクは、主として以下a~kに記載する通りです。SBIAは、リスクマネジメントフレームワーク(以下「RMF」)を定め、SBIA全体の事業プロセスと意思決定にリスク管理を組み込んでいますが、これらのリスクの顕在化を完全には回避できない可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合には、SVFの投資ポートフォリオの資産価値が下落し、SVFおよびSBIAの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。SVFの投資ポートフォリオの資産価値が下落した場合、ソフトバンクグループ㈱の保有株式価値が低下し、株主価値が低下、LTVが悪化するとともに、保有株式の評価損を計上することによりソフトバンクグループ㈱の連結業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、本(5)において、「投資先」はSVFの投資先を意味します。

 

SBIAのRMFについて

 この枠組みは、事業運営および投資の両面のリスク管理を対象とし、リスクを特定、評価、および軽減するための枠組みを構築するものです。SBIAのRMFの根幹を成す原則は以下の通りです。

・取締役会がリスク管理の最終的な責任を負い、重要な意思決定にはリスクが考慮されなければならない(“経営トップの姿勢”)

・投資家の期待やSBIAの戦略目標、規制要件を充足するため、組織全体にわたる実効性の高いリスクカルチャーを確立する

・将来を見据えてリスクを特定・軽減することにより、経営陣によるリミテッド・パートナーからの預かり資産およびSBIAのレピュテーションの保護のため積極的な行動を促す

・重要な既存または新規発生リスクが能動的に特定、測定、緩和、監視、および報告されることを確実にする

・現地および当社における規制当局のリスク管理要件を充足する

 

 

a 業績への影響

 SVFを構成する事業体はすべてソフトバンクグループ㈱の連結対象です。SVFからの投資は、毎四半期末に公正価値で測定されます。公正価値の変動は、投資損益(ただし、子会社株式に対する投資損益を除きます。)として、連結損益計算書上の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドからの営業利益」に含めて計上されます。公正価値の測定は、取引事例法や割引キャッシュ・フロー法、類似会社比較法など複数の評価方法を組み合わせて行われます。投資先の業績の悪化や金融市場、経済情勢の低迷などにより、投資先の公正価値が下落した場合は、SVFの業績が悪化し、その結果、ソフトバンクグループ㈱の連結業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当期において、ソフトバンクグループ㈱の連結業績におけるソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドからの営業損失は1.9兆円にのぼりました。また、ソフトバンクグループ㈱の個別決算では、SVFの業績が悪化した場合、リミテッド・パートナーとしての出資に対して評価損が発生し、業績や分配可能額に悪影響を及ぼす可能性があります。

 SVFの投資先のうち、IFRSに基づいてソフトバンクグループ㈱が支配をしていると見なされる投資先は、ソフトバンクグループ㈱の子会社として扱います。当該子会社の業績および資産・負債はソフトバンクグループ㈱の連結財務諸表に反映されることから、当該子会社たる投資先の業績が悪化した場合は、ソフトバンクグループ㈱の連結業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、SVFで計上した当該子会社への投資に係る投資損益は、内部取引として連結上消去されます。

 なお、適正な公正価値評価を実現するため、SVFの評価プロセスは、SBIAの評価・財務リスク委員会(以下「VFRC」)が監督を行っています。SVFの投資先の評価を行う際、VFRCは、IFRS第13号「公正価値測定」および国際プライベート・エクイティ・ベンチャー・キャピタル評価(IPEV)ガイドラインに基づいたSVFの評価方針に従って評価を行います。これに加えて、SVFの投資家諮問委員会(IAB)に任命された独立第三者評価機関が、SVFの投資先の評価を独立性をもって半期ごとに実施しています。SBIAは、独立第三者評価機関から受領した評価を(SBIAの規制上の義務に則った適切な範囲で)すべて考慮する必要があります。

 

b.投資成果

 SVFの投資成果は、ソフトバンクグループ㈱と外部投資家で構成されるリミテッド・パートナーに配分されるほか、SBIAに成功報酬として配分されます。SVFの投資採算が悪化し計画通りの投資成果を挙げられない場合には、ソフトバンクグループ㈱はリミテッド・パートナーとして期待通りの成果分配を受けることができない、または投資回収できない可能性があるほか、SBIAは期待通りの成功報酬を受け取ることができない可能性があります。

