ソフトバンクグループ㈱は、直接または投資ファンドを通じて多数の企業に投資を行い、その投資ポートフォリオを管理する戦略的投資持株会社です。投資ポートフォリオには、子会社・関連会社(以下「グループ会社」)とそれらに分類されない投資先が含まれます(以下、グループ会社と併せて「投資先」)。これらの投資先は、国内外において多岐にわたる事業を展開しています。ソフトバンクグループ㈱の投資活動、および投資先の事業活動の遂行にはさまざまなリスクを伴います。本有価証券報告書の提出日現在において、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主要なリスクは、以下の通りです。なお、これらは、ソフトバンクグループ㈱および投資先で発生しうるすべてのリスクを網羅しているものではありません。また、将来に関する事項については別段の記載のない限り、本有価証券報告書の提出日現在において判断したものです。
(1)ビジネスモデルについて
ソフトバンクグループ㈱は、独自の組織戦略「群戦略」(「第2 事業の状況、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、(3)中長期的な会社の経営戦略」を参照)の下、グループ会社(例えば、ソフトバンク㈱やアーム、アリババ)への投資を含む直接投資(子会社を通じた投資を含みます。)に加え、投資ファンド(ソフトバンク・ビジョン・ファンド1および2、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド)を通じて、人工知能(AI)を活用した情報・テクノロジー分野において多様な事業を展開する企業から成る投資ポートフォリオを構築することで、NAV(注1)の向上に取り組んでいます。
そのため、ソフトバンクグループ㈱の投資ポートフォリオは情報・テクノロジー分野のそれぞれが属するセクターにおける市場動向に大きな影響を受けます。加えて、ソフトバンクグループ㈱(子会社を通じた投資を含みます。)ならびにソフトバンク・ビジョン・ファンド1および2、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドなどにおける投資事業では未上場企業への投資が中心となっており、株式公開を取り巻く市場環境にも大きな影響を受けます。これらの影響により、ソフトバンクグループ㈱の保有株式価値が低下した場合、NAVが低下、LTV(注2)が悪化するとともに、保有株式を含む資産の評価損を計上することにより、ソフトバンクグループ㈱の連結業績および財政状態、ひいては新規投資や財務政策に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、ソフトバンクグループ㈱は多様性を備えた投資ポートフォリオの構築を重要な経営上の課題として認識していますが、当期末現在において、アリババ株式は保有株式価値の2割強を占めるため、その投資価値が変動することにより、ソフトバンクグループ㈱の保有株式価値やNAV、LTVが影響を受ける可能性があります。
(注1)NAV(Net Asset Value)=保有株式価値-調整後純有利子負債。「第2 事業の状況、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、(2)重視する経営指標」をご参照ください。
(注2)LTV=調整後純有利子負債÷保有株式価値。「第2 事業の状況、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、(2)重視する経営指標」をご参照ください。
(2)資金調達について
ソフトバンクグループ㈱(資金調達を行う100%子会社を含みます。)は、新規投資を継続的に行っていくために必要な資金を、株式資産の売却、投資先からの配当や投資ファンドからの分配金、保有資産を活用した資金調達(アセット・バック・ファイナンス)などでまかなうことを目指しています。しかし、新規投資のための資金が必要な時期に株式資産の売却や資金調達を行うことができない場合、投資機会を逸し、NAVの継続的な向上に支障が生じる可能性があります。また、一部の保有株式を活用した資金調達については、株式市場の悪化などにより対象となる保有株式価値が下落した場合には、追加で現金担保の差し入れが必要となる可能性や期限前の返済義務が発生する可能性があることに加えて、新たな資金調達が困難になる可能性があります。
ソフトバンクグループ㈱は、金融機関からの借入や社債の発行などによっても、投資活動に必要な資金を調達することがあります。これらの資金調達については、金融政策や金融市場の変化等により金利が上昇した場合や、保有資産価値の減少や業績悪化によりソフトバンクグループ㈱の信用格付けが引き下げられるなど信用力が低下した場合には、調達コストが増加し、ソフトバンクグループ㈱の連結・個別業績に悪影響を及ぼす可能性があるほか、資金調達が予定した時期・規模・条件で行えない場合には、ソフトバンクグループ㈱の投資活動および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
ソフトバンクグループ㈱(資金調達を行う100%子会社を含みます。)は、負債の返済原資を確保するために、新たな資金調達やリファイナンス、一部保有資産の売却などを行うことがあります。市場環境を注視した上で適切と考える時期での資金調達を実施し、財務規律に基づき十分な手元流動性を安定的に維持することに努めています。しかしながら、資金調達に適さない環境が想定以上に長期化した場合、返済原資の捻出のために不利な条件での株式資産売却や予定外の株式資産売却を余儀なくされ、ソフトバンクグループ㈱の保有株式価値やNAV、連結・個別業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
