当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績」という。)の状況の概要は次のとおりです。
当社グループの業況は、制御機器事業が増収となりましたが、主力の染色加工事業、繊維販売事業が減収となった事によりグループ全体では減収となりました。利益面では、製造原価の低減に取り組むとともに、継続的に生産調整等も実施しましたが、大幅な減収になった事等により営業利益は減益となりました。経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、生産調整による助成金収入の計上はあったものの、持分法による投資利益が減少したことにより減益となりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は21,897百万円と前連結会計年度比5,664百万円(△20.6%)の減収となり、営業利益は849百万円と前連結会計年度比1,273百万円(△60.0%)の減益、経常利益は2,161百万円と前連結会計年度比851百万円(△28.3%)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は1,408百万円と前連結会計年度比904百万円(△39.1%)の減益となりました。
当連結会計年度末における財政状態は、当連結会計年度の資産合計は、前連結会計年度末に比べ886百万円減少して31,273百万円となり、当連結会計年度の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,827百万円減少して7,837百万円となり、当連結会計年度の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,941百万円増加して23,435百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。
染色加工事業の売上高は、10,088百万円と前連結会計年度比2,131百万円(△17.4%)の減収となり、営業利益は207百万円と前連結会計年度比716百万円(△77.5%)の減益となりました。
繊維販売事業の売上高は、5,634百万円と前連結会計年度比3,298百万円(△36.9%)の減収となり、営業利益は253百万円と前連結会計年度比206百万円(△44.8%)の減益となりました。
制御機器事業の売上高は、3,452百万円と前連結会計年度比649百万円(23.2%)の増収となり、営業利益は490百万円と前連結会計年度比26百万円(5.8%)の増益となりました。
その他の事業の売上高は、2,721百万円と前連結会計年度比884百万円(△24.5%)の減収となり、営業損失は126百万円(前連結会計年度は営業利益298百万円)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は8,682百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,719百万円増加しました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は2,453百万円の収入(前連結会計年度は2,581百万円の収入)となりました。税金等調整前当期利益2,118百万円や減価償却費467百万円、持分法適用会社からの配当金の受取額768百万円がある一方で、持分法による投資利益525百万円や法人税等の支払額1,209百万円によるものです。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は588百万円の収入(前連結会計年度は727百万円の支出)となりました。主な要因は、投資有価証券の売却による収入592百万円や有形固定資産の取得による支出156百万円などによるものです。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は1,324百万円の支出(前連結会計年度は1,284百万円の支出)となりました。主な要因は、借入金の圧縮868百万円と配当金の支払額398百万円などによるものです。
キャッシュ・フロー関連の指標は以下のとおりです。
(注) 自己資本比率 :自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 :有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。
※キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。
※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当連結会計年度における我が国経済は、世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界経済への深刻な影響が続く中、段階的な経済活動再開の動きも見受けられるものの、再度の感染拡大がみられるなど収束の見通しは立っておらず、依然として不透明な状況で推移しております。
当社グループの主力事業である染色加工事業が属している染色整理業界、そして繊維販売事業が属している繊維業界は、衣料品市場の低迷や安価な輸入製品の増加により国内市場が縮小しており、更に、少子高齢化の進行等により、全体的な国内需要が減少している昨今において、このような国内市場規模の縮小は今後も継続することが想定されます。加えて、近年は米中間の貿易摩擦や新型コロナウイルスの感染拡大により国内外の経済に与える影響が懸念されており、今後の国内経済の先行きは予断を許さない極めて不透明な状況にあります。外出自粛要請や休業要請による衣料品をはじめとした繊維製品の販売低迷は、当社のような繊維加工事業者の受注数量に影響を及ぼすことが当分の間見込まれるとともに、原材料価格や物流コストの慢性的な上昇は継続しており、当社グループを取り巻く環境は、更に厳しさを増すことが予想されます。特に、新型コロナウイルスの感染拡大が国内外の経済に与える影響は大きく、当社グループの主力業界である繊維業界は、長期的な消費の低迷やサプライチェーンの寸断による生産供給活動の停滞、コスト増など、甚大な影響を受ける可能性があり、全般的に予断を許さない状況にありにあります。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ886百万円減少して31,273百万円となりました。流動資産は、受取手形及び売掛金の減少などにより643百万円減少して16,685百万円となり、固定資産は、有形固定資産の減少などにより243百万円減少して14,587百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,827百万円減少して7,837百万円となりました。流動負債は、支払手形及び買掛金の減少などにより2,499百万円減少して5,783百万円となり、固定負債は、長期借入金の減少などにより328百万円減少して2,054百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,941百万円増加して23,435百万円となりました。これは、株主資本が1,034百万円増加したことによるものです。