 また、SBIAは、投資の売却や配当および株式の資金化などにより実現した投資利益に基づき成功報酬相当額を受け取ります。なお、SVFの投資期間(2019年9月12日に終了)の間に資金化された投資に対する成功報酬相当額は、リミテッド・パートナーシップ・アグリーメントの定めにより、SBIAへの支払が留保され、一時的にリミテッド・パートナーに支払われていましたが、投資期間終了後、留保されていた成功報酬相当額の総額が2020年3月31日までにSBIAに支払われました。ただし、投資期間終了後においても、受け取った成功報酬には、将来の投資成果に基づく一定の条件の下、クローバック条項(過去に受け取った成功報酬額を返還する条項)が設定されているため、SVFの清算時においてSVFの投資成果が一定以上でない場合、SBIAは期待通りの成功報酬を受け取ることができない可能性があるほか、それまでに受け取った成功報酬相当額が減額される、または成功報酬を受け取ることができない可能性があります。

 

c.レバレッジ

 SVFは、キャピタル・コール用のつなぎ資金やポートフォリオ・レベルでレバレッジを発生させることを目的として、借入れを行うことがあります。当該レバレッジはSVFのエクスポージャーを高める手法を意味し、直接の借入れ、債券またはメザニン証券の発行、証拠金取引、デリバティブ商品や、その他の形態による直接および間接の借入金などの形態をとることがあります。これらの利用またはレバレッジに対するエクスポージャーにより、SVFの投資は、金利の大幅な上昇、深刻な景気後退、または投資先の市場環境の悪化を含む、経済的要因の悪化からの影響を受けやすくなります。これらのレバレッジにより調達した資金を用いた投資が負債の元本および利子の支払いに十分なキャッシュ・フローを生み出せない場合、SVFの当該投資の価値は大幅に減少または消滅する可能性があり、また当該レバレッジが複数の投資に対しリコースするものである場合、対象となる他の投資価値も減少または消滅する可能性があります。借入れに付随する義務を果たすに足る利益を生み出すことができない場合、投資の早期回収を迫られることとなり、ソフトバンクグループ㈱を含むリミテッド・パートナーへの分配に悪影響を与える可能性があります。当期において、SVFは、保有株式の一部の資金化を目的とした36.5億米ドルの借入れを2019年7月に行いましたが、このうち11億米ドルについて、2020年3月、市場環境の悪化に伴う当該借入れの担保に供した上場株式の株価の大幅下落を受け、ソフトバンクグループ㈱を含む全てのリミテッド・パートナーへの資金拠出の要請(キャピタル・コール)による調達資金を原資として返済を行いました。

 なお、SBIAは、SVFの設立関連契約および借入契約に定められたレバレッジ制限を遵守すると同時に、既存の負債と投資のパイプラインも考慮に入れながら、SVFのレバレッジ水準および関連キャッシュ・フローを綿密にモニタリングしています。レバレッジ水準と潜在的なキャッシュ・フローに関する問題は、財務および投資リスク部門の双方から経営陣に報告され、対策が検討されます。またSVFは、借入の利払いやその他のSVFの債務へ充当する目的でリミテッド・パートナーからの未払込資金が一定程度留保されており、潤沢な流動性ポジションを有しています。SBIAは、SVFが常に適切な予備的現預金を維持し続けるように努めています。

 

d 投資のエグジット機会の不足

 SVFが取得する投資は流動性が低いことが多く、SBIAは最終的にどのようなエグジット戦略をとるかについて、完全かつ確実に予定することはできません。したがって、SVFが当該投資を適時に回収できる保証はなく、その結果、リミテッド・パートナーへの現金分配のタイミングは不確実かつ予測不能です。また、経済、法規制、政治またはその他の要因により、投資開始時に可能と思われたエグジット戦略が、投資が回収段階に達するまでの間にとりえなくなる場合があります。さらに、SVFは、契約またはその他の制約により、特定の証券の売却を一定期間禁止される可能性があり、そのような場合、有利な市場価格で売却する機会を逸する可能性があります。

 なお、エグジット戦略の承認はSBIAの投資委員会の重要な検討事項であり、エグジット戦略はSBIAの投資部門が定期的に見直し、更新しています。また、エグジット戦略の事前計画のために、投資リスク部門が様々な市場環境を想定したストレステストを実施しています。SVFは、原則として2029年11月20日まで運用が可能な長期投資ファンドであり、複数の景気後退の可能性や、エグジットまでに時間を要する投資がありうることも考慮されて設計されています。