ソフトバンクグループ㈱の金融機関からの借入や社債などの債務には、各種コベナンツが付されていることがあります。いずれかのコベナンツに抵触する可能性が発生し、抵触を回避するための手段を取ることができない場合、当該債務について期限の利益を喪失する可能性があるほか、それに伴い、その他の債務についても一括返済を求められる可能性があります。その結果、ソフトバンクグループ㈱の信用力が低下し、財政状態に著しい悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)経営陣について
ソフトバンクグループ㈱は、代表取締役 会長兼社長執行役員である孫 正義を中心とする経営陣の下で経営を行っていますが、ソフトバンクグループ㈱が投資をしている主要な投資先や投資ファンドは、それぞれのCEOなどを中心とする経営陣の下で自律的に運営を行っています。例えば、ソフトバンク㈱の代表取締役 社長執行役員兼CEOは宮川 潤一が、アームのCEOはレネ・ハースがそれぞれ務めています。また、ソフトバンク・ビジョン・ファンド1および2ならびにソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドの運営会社のCEOはラジーブ・ミスラ(ソフトバンクグループ㈱副社長執行役員)が務めています。
ソフトバンクグループ㈱ではこのような体制をとっており、また、経営陣に不測の事態が発生した場合における意思決定プロセスへの影響を最小限に留めるため、行動指針や事前対応策を含め、コンティンジェンシープランを策定しています。また、指名報酬委員会において、中長期の方針やサクセッションプランについても定期的に議論しています。しかしながら、かかる取り組みが奏功する保証はなく、特に当社代表取締役 会長兼社長執行役員である孫 正義をはじめとする当社グループの経営陣に不測の事態が生じた場合には、ソフトバンクグループ㈱の活動全般に支障が生じる可能性があります。
(4)投資活動全般について
ソフトバンクグループ㈱は、企業買収、子会社・合弁会社の設立、事業会社(上場・非上場企業を含みます。)・持株会社(各種契約によって別会社を実質的に支配する会社を含みます。)・投資ファンドへの出資などの投資活動を行っています。これらの投資活動については、以下a~dのようなリスクがあり、これらのリスクが顕在化した場合には、投資先の資産価値、すなわちソフトバンクグループ㈱の保有株式価値が低下し、NAVが低下、LTVが悪化するとともに、保有株式を含む資産の評価損を計上することによりソフトバンクグループ㈱の連結業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、投資先の中でも、特に連結業績への影響の大きい、投資ファンドへの出資とソフトバンク㈱において特に重要性の高いと考えられるリスクについては、それぞれ「(5)投資ファンドを通じた投資について」と「(6)ソフトバンク㈱グループについて」をご覧ください。
a.政治情勢、金融・財政政策、国際情勢等の外部環境の動向
ソフトバンクグループ㈱は、日本だけでなく、米国、中国、インド、欧州・中南米諸国などの海外の国・地域に展開する事業体に投資しているため、これらの国・地域における政治・軍事・社会情勢、金融・財政政策、国際情勢等の外部環境の変化(例えば、ロシア・ウクライナ情勢や米中対立の激化による、規制強化や経済安全保障を巡る各国の動向など)により、ソフトバンクグループ㈱の投資活動や投資先の事業活動が期待通りに展開できない可能性があります。例えば、ソフトバンクグループ㈱の投資実行や回収の遅滞、投資回収における条件の悪化などが起こる可能性があるほか、投資先が提供するサービス・商品に対する需要の低下や供給の停滞により各社の事業や業績が悪影響を受ける可能性があります。また、流動性の低い未上場企業への投資については、市場環境が急激に悪化した場合などには、ソフトバンクグループ㈱の希望する時期・規模・条件で投資持分を売却できない可能性があります。これらの結果、ソフトバンクグループ㈱の保有株式価値やNAV、LTV、連結・個別業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
このほか、ソフトバンクグループ㈱による海外企業への外貨建投資においては、為替変動に伴う損失が発生する可能性があります。また、ソフトバンクグループ㈱の連結財務諸表の作成にあたり、アームをはじめとする海外のグループ会社の現地通貨建ての収益・費用および資産・負債を日本円に換算するため、為替相場の変動がソフトバンクグループ㈱の連結業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、ソフトバンクグループ㈱では、これらの外部環境の変化に関する情報収集を行い投資活動に及ぼす影響を検討するとともに、投資ポートフォリオにおける特定の国・地域、業種への集中度を継続的に監視することなどにより、リスクの把握に努め、その結果を経営陣に報告する体制を整えています。
b.投資に関する規制
ソフトバンクグループ㈱が行う投資活動は、関係各国の規制当局から承認等が必要となる場合や投資先への関与が制約される場合があります。また、関係各国において、投資活動に関する規制の新設や強化が行われる可能性があります。ソフトバンクグループ㈱は、外部のアドバイザーを含む関係者と連携し、それぞれの規制に対応していますが、これらの必要な承認等が得られないなど制約を回避できない場合には、ソフトバンクグループ㈱の期待通りに投資や売却を実行できない可能性があります。
例えば、ソフトバンクグループ㈱は、一部の米国投資に関して、その投資の対象となる会社(本(b)において「対象会社」)および米国関係省庁との間で国家安全保障契約を締結しています。この国家安全保障契約に基づき、ソフトバンクグループ㈱と対象会社は、米国の国家安全保障を確保するための方策を実行することに合意しています。これら方策の実行に伴いコストが増加する、または米国内の事業運営に制約を受ける可能性があります。