制御機器事業は増収となりましたが、主力の染色加工事業、繊維販売事業が減収となった事によりグループ全体では減収となりました。利益面では、製造原価の低減に取り組むとともに、継続的に生産調整等も実施しましたが、大幅な減収になった事等により営業利益は減益となりました。経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、生産調整による助成金収入の計上はあったものの、持分法による投資利益が減少したことにより減益となりました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
(染色加工事業)
当事業では、抗菌、抗ウイルス加工など開発案件の多様化や迅速化に取り組み顧客連携により一層努めたものの、新型コロナウイルスによる受注環境の悪化が継続し、主力のユニフォーム用途や海外向け婦人衣料用途並びにスポーツ用途等が大幅に減少しました。市況が改善傾向にある自動車関連資材用途は、比較的堅調に推移しました。利益面では、受注の低迷に対応した生産調整や工場間連携の追求による稼働の効率化、製造原価の低減活動をグループ全体で継続したものの、減益となりました。
当事業の売上高は10,088百万円と前連結会計年度比2,131百万円(△17.4%)の減収となり、営業利益は207百万円と前連結会計年度比716百万円(△77.5%)の減益となり、セグメント資産は9,313百万円と前連結会計年度比286百万円(△3.0%)減少しました。
当社の当事業の売上高は9,520百万円と前事業年度比1,987百万円(△17.3%)の減収となり、営業利益は229百万円と前事業年度比553百万円(△70.6%)の減益となりました。
(繊維販売事業)
テキスタイル事業、アパレル事業ともに、新型コロナウイルスの影響による消費の低迷が継続したことや長引く営業活動の制限等もあって低調な結果となりました。テキスタイル事業は、主力のユニフォーム用途や婦人衣料用途ともに受注が減少しました。アパレル事業は、消費低迷による受注の急減に歯止めがかからず、厳しい状況にあるものの、採算性の向上に努めるなど既存OEM事業の再構築に引き続き取り組むとともに、ECチャネル向け等の販路拡大に注力しました。また、テキスタイル事業と縫製品事業の連携については、継続的に案件開発に取り組みました。酒伊貿易(上海)有限公司は、商流開拓や原材料の調達等に取り組みました。
当事業の売上高は5,634百万円と前連結会計年度比3,298百万円(△36.9%)の減収となり、営業利益は253百万円と前連結会計年度比206百万円(△44.8%)の減益となり、セグメント資産は3,261百万円と前連結会計年度比1,170百万円(△26.4%)減少しました。
(制御機器事業)
主力の制御装置では、自動車プレス関連は依然として復調の兆しが見られず、FA関連は鉄鋼、化学プラントを中心に大型案件が少なかったため、ともに低調な結果となりましたが、高速道路やダム等の社会インフラ関連並びに半導体製造装置関連は堅調に推移しました。電力工事は、老朽化設備の更新案件が堅調に推移しました。情報システムでは、生産工程管理システムは堅調に推移したものの、業務系情報管理システムは繊維業界が新型コロナウイルスの影響で投資を見合わせたため低調な結果となりました。
当事業の売上高は3,452百万円と前連結会計年度比649百万円(23.2%)の増収となり、営業利益は490百万円と前連結会計年度比26百万円(5.8%)の増益となり、セグメント資産は4,135百万円と前連結会計年度比258百万円(△5.9%)減少しました。
(その他の事業)
織布事業は、海外向け織物用糸加工、高密度織物ともに受注環境は改善せず、低調に推移しました。水産資材事業は、主力の沖縄県で中層浮魚礁の営業に注力しました。建設不動産事業は、公共物件等の受注は堅調に推移しましたが、一般住宅、リフォーム案件等が伸び悩みました。複合部材事業は、航空・宇宙向けなどの新規用途への市場浸透に努めましたが、新型コロナウイルスの影響により、主力のモータースポーツ用途の受注低迷が継続しました。縫製事業は、新型コロナウイルスの影響で、主力の百貨店系アパレル向けが低調でしたが、新たに病院向けアイソレーションガウン等を生産するなど販路の開拓を進めました。ヘルスケア事業は、新型コロナウイルスの影響により病院等への来院者数が引き続き低迷し、低調な結果となりました。
上記以外の事業も含めたその他の事業全体での売上高は2,721百万円と前連結会計年度比884百万円(△24.5%)の減収となり、営業損失は126百万円(前連結会計年度は営業利益298百万円)となり、セグメント資産は5,741百万円と前連結会計年度比259百万円(△4.3%)減少しました。
当社グループは、売上高営業利益率、自己資本利益率、総資産経常利益率を重要な指標として位置付けており、当連結会計年度末の売上高営業利益率は3.9%、自己資本利益率は6.3%、総資産経常利益率は6.8%でした。引続きこれらの指標の改善に取り組んでいきます。
当社グループは、フリーキャッシュ・フローの創出に努めることにより安定と成長を両立させた経営を実現し、企業価値のより一層の向上に努めていきます。運転資金については自己資金で対応することを基本とし、設備資金については自己資本又は金融機関からの借入等により資金調達を行い、資金の安定化を図っています。当連結会計年度末において現金及び預金は8,823百万円、短期借入金及び1年内償還予定の社債は711百万円、長期借入金及び社債は302百万円となっています。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産・負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産の回収可能性は、連結財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しています。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性等を満たしているかどうかにより判断しており、課税所得は、当社グループの予算等の内部情報や経営環境等の外部要因に関する一定の仮定に基づき見積もっています。
新型コロナウイルス感染再拡大の影響などから、依然として経済活動の回復に向けた動きは鈍く、経済への影響は翌連結会計年度以降も一定期間続き、その後緩やかに回復していくものと仮定していますが、影響は限定的として、繰延税金資産の回収可能性の判断をしています。
なお、当該見積り及び当該仮定について、新型コロナウイルスをはじめ、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合には、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
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