 

e.支配権を伴わない投資および限定的な株主権利

 SVFは、投資先において支配権を伴わない持分を有する場合、保有持分の保護や経営への影響力行使の能力が限定的となる可能性があります。またSVFは、金融、戦略、またはその他の分野における他社(グループ会社を含みます。)と共同で、合弁会社などを通じて投資を行う場合があり、当該他社が、当該合弁会社または投資先に対しSVFよりも大きな保有割合もしくは支配権を有する場合があります。このような場合、SVFは当該他社の経営陣および取締役会(SVFと利害が競合し得る他の金融投資会社の関係者が構成員に含まれる場合があります。)に大きく依存することとなります。

 

f.人材の確保・維持

 SBIAは、SVFをはじめとして、運営する投資ファンドの保有株式価値の最大化を目的として、投資先を慎重に選定することに加え、投資後の成長を促す様々な支援を行います。このような取り組みの成功には、テクノロジーや金融市場に関する幅広い知見や投資事業の運営における専門的スキルを保有する有能な人材の確保・維持が不可欠です。SBIAは、投資・運用体制を幅広く有するうえ、研修や能力開発、スタッフが潜在能力を最大限に発揮できるよう行われる社内異動に至るまで、様々な人材サポートプログラムを通じ、スタッフの定着を図っており、SBIAとその報酬委員会が有する、報酬を成果に連動させる総合的な報酬哲学は、市場と比べ非常に高い競争力に寄与していると自負しています。しかしながら、このような有能な人材を十分に確保・維持することができない場合(要因には、オルタナティブ・アセット投資会社や金融機関、プライベート・エクイティ、グロース・エクイティおよびベンチャー・キャピタル、投資顧問会社およびその他の市場参加者との間での、高い能力を有する投資プロフェッショナル人材の獲得および維持の競争激化を含みます。)は、運営するファンドの投資規模の維持・拡大や将来の投資成果に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

g.リミテッド・パートナー

 SBIAは、SVFの投資の実行にあたり、参画するリミテッド・パートナーに対して、資金拠出の要請(キャピタル・コール)を行いますが、何らかの事情によりリミテッド・パートナーから資金が拠出されない場合は、SVFによる投資金額が制限されるなど、SBIAの計画通りに投資を行えない可能性があります。また、SVFの出資持分はソフトバンクグループ㈱を含む少数の大口投資家によって保有されており、このような大口投資家がキャピタル・コールに応じることができない場合、他のリミテッド・パートナーは一定の範囲内で不足額を補う責務を追うものの、持分がさらに分散して保有される場合と比して悪影響が大きくなります。さらに、出資コミットメント額の大きな外部のリミテッド・パートナーは、一定額以上の投資案件について拒否権を有しているため、当該拒否権が行使された場合は、SBIAの計画通りに投資を行うことができない可能性があります。

 

h.新たな技術やビジネスモデルへの規制

 SVFの投資先には、AIやビッグデータなどの新技術の事業への活用や研究開発を行う企業や、既存の枠組みとは異なる新たなビジネスモデルを展開する企業が多く含まれます。このような新たな技術やビジネスモデルが提供される事業領域(例えば、自動運転やライドシェアサービス)は、多くの国・地域において特定的かつ厳格な規制または許認可の対象とされる場合があります。関連する法令等の整備により、規制が設定または強化された場合は、新たな経済的負担または規制が課されたり、採用する技術やビジネスモデルまたはこれらに関する研究開発について、内容の変更や停止または終了が必要になるなど、投資先の事業展開および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、特定のテクノロジーに関連するサービスの提供に必要な許認可には様々な条件が課されるものの、SVFの投資先がこれらの条件を満たすことができる保証はありません。