c.投資先の資産価値の下落
ソフトバンクグループ㈱は、投資実行後も、投資先の財務・経営情報や重要な経営指標、投資決定時の事業計画と実際の進捗の差異、コーポレート・ガバナンスの状況など、主なリスク要因を継続的に監視し、その結果を経営陣に報告する体制を整えています。また、監視の結果を踏まえて、投資先の経営改善のために必要な助言の提供や、役員・管理職など各種レベルの人材の派遣、協業先の紹介など、必要に応じて行っています。
しかし、「a.政治情勢、金融・財政政策、国際情勢等の外部環境の動向」で言及した外部環境の変化に加えて、テクノロジーやビジネスモデルの陳腐化や競争環境の激化などにより、ソフトバンクグループ㈱が投資決定時に想定した通りに投資先が事業を展開できず、業績が大幅に悪化したり、事業計画の大幅な見直しを迫られたりする可能性があります。また、投資先が1株当たり株式価値の大幅な希薄化を伴う増資などを行う可能性があります。こうした場合、投資先の資産価値が下落し、ソフトバンクグループ㈱が、株式などの金融資産の評価損や投資に伴い発生したのれん、有形固定資産、無形資産の減損損失を計上する可能性、投資先から期待通りに利益分配などのリターンを得られない可能性、または、投資の回収ができない可能性があります。これらの結果、保有株式価値やNAVが低下、LTVが悪化するとともに、保有株式を含む資産の評価損を計上することにより連結業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
このほか、ソフトバンクグループ㈱は投資決定時に想定した通りに事業を展開できない場合、他の投資先などとの間で十分なシナジー(相乗効果)を創出できない場合、または事業展開のために想定以上の資金が必要となった場合など、投資先の株主価値の向上に必要と判断した場合には、投資先に対し融資や債務保証、追加出資などを行うことがあり、当該投資先に対するエクスポージャーが増加することになります。ただし、ソフトバンクグループ㈱は投資ファンドの投資先への救済のみを目的とした投資は行わないことを基本方針としています。
なお、ソフトバンクグループ㈱の個別決算においては、投資活動により取得した出資持分などを含む資産の価値が下落した場合には評価損が発生し、投資先の業績が悪化した場合には投資先から期待通りの配当を得ることができず、業績や分配可能額に悪影響を及ぼす可能性があります。
d.投資判断
ソフトバンクグループ㈱が投資ファンドを経由せずに直接投資(子会社を通じた投資を含みます。)を行う場合、その投資判断プロセスにおいて、社内関係部門に加えて必要に応じて外部の財務・法務・税務アドバイザーなどの協力を得て、対象企業の事業内容、テクノロジー、ビジネスモデル、市場規模、事業計画、競争環境、財務内容、法令遵守状況などについてデュー・デリジェンスを実施し、その企業価値を適切に見積るとともに、事業や財務、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス、内部統制に係るリスクを把握するように努めています。また、デュー・デリジェンスで得られた内容が適切かどうか、専門の審査部門が客観的なレビューを行っています。そうして得られた検討結果を踏まえて、取締役会または取締役会から権限を委譲された投融資委員会(「第4 提出会社の状況、4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照)で投資判断を下しています。
しかし、このような慎重な投資判断プロセスを経たとしても、対象企業の企業価値やテクノロジー、ビジネスモデル、市場規模などを実態よりも過大評価する、リスクを過小評価する、または重要な影響力を持つ創業者や経営者の資質を見誤ったまま投資判断を下す可能性があります。その結果、投資実行後に、その資産価値、すなわちソフトバンクグループ㈱の保有株式価値が低下し、NAVが低下、LTVが悪化するとともに、保有株式を含む資産の評価損を計上することにより連結業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)投資ファンドを通じた投資について
ソフトバンクグループ㈱はソフトバンク・ビジョン・ファンド1およびソフトバンク・ビジョン・ファンド2ならびにソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドなどを通じてAIを活用した成長可能性が大きいと考えるテクノロジー企業に対し投資を行っています。ソフトバンクグループ㈱は各投資ファンドにリミテッド・パートナーとして出資を行っており、また、各投資ファンドを運営する当社100%子会社(SVF1を運営するSBIAおよびSVF2とソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドを運営するSBGA、以下総称して「ファンド運営子会社」)は、各投資ファンドの事業活動に応じて管理報酬ならびに業績連動型管理報酬および成功報酬を受け取ります。
投資ファンドを通じた投資やその運営において特に重要性の高いと考えられるリスクは、主として以下a~iに記載する通りです。ファンド運営子会社は、リスクマネジメントフレームワーク(以下「RMF」)を定め、全体の事業プロセスと意思決定にリスク管理を組み込んでいますが、これらのリスクの顕在化を完全には回避できない可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合には、投資ファンドの投資ポートフォリオの資産価値が下落し、投資ファンドおよびファンド運営子会社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。その結果、ソフトバンクグループ㈱の保有株式価値が低下し、NAVが低下、LTVが悪化するとともに、保有株式の評価損を計上することによりソフトバンクグループ㈱の連結業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、本(5)において、「投資先」は投資ファンドの投資先を意味します。