 

i 特定の分野への投資の集中

 SVFは、特定の事業領域における複数の企業への投資を有しており、当該事業領域に対する投資の集中度が高くなる場合があります。例えば、Uber Technologies,Inc.や、Xiaoju Kuaizhi Inc.、GRAB HOLDINGS INC.など、ライドシェアサービスを提供する企業に投資を行っています。こうした事業領域において、需要の低迷や市場競争の激化(投資先間の競合を含みます。)など事業環境の悪化により、投資先の収益性が低下するなど業績が悪化した場合や、SVFの投資時点に想定した通りに事業展開ができない場合や、当該事業領域に対する市場の評価が悪化した場合には、投資先の業績または公正価値に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、投資の集中度については、SBIAの投資リスク部門が測定および経営陣への報告を行い、SBIAの投資委員会および取締役会のメンバーが検討を行います。SBIAの投資委員会および必要に応じ実施されるIABによるレビューなどの投資プロセスの中で、投資を分散させるかまたはリスクを許容するかが決定されます。

 

j 上場企業への投資

 SVFの投資ポートフォリオは、上場企業が発行する証券や債券が含まれる場合があり、これらの投資は、未上場企業への投資におけるリスクとは種類および程度が異なるリスクを伴う可能性があります。当該リスクには、投資の公正価値評価(バリュエーション)に市場価格が用いられることによるボラティリティー、投資先に関する情報開示義務の増加、当該証券および債券の処分におけるSVFの裁量への制限、投資先の役員および取締役(SBIAの従業員である場合を含みます。)に対する投資先株主からの訴訟およびインサイダー取引の告発の可能性の増加、ならびにこれらのリスクを低減するためのコストの増加が含まれます。さらに、取引所で取引される証券については、上場証券の一部またはすべてについて取引を一時停止できる取引所の権限の影響下にあるため、このような取引停止または制限により保有投資の資金化に制約が生じることで、SVFに損失が生じる可能性があります。

 流動性イベントに伴ってSVFが保有する上場証券に生じる市場リスクを軽減するため、SBIAの投資活動による市場への影響を最小限に抑え収益を最大化するよう計画的にポジションを売却するなどの仕組みを設定しています。またSBIAは、カバードコール・オプションを売却するなどしてデリバティブ契約を締結することでエクスポージャーを低減することもあります。また、米ドルに対する為替レートが不安定な通貨建ての証券に投資している場合の為替リスクをヘッジすることも検討しています。

 また、SVFが上場証券のポジションを管理するうえで発生する運用リスクとコンプライアンスリスクは、SBIAのミドルオフィス、コンプライアンス、投資リスク部門などの運用リスク管理部門が関与するコントロール・フレームワークを通じて管理されており、これには取引相手の確認などの取引前の承認プロセス、取引後の調整およびモニタリングが含まれます。

 

k.新型コロナウイルス等の感染拡大

  新型コロナウイルスをはじめ、その他の感染症および伝染病の蔓延への懸念から、これまでも各国において公共交通機関の利用を含む移動の制限、検疫の強化、長期にわたる事業所の閉鎖および在宅勤務の義務付けまたは要請などの感染拡大の防止策が講じられてきました。新型コロナウイルス感染症のような伝染病の世界規模での発生により、世界の資本市場のボラティリティーが高まる可能性や地域および世界経済に悪影響が生じる可能性があり、これにより多大な損害が発生するなどしてSVFの事業および業績が悪化し、ソフトバンクグループ㈱を含むリミテッド・パートナーへのリターンが減少する可能性があります。当期において、ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、新型コロナウイルスの感染拡大およびそれに伴う世界経済の停滞の影響による投資先の公正価値の減少などに伴い、当第4四半期に1.1兆円の投資損失を計上しました。新型コロナウイルスおよびその他の感染病・伝染病の拡大防止策やSVFの投資先の役職員の疾病を理由とする欠勤などが継続した場合、SVFの投資先の事業およびリターンに悪影響を及ぼす可能性があります。

 新型コロナウイルスの感染拡大に対し、SBIAは、投資先と緊密に連携しながら、収益の減少や流動性の低下など投資先の事業環境のさらなる悪化に備えるための事業運営の支援や戦略の指導を行い、新型コロナウイルスの感染拡大による経済悪化局面における事業への悪影響の低減を図っています。また、投資先に対し、手元資金を活用した精緻なキャッシュ・フロー計画を立てることによりコスト構造を最適化し、事業の継続と柔軟性を確保するよう促しているほか、現金準備残高ならびに各投資先のセクターおよびビジネスモデルに基づく新型コロナウイルスの感染拡大への感応度を評価した上で、①手元資金の保全、②コスト削減、③事業継続のための応急措置、④短期的な善後策、⑤在宅勤務体制下でのオフィススペースの最適化、⑥利用可能な政府補助策の確認、に関する助言を行っています。さらに、SVFは原則として2029年11月20日まで運用が可能な長期投資ファンドであり、まだ十分な残存期間があることにより、四半期ごとに起こり得る評価額の洗い替えから生じる未実現損益の変動に左右されることなく、中長期的な実現リターンの創出にフォーカスすることが可能です。しかしながら、これらの取り組みやSVFの長期ファンドという性質をもってしても、全ての投資先の事業運営およびリターンへの悪影響を完全には防ぐことができない可能性があります。

 また、これらの要因は、主要人物を含むSVFの投資先にも影響または発生する可能性があり、その場合、SBIAの事業活動、新規および既存の投資先に対するソーシング、デュー・ディリジェンスおよびモニタリング、その他SVFに関する機能の適切な実行に支障が生じる可能性があります。同様の懸念は、SVFに役務を提供する事業者にも該当する場合があり、これによりSVF、ひいてはソフトバンクグループ㈱の活動に悪影響を及ぼす可能性があります。SBIAは、事業継続戦略を策定するとともに危機管理部門を設置し、新型コロナウイルス感染症のような事業継続上の重大事象の発生によるSBIAの事業プロセスへの混乱を最小限に抑えるよう図っています。

 

(6)ソフトバンク㈱について

 主に通信事業、インターネット広告事業、イーコマース事業を営むソフトバンク㈱およびその子会社(例えば、Zホールディングス㈱)(本(6)において併せて「ソフトバンク㈱」)に存在する特有のリスクは、主として以下a~cに記載する通りです。これらのリスクが顕在化した場合、ソフトバンク㈱の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。その結果、その資産価値、すなわちソフトバンクグループ㈱の保有株式価値が低下し、株主価値が低下、LTVが悪化するとともに、投資に伴い発生したのれん、有形固定資産、無形資産の減損損失の計上やソフトバンク㈱の業績の取り込みによりソフトバンクグループ㈱の連結業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

a 安定的なサービスの提供

(a)通信ネットワークの増強

 ソフトバンク㈱は、通信サービスの品質を維持・向上させるために、将来のトラフィック(通信量)を予測し、その予測に基づいて継続的に通信ネットワークを増強(例えば、必要な周波数の確保)していく必要があります。これらの増強は計画的に行っていますが、実際のトラフィックが予測を大幅に上回った場合、または通信ネットワークの増強を適時に行えなかった場合、サービスの品質および信頼性や企業イメージの低下を招き顧客の獲得・維持に悪影響を及ぼすほか、追加の設備投資が必要となり、その結果、ソフトバンク㈱の事業展開や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(b)システム障害などによるサービスの中断・品質低下

 ソフトバンク㈱が提供する通信ネットワークや顧客向けのシステムなどの各種サービスにおいて、人為的なミスや設備・システム上の問題、または第三者によるサイバー攻撃、ハッキングその他不正アクセスなどが発生した場合、 れに起因して各種サービスを継続的に提供できなくなること、または各種サービスの品質が低下することなどの重大なトラブルが発生する可能性があります。各システムの冗長化や、障害などの発生に備えた復旧手順の明確化、障害などが発生した場合の適切な復旧体制の構築などの対策にもかかわらず、サービスの中断・品質低下を回避できず、その復旧に相当時間を要した場合、信頼性や企業イメージが低下し、顧客の獲得・維持が困難になる可能性があります。その結果、ソフトバンク㈱の事業展開や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(c)自然災害など予測困難な事情

 ソフトバンク㈱は、インターネットや通信などの各種サービスの提供に必要な通信ネットワークや情報システムなどを構築・整備しています。地震・台風・洪水・津波・竜巻・豪雨・大雪・火山活動などの自然災害、火災や停電・電力不足、テロ行為、感染症の流行などの予測困難な事象が発生することにより、通信ネットワークや情報システムなどが正常に稼働しなくなった場合、ソフトバンク㈱の各種サービスの提供に支障を来す可能性があります。ソフトバンク㈱においては、こうした事態が発生した場合においても安定した通信環境を確保できるようにネットワークの冗長化やネットワークセンターおよび基地局での停電対策等を導入しているほか、こうした事態による各種サービスの提供への影響の低減を図るべくネットワークセンターやデータセンター等の重要拠点を全国に分散するなどの対策を講じています。かかる対策にもかかわらず、各種サービスの提供に支障を来す場合、およびこれらの影響が広範囲にわたり、復旧に相当時間を要した場合、信頼性や企業イメージが低下し、顧客の獲得・維持が困難になる可能性があります。また、通信ネットワークや情報システムなどを復旧・改修するために多額の費用負担が発生する可能性があります。その結果、ソフトバンク㈱の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