ファンド運営子会社のRMFについて
この枠組みは、事業運営および投資の両面のリスク管理を対象とし、リスクを特定、評価、および軽減するための枠組みを構築するものです。ファンド運営子会社のRMFの根幹を成す原則は以下の通りです。
・取締役会がリスク管理の最終的な責任を負い、重要な意思決定にはリスクが考慮されなければならない
・投資家の期待やファンド運営子会社の戦略目標、規制要件を充足するため、組織全体にわたる実効性の高いリスクカルチャーを確立する
・将来を見据えてリスクを特定・軽減することにより、経営陣によるリミテッド・パートナーからの預かり資産とファンド運営子会社のレピュテーションの保護のため積極的な行動を促す
・重要な既存または新規発生リスクが能動的に特定、測定、緩和、監視、および報告されることを確実にする
・現地および当社における規制当局のリスク管理要件を充足する
a.業績への影響
投資ファンドを構成する事業体はすべてソフトバンクグループ㈱の連結対象です。投資ファンドを通じての投資は、毎四半期末に公正価値で測定されます。未上場企業の公正価値の測定は、取引事例法や割引キャッシュ・フロー法、類似会社比較法など複数の評価方法を組み合わせて行われます。上場企業の公正価値の測定はその主要な市場での価格が用いられます。投資先の業績の悪化や金融市場、経済情勢の低迷などにより、投資先の公正価値が下落した場合は、投資ファンドの業績が悪化し、その結果、ソフトバンクグループ㈱の連結業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、ソフトバンクグループ㈱の個別決算では、投資ファンドの業績が悪化した場合、リミテッド・パートナーとしての出資に対して評価損が発生し、業績や分配可能額に悪影響を及ぼす可能性があります。
投資ファンドの投資先のうち、IFRSに基づいてソフトバンクグループ㈱が支配をしていると見なされる投資先は、ソフトバンクグループ㈱の子会社として扱います。当該子会社の業績および資産・負債はソフトバンクグループ㈱の連結財務諸表に反映されることから、当該子会社たる投資先の業績が悪化した場合は、ソフトバンクグループ㈱の連結業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、投資ファンドで計上した当該子会社への投資に係る投資損益は、内部取引として連結上消去されます。
適正な公正価値評価を実現するため、投資ファンドの評価プロセスは、ファンド運営子会社の評価・財務リスク委員会(以下「VFRC」)が監督を行います。投資ファンドの投資先の評価を行う際、VFRCは、IFRS第13号「公正価値測定」および国際プライベート・エクイティ・ベンチャー・キャピタル評価(IPEV)ガイドラインに基づいたファンド運営子会社の評価方針に従って四半期ごとに評価を行います。これに加えて、SVF1では投資家諮問委員会(IAB)に任命された独立第三者評価機関が、SVF1の投資先の評価を独立性をもって半期ごとに実施しています。SBIAは、独立第三者評価機関から受領した評価を(SBIAの規制上の義務に則った適切な範囲で)すべて考慮する必要があります。
b.投資成果
投資ファンドの投資成果は、リミテッド・パートナーに配分されます。投資ファンドの投資採算が悪化し計画通りの投資成果を挙げられない場合には、ソフトバンクグループ㈱はリミテッド・パートナーとして期待通りの成果分配を受けることができない、または投資回収できない可能性があります。
また、SVF1の投資成果はSBIAに成功報酬として配分されることから、SBIAは期待通りの成功報酬を受け取ることができない可能性があります。SBIAはSVF1の投資の売却や配当および株式の資金化などにより実現した投資利益に基づき成功報酬相当額を受け取ることから、より大きな投資リスクをとる運営を行う可能性があります。なお、SVF1が支払う成功報酬には、将来の投資成果に基づく一定の条件の下、クローバック条項(過去に受け取った成功報酬額を返還する条項)が設定されているため、SVF1の清算時においてSVF1の投資成果が一定以上でない場合、SBIAはそれまでに受け取った成功報酬相当額が減額されたり、成功報酬を受け取ることができなくなる可能性があります。
c.投資のエグジット機会の不足
投資ファンドが実行する投資は流動性が低いことが多く、ファンド運営子会社は最終的にどのようなエグジット戦略をとるかについて、完全かつ確実に予定することはできません。したがって、投資ファンドが当該投資を適時に回収できる保証はなく、その結果、リミテッド・パートナーへの現金分配のタイミングは不確実かつ予測不能です。また、経済、法規制、政治またはその他の要因により、投資開始時に可能と思われたエグジット戦略が、投資が回収段階に達するまでの間にとりえなくなる場合があります。さらに、契約またはその他の制約により、投資ファンドは特定の証券の売却を一定期間禁止される可能性があり、そのような場合、有利な市場価格で売却する機会を逸する可能性があります。
なお、エグジット戦略の承認はファンド運営子会社の投資委員会の重要な検討事項であり、エグジット戦略はその投資部門が定期的に見直し、更新しています。また、エグジット戦略の立案にあたっては、投資リスク部門が様々な市場環境を想定したストレステストを実施しています。投資ファンドは長期投資を目的としており、複数の景気後退の可能性や、エグジットまでに時間を要する投資がありうることも考慮されています。
d.支配権を伴わない投資および限定的な株主権利