b.他社経営資源への依存

(a)他社設備などの利用

 ソフトバンク㈱は、通信サービスの提供に必要な通信ネットワークを構築する上で、他の事業者が保有する通信回線設備などを一部利用しています。ソフトバンク㈱は、原則として、複数の事業者の通信回線設備などを利用していますが、今後、複数の事業者の当該設備などを継続して利用することができなくなった場合、または使用料や接続料などが引き上げられるなど利用契約が不利な内容に変更された場合、ソフトバンク㈱の事業活動や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(b)「Yahoo!」ブランドの利用

 ソフトバンク㈱は、同社およびヤフー㈱の事業において、「Yahoo! JAPAN」をはじめ「Y!mobile」や「Yahoo! BB」など、サービス名称の一部に米国のVerizon Communications Inc.の子会社が保有する「Yahoo!」ブランドを使用しています。同社との関係に大きな変化が生じるなどしてこれらのブランドが使用できなくなった場合、ソフトバンク㈱の事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(c)各種機器の調達

 ソフトバンク㈱は、通信機器やネットワーク関連機器など(例えば、携帯端末や基地局の無線機)を調達しています。ソフトバンク㈱では、原則として複数の取引先から機器を調達してネットワークを構築していますが、特定の会社への依存度が高い機器が残る場合があります。特定の会社への依存度が高い機器の調達において、供給停止、納入遅延、数量不足、不具合などの問題が発生し調達先や機器の切り替えが適時に多額のコストを要さずに行うことができない場合、または性能維持のために必要な保守・点検が打ち切られた場合、ソフトバンク㈱のサービスの提供に支障を来し、顧客の獲得・維持が困難になる可能性や調達先の変更のために追加のコストが生じる可能性のほか、携帯端末の売上が減少する可能性があります。その結果、ソフトバンク㈱の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(d)業務の委託

 ソフトバンク㈱は、主に通信サービスに係る販売、顧客の獲得・維持、それらに付随する業務の全部または一部について、他社に委託しているほか、情報検索サービスにおいて他社の検索エンジンおよび検索連動型広告配信システムを利用しています。ソフトバンク㈱は、業務委託先の選定時には与信調査を実施し、定期的に業績などの監視を行っていますが、業務委託先がソフトバンク㈱の期待通りに業務を行うことができない場合、ソフトバンク㈱の事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、業務委託先はソフトバンク㈱のサービス・商品を取り扱っていることから、当該業務委託先の信頼性や企業イメージが低下した場合には、ソフトバンク㈱の信頼性や企業イメージも低下し、事業展開や顧客の獲得・維持に悪影響を及ぼす可能性があり、その結果、ソフトバンク㈱の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 このほか、当該業務委託先において法令などに違反する行為があった場合、ソフトバンク㈱が監督官庁から警告・指導を受けるなど監督責任を追及される可能性があるほか、ソフトバンク㈱の信頼性や企業イメージが低下し顧客の獲得・維持が困難になる可能性があります。その結果、ソフトバンク㈱の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

c.情報の流出や不適切な利用

 ソフトバンク㈱は、事業を展開する上で、顧客情報(個人情報を含みます。)やその他の機密情報を取り扱っています。ソフトバンク㈱においては、情報セキュリティ管理責任者の設置や役職員へのセキュリティー教育・訓練をはじめ、適切に情報資産を保護・管理するための体制構築を図っています。具体的には、顧客情報やその他の機密情報に関する作業エリアの限定、当該エリア専用の入退室管理ルールといった物理的管理のほか、役職員による業務パソコン利用や社内ネットワーク利用、社内サーバーへのアクセス状況等の監視や、社外からのサイバー攻撃による不正アクセスを監視・防御することで、セキュリティーレベルの維持・管理を行っています。

 これらの取組みにもかかわらず、ソフトバンク㈱(役職員や委託先の関係者を含みます。)の故意・過失、または悪意を持った第三者のサイバー攻撃、ハッキング、コンピューターウイルス感染、その他不正アクセスなどにより、これらの情報の流出や消失、法令や規約違反となる不適切な利用などが発生する可能性があります。こうした事態が生じた場合、ソフトバンク㈱の信頼性や企業イメージが低下し顧客の獲得・維持が困難になるほか、競争力が低下したり、損害賠償やセキュリティーシステム改修のために多額の費用負担が発生したりする可能性があります。その結果、ソフトバンク㈱の事業展開や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)法令・規制・制度などについて

 ソフトバンクグループ㈱は、各国の法令・規制・制度など(以下「法令等」)の下で投資活動を行っています。また、投資先は各国の様々な分野にわたる法令等の下で事業活動を行っています。具体的には、投資に関する各種法令等から、通信サービス、インターネット広告、イーコマース、エネルギー、AI、ロボット、ライドシェアリング、金融・決済などの事業やその他の企業活動に関する各種法令等(事業許認可、輸出入、個人情報・プライバシー保護、環境、製造物責任、公正な競争、消費者保護、贈賄禁止、労務、知的財産権、マネー・ロンダリング防止、租税、為替に関するものを含みますが、これらに限りません。)まで広範に及び、これらの影響を直接または間接的に受けます。

 法令等の改正もしくは新たな法令等の施行または解釈・適用(その変更を含みます。)により、ソフトバンクグループ㈱の投資活動や投資先の事業活動が期待通りに展開できない、新たな投資や事業が制限される、投資の回収が遅延もしくは不可能となるなど、ソフトバンクグループ㈱の投資活動や投資先の事業活動に支障を及ぼす可能性があるほか、金銭的負担の発生・増加により、ソフトバンクグループ㈱の連結・個別業績に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、ソフトバンクグループ㈱は、その法務部門が外部のアドバイサーからの助言を受けながら主に投資活動に関する法令等の新設または改正等に関して情報収集などを行っています。

 また、ソフトバンクグループ㈱および投資先が活動を行う国・地域において、租税法令またはその解釈・運用が新たに導入・変更された場合や、税務当局との見解の相違により追加の税負担が生じた場合、ソフトバンクグループ㈱の連結・個別業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 このほか、ソフトバンクグループ㈱は法令遵守のためのグループコンプライアンス体制の強化や研修など役職員の知識や意識向上を促す取り組みを行っていますが、このような取り組みにもかかわらずソフトバンクグループ㈱や投資先(役職員を含みます。)がこれらの法令等に違反する行為を行った場合、違反の認識の有無にかかわらず、行政機関から行政処分や行政指導(登録・免許の取消や罰金を含みます。)を受けたり、取引先から取引契約を解除されたりする可能性があります。その結果、ソフトバンクグループ㈱や投資先の信頼性や企業イメージが低下したり、事業活動に支障が生じたりする可能性があるほか、金銭的負担の発生により、ソフトバンクグループ㈱の業績や投資先の資産価値に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)知的財産権について

 ソフトバンクグループ㈱が保有する「ソフトバンク」ブランドが第三者により侵害された場合、ソフトバンクグループ㈱および「ソフトバンク」ブランドを使用する子会社の企業イメージや信頼性が低下する可能性があります。また、アームが保有する知的財産権が第三者により侵害された場合、同社の事業展開や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、投資先が意図せずに第三者の知的財産権を侵害した場合、権利侵害の差止めや損害賠償、ライセンス使用料の請求などを受ける可能性があります。いずれの場合も、ソフトバンクグループ㈱の保有株式価値や株主価値、LTV、連結・個別業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)訴訟について

 ソフトバンクグループ㈱は、株主(投資先の現在および過去の株主を含みます。)、投資先、取引先、従業員(投資先の現在および過去の従業員を含みます。)を含む第三者の権利・利益を侵害したとして、損害賠償などの訴訟を起こされる可能性があります。その結果、ソフトバンクグループ㈱の投資活動に支障が生じたり、企業イメージが低下したりする可能性があるほか、金銭的負担の発生により、ソフトバンクグループ㈱の連結・個別業績に悪影響を及ぼす可能性があります。本有価証券報告書の提出日現在における主な訴訟内容については「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記 53.偶発事象(3)訴訟」をご参照ください。

 

 

 

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