投資ファンドでは、投資先において支配権を伴わない持分を有する場合、保有持分の保護や経営への影響力行使の能力が限定的となる可能性があります。また投資ファンドは、金融、戦略、またはその他の分野における他社(グループ会社を含みます。)と共同で、合弁会社などを通じて投資を行う場合があり、当該他社が、当該合弁会社または投資先に対し投資ファンドよりも大きな保有割合もしくは支配権を有する場合があります。このような場合、投資ファンドは当該他社の経営陣および取締役会(投資ファンドと利害が競合し得る他の金融投資会社の関係者が構成員に含まれる場合があります。)に大きく依存することとなります。
e.人材の確保・維持
ファンド運営子会社は、運営する投資ファンドの保有株式価値の最大化を目的として、投資先を慎重に選定することに加え、投資後の成長を促す様々な支援を行います。このような取り組みの成功には、テクノロジーや金融市場に関する幅広い知見や投資事業の運営における専門的スキルを保有する有能な人材の確保・維持が不可欠です。ファンド運営子会社は、投資・運用体制を幅広く有するうえ、研修や能力開発、スタッフが潜在能力を最大限に発揮できるよう行われる社内異動に至るまで、様々な人材サポートプログラムを通じ、スタッフの定着を図っています。しかしながら、このような有能な人材を十分に確保・維持することができない場合は、運営する投資ファンドの投資規模の維持・拡大や将来の投資成果に悪影響を及ぼす可能性があります。
f.新たな技術やビジネスモデルへの規制
投資ファンドの投資先には、AIやビッグデータなどの新技術の事業への活用や研究開発を行う企業や、既存の枠組みとは異なる新たなビジネスモデルを展開する企業が多く含まれます。このような新たな技術やビジネスモデルが提供される事業領域は、多くの国・地域において特定的かつ厳格な規制または許認可の対象とされる場合があります。関連する法令等の整備により、規制が制定または強化された場合は、新たな経済的負担または事業活動への制限が生じたり、採用する技術やビジネスモデルまたはこれらに関する研究開発について、内容の変更や停止または終了が必要になるなど、投資先の事業展開および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、特定のテクノロジーに関連するサービスの提供に必要な許認可には様々な条件が課されることがあり、投資先がこれらの条件を満たすことができる保証はありません。
g.特定の分野への投資の集中
投資ファンドは、特定の事業領域における複数の企業への投資を有しており、当該事業領域に対する投資の集中度が高くなる場合があります。特定の事業領域において、需要の低迷や市場競争の激化(投資先間の競合を含みます。)など事業環境の悪化により、投資先の収益性が低下するなど業績が悪化した場合や、投資ファンドの投資時点に想定した通りに事業展開ができない場合や、当該事業領域に対する市場の評価が悪化した場合には、投資先の業績または公正価値に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、投資の集中度については、ファンド運営子会社の投資リスク部門が測定および経営陣への報告を行い、投資委員会および取締役会のメンバーが検討を行います。ファンド運営子会社の投資委員会および必要に応じ実施されるIAB(SVF1のみ)によるレビューなどの投資プロセスの中で、投資を分散させるかまたはリスクを許容するかが決定されます。
h.保有する上場会社株式等
投資ファンドの投資ポートフォリオは、上場企業が発行する証券や債券が含まれており、これらの投資は、未上場企業への投資におけるリスクとは種類および程度が異なるリスクを伴う可能性があります。当該リスクには、投資の公正価値評価(バリュエーション)に市場価格が用いられることによるボラティリティ、投資先に関する情報開示義務の増加、当該証券および債券の処分における投資ファンドの裁量への制限、投資先の役員および取締役(ファンド運営子会社の従業員である場合を含みます。)に対する投資先株主からの訴訟およびインサイダー取引の告発の可能性の増加、ならびにこれらのリスクを低減するためのコストの増加が含まれます。さらに、取引所で取引される証券については、上場証券の一部またはすべてについて取引を一時停止できる取引所の権限の影響下にあるため、このような取引停止または制限により保有投資の資金化に制約が生じることで、投資ファンドに損失が生じる可能性があります。
ファンド運営子会社は、投資の資金化に伴い生じる市場リスクを軽減するため、投資活動による市場への影響を最小限に抑え収益を最大化するよう計画的にポジションを売却するなどの仕組みを設定しています。カバードコール・オプションの売却等のデリバティブ契約を通じてエクスポージャーを低減することもあります。また、米ドルに対する為替レートが不安定な通貨建ての証券の為替リスクをヘッジする必要性について検証しています。
投資ファンドが上場証券のポジションを管理するうえで発生する運用リスクとコンプライアンスリスクは、ファンド運営子会社のミドルオフィス、コンプライアンス、投資リスク部門などの運用リスク管理部門が関与するコントロール・フレームワークを通じて管理されており、これには取引相手の確認などの取引前の承認プロセス、取引後の調整およびモニタリングが含まれます。
i. SPAC
より広範な投資機会の追求のため、当社子会社がスポンサーとしてSPAC(特別目的買収会社)を設立し、新規株式公開を通じて株式市場の投資家から資金調達を行った上で、上場時点では特定されていない1社以上の事業者との合併、株式交換、資産取得、株式取得、組織再編、またはこれらに類する企業結合を図ることがあります。SPACは新規株式公開による払込資金の決済日から2年以内にこれらの企業結合を行うことを目指します。しかしながら、企業結合の対象企業における課題を事前に把握することができなかった場合などにおいては投資家から訴訟を提起される可能性があるほか、想定通りに企業結合を行えなかった場合を含め、スポンサーとしてのレピュテーションが低下する可能性があります。
(6)ソフトバンク㈱グループについて
主に通信事業、インターネット広告事業、イーコマース事業を営むソフトバンク㈱およびその子会社(例えば、Zホールディングス㈱)(本(6)において併せて「ソフトバンク㈱」)において特に重要性の高いと考えられるリスクは、主として以下a~cに記載する通りです。これらのリスクが顕在化した場合、ソフトバンク㈱の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。その結果、その資産価値、すなわちソフトバンクグループ㈱の保有株式価値が低下し、NAVが低下、LTVが悪化するとともに、投資に伴い発生したのれん、有形固定資産、無形資産の減損損失の計上やソフトバンク㈱の業績の取り込みによりソフトバンクグループ㈱の連結業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
a.情報の流出や不適切な利用
ソフトバンク㈱は、事業を展開する上で、顧客情報(個人情報を含みます。)やその他の機密情報を取り扱っています。ソフトバンク㈱(役職員や委託先の関係者を含みます。)の故意・過失、または悪意を持った第三者によるサイバー攻撃、ハッキング、コンピューターウイルス感染、その他不正アクセスなどにより、これらの情報の流出や消失、法令や規約違反となる不適切な利用などが発生する可能性があります。こうした事態が生じた場合、ソフトバンク㈱の信頼性や企業イメージが低下し顧客の維持・獲得が困難になるほか、競争力が低下したり、損害賠償やセキュリティシステム改修のために多額の費用負担が発生したりする可能性があります。その結果、ソフトバンク㈱の事業展開、財政状態および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、Zホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合に伴い、個人情報をはじめとするデータを取り扱う量も飛躍的に増大しています。今後、個人情報の適切な取扱いに関してガバナンスの強化に取り組んでいきますが、かかる対策やガバナンス強化の施策が有効に機能しないことによる当局からの行政処分、信用の毀損、サービスへの需要の減少、追加の対策の策定・実施、また、データの漏洩やその恐れとなる事象の発生等により、ソフトバンク㈱の事業展開、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。
ソフトバンク㈱においては、情報セキュリティ管理責任者の設置や役職員へのセキュリティ教育・訓練をはじめ、適切に情報資産を保護・管理するための体制構築を図っています。具体的には、顧客情報やその他の機密情報に関する作業エリアの限定、当該エリア専用の入退室管理ルールといった物理的管理のほか、AIを活用した内部不正の予兆検知(ふるまい検知)を強化し、役職員による業務パソコン利用や社内ネットワーク利用、社内サーバーへのアクセス状況等の監視や、社外からのサイバー攻撃による不正アクセスを監視・防御することで、セキュリティレベルの維持・管理を行っています。また、情報のセキュリティレベルに応じて、当該情報に対するアクセス権限や使用するネットワークなどを分離・独立させています。さらに、社内外データの管理・戦略的利活用の方針およびルールを整備し、通信の秘密・個人情報等の取扱いに関する社内管理体制を強化しています。加えて、国内外で事業を展開する上で、必要となる各国の個人情報保護等に関する法令への対応も行っています。
b.安定的なサービスの提供
(a)通信ネットワークの増強
ソフトバンク㈱は、通信サービスの品質を維持・向上させるために、将来のトラフィック(通信量)を予測し、その予測に基づいて継続的に通信ネットワークを増強(例えば、必要な周波数の確保)していく必要があります。これらの増強は計画的に行っていく方向ですが、実際のトラフィックが予測を大幅に上回った場合、または通信ネットワークの増強を適時に行えなかった場合、サービスの品質および信頼性や企業イメージの低下を招き顧客の維持・獲得に悪影響を及ぼすほか、追加の設備投資が必要となり、その結果、ソフトバンク㈱の事業展開、財政状態および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(b)システム障害などによるサービスの中断・品質低下
ソフトバンク㈱が提供する通信ネットワークや顧客向けのシステムなどの各種サービスにおいて、人為的なミスや設備・システム上の問題、または第三者によるサイバー攻撃、ハッキングその他不正アクセスなどが発生した場合、これに起因して各種サービスを継続的に提供できなくなること、または各種サービスの品質が低下することなどの重大なトラブルが発生する可能性があります。各システムの冗長化や、障害などの発生に備えた復旧手順の明確化、障害などが発生した場合の適切な復旧体制の構築などの対策にもかかわらず、サービスの中断・品質低下を回避できず、その復旧に相当時間を要した場合、信頼性や企業イメージが低下し、顧客の維持・獲得が困難になる可能性があります。その結果、ソフトバンク㈱の事業展開、財政状態および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(c)自然災害など予測困難な事情
ソフトバンク㈱は、インターネットや通信などの各種サービスの提供に必要な通信ネットワークや情報システムなどを構築・整備しています。近年、南海トラフ地震や首都圏直下型地震の発生確率の高まりや気候変動の進行等から、地震や台風など大型の自然災害の被害を受けるリスクが増加しています。地震・台風・洪水・津波・竜巻・豪雨・大雪・火山活動などの自然災害および近年の気候変動に伴うこれら災害の大規模化、火災や停電・電力不足、テロ行為、感染症の流行などの予測困難な事象が発生することにより、通信ネットワークや情報システムなどが正常に稼働しなくなった場合、ソフトバンク㈱の各種サービスの提供に支障を来す可能性があります。ソフトバンク㈱においては、こうした事態が発生した場合においても安定した通信環境を確保できるようにネットワークの冗長化やネットワークセンターおよび基地局での停電対策等を導入しているほか、こうした事態による各種サービスの提供への影響の低減を図るべくネットワークセンターやデータセンター等の重要拠点を全国に分散するなどの対策を講じています。かかる対策にもかかわらず、各種サービスの提供に支障を来す場合、およびこれらの影響が広範囲にわたり、復旧に相当時間を要した場合、信頼性や企業イメージが低下し、顧客の維持・獲得が困難になる可能性があります。また、通信ネットワークや情報システムなどを復旧・改修するために多額の費用負担が発生する可能性があります。その結果、ソフトバンク㈱の事業展開、財政状態および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
c.他社経営資源への依存
(a)業務の委託
ソフトバンク㈱は、主に通信サービスに係る販売、顧客の維持・獲得、ネットワークの構築およびメンテナンス、ならびにそれらに付随する業務の全部または一部について、他社に委託しているほか、情報検索サービスにおいて他社の検索エンジンおよび検索連動型広告配信システムを利用しています。ソフトバンク㈱は、業務委託先を含むサプライヤーの選定時には購買規程にのっとった評価・選定を行うとともに、新規取引開始時には、当社の「サプライヤー倫理行動規範」を遵守することを盛り込んだ取引基本契約書を締結した上で、取引開始後もサステナビリティ調達調査を通じたリスクアセスメントの実施、サプライヤー評価および課題の抽出、サプライヤーへのヒアリング実施などPDCAサイクルの構築によって、サプライチェーン上のリスクの低減に努めています。しかし、これらの対策にも関わらず、業務委託先(役職員や関係者を含みます。)がソフトバンク㈱の期待通りに業務を行うことができない場合や、当社および顧客に関する情報の不正取得または目的外使用等をした場合などの人権侵害等に関連する問題を起こした場合、ソフトバンク㈱の事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
業務委託先はソフトバンク㈱のサービス・商品を取り扱っていることから、上述のような事象により当該業務委託先の信頼性や企業イメージが低下した場合には、ソフトバンク㈱の信頼性や企業イメージも低下し、顧客の維持・獲得に影響を及ぼす可能性があり、その結果、ソフトバンク㈱の事業展開、財政状態および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
このほか、当該業務委託先において法令などに違反する行為があった場合、ソフトバンク㈱が監督官庁から警告・指導を受けるなど監督責任を追及される可能性があるほか、ソフトバンク㈱の信頼性や企業イメージが低下し顧客の維持・獲得が困難になる可能性があります。その結果、ソフトバンク㈱の事業展開、財政状態および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(b)他社設備などの利用
ソフトバンク㈱は、通信サービスの提供に必要な通信ネットワークを構築する上で、他の事業者が保有する通信回線設備などを一部利用しています。ソフトバンク㈱は、原則として、複数の事業者の通信回線設備などを利用していますが、今後、複数の事業者の当該設備などを継続して利用することができなくなった場合、または使用料や接続料などが引き上げられるなど利用契約が不利な内容に変更された場合、ソフトバンク㈱の事業展開、財政状態および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(c)各種機器の調達
ソフトバンク㈱は、通信機器やネットワーク関連機器など(例えば、携帯電話基地局の無線機を含みますが、これらに限りません。)を調達しています。ソフトバンク㈱では、原則として複数のサプライヤーから機器を調達してネットワークを構築していく方針を採用していますが、それでもなお特定のサプライヤーへの依存度が高い機器が残ることも予想されます。特定のサプライヤーへの依存度が高い機器の調達において、供給停止、納入遅延、数量不足、不具合などの問題が発生しサプライヤーや機器の切り替えが適時に多額のコストを要さずに行うことができない場合、または性能維持のために必要な保守・点検が打ち切られた場合、ソフトバンク㈱のサービスの提供に支障を来し、顧客の維持・獲得が困難になる可能性やサプライヤーの変更のために追加のコストが生じる可能性のほか、通信機器の売上が減少する可能性があります。その結果、ソフトバンク㈱の事業展開、財政状態および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)法令・規制・制度などについて
ソフトバンクグループ㈱は、各国の法令・規制・制度など(以下「法令等」)の下で投資活動を行っています。また、投資先は各国の様々な分野にわたる法令等の下で事業活動を行っています。具体的には、投資に関する各種法令等をはじめ、通信サービス、インターネット広告、イーコマース、エネルギー、AI、ロボット、ライドシェアリング、金融・決済などの事業やその他の企業活動に関する各種法令等(事業許認可、安全保障、輸出入、個人情報・プライバシー保護、環境、製造物責任、公正な競争、消費者保護、贈賄禁止、労務、知的財産権、マネー・ロンダリング防止、租税、為替に関するものを含みますが、これらに限りません。)まで広範に及び、これらの影響を直接または間接的に受けます。
法令等の改正もしくは新たな法令等の施行または解釈・適用(その変更を含みます。)により、ソフトバンクグループ㈱の投資活動や投資先の事業活動が期待通りに展開できない、新たな投資や事業が制限される、投資の回収が遅延もしくは不可能となるなど、ソフトバンクグループ㈱の投資活動や投資先の事業活動に支障を及ぼす可能性があるほか、金銭的負担の発生・増加により、ソフトバンクグループ㈱の連結・個別業績に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、ソフトバンクグループ㈱は、その法務部門が外部のアドバイザーからの助言を受けながら主に投資活動に関する法令等の新設または改正等に関して情報収集などを行っています。
また、ソフトバンクグループ㈱および投資先が活動を行う国・地域において、租税法令またはその解釈・運用が新たに導入・変更された場合や、税務当局との見解の相違により追加の税負担が生じた場合、ソフトバンクグループ㈱の連結・個別業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
このほか、ソフトバンクグループ㈱は法令遵守のためのグループコンプライアンス体制の強化や研修など役職員の知識や意識向上を促す取り組みを行っていますが、このような取り組みにもかかわらずソフトバンクグループ㈱や投資先(役職員を含みます。)がこれらの法令等に違反する行為を行った場合、違反の認識の有無にかかわらず、行政機関から行政処分や行政指導(登録・免許の取消や罰金を含みますが、これらに限りません。)を受けたり、取引先から取引契約を解除されたりする可能性があります。その結果、ソフトバンクグループ㈱や投資先の信頼性や企業イメージが低下したり、事業活動に支障が生じたりする可能性があるほか、金銭的負担の発生により、ソフトバンクグループ㈱の業績や投資先の資産価値に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)知的財産権について
ソフトバンクグループ㈱が保有する「ソフトバンク」ブランドが第三者により侵害された場合、ソフトバンクグループ㈱および「ソフトバンク」ブランドを使用する子会社の企業イメージや信頼性が低下する可能性があります。また、アームをはじめとする投資先が保有する知的財産権が第三者により侵害された場合、同社の事業展開や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、投資先が意図せずに第三者の知的財産権を侵害した場合、権利侵害の差止めや損害賠償、ライセンス使用料の請求などを受ける可能性があります。いずれの場合も、ソフトバンクグループ㈱の保有株式価値やNAV、LTV、連結・個別業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)訴訟について
ソフトバンクグループ㈱は、株主(投資先の現在および過去の株主を含みます。)、投資先、取引先、従業員(投資先の現在および過去の従業員を含みます。)を含む第三者の権利・利益を侵害したとして、損害賠償などの訴訟を起こされる可能性があります。その結果、ソフトバンクグループ㈱の投資活動に支障が生じたり、企業イメージが低下したりする可能性があるほか、金銭的負担の発生により、ソフトバンクグループ㈱の連結・個別業績に悪影響を及ぼす可能性があります。本有価証券報告書の提出日現在における主な訴訟内容については「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記49.偶発事象(3)訴訟」をご参照ください。
(10)サステナビリティについて
当社は環境、社会、ガバナンス(以下「ESG」)に対し、本質的な取り組みを率先して実行することが重要であると考えています。サステナビリティに関する責任者であるチーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSusO)を委員長とするサステナビリティ委員会において、取り組むべきESGの重要課題や対応方針等を継続的に議論することでESGリスクを低減・回避するとともに、ESGに関わる情報開示を強化しています。投資活動においては、投資先のサステナビリティに関する機会・リスクを分析するため、各投資エンティティにおいて評価プロセスの運用計画を策定し、総合的な投資評価を行うことを、グループポリシーとして定めています。しかし、当社のESGへの取り組みがステークホルダーの期待から大きく乖離した場合は、社会的評価が低下し、投資活動および資金調達に悪影響を及ぼす可能性があります。また、投資先のサステナビリティに関する機会・リスクを十分に把握できない場合は、投資先が想定した通りに事業を展開できず、ソフトバンクグループ㈱の保有株式価値が低下する可能性があります。
(11)情報セキュリティについて
当社では最高情報セキュリティ責任者であるチーフ・インフォメーション・セキュリティ・オフィサー(CISO)のもと、情報セキュリティを脅かす脆弱性やリスクを特定し、リスクに応じた組織的、物理的、人的および技術的な情報セキュリティ対策を実施することで、情報資産の保護に努めています。
しかし、こうした対策を実施しても、サイバー攻撃、ハッキング、コンピューターウイルス感染、その他不正アクセスや内部不正を完全に防止できず、情報の漏えい、改ざん、消失またはその他の情報セキュリティ事故が発生する可能性があります。
こうした事態が生じた場合、ソフトバンクグループ㈱および投資先の信頼性や企業イメージが低下したり、事業活動に支障が生じたりする可能性があるほか、金銭的損失やこれらの事象に対応するための追加費用等の発生により、ソフトバンクグループ㈱の連結・個別業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
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