当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当連結会計年度の業績におきましては、半導体液晶部門について、世界的に旺盛な半導体需要により国内、海外向けともに販売が増加しました。また、原子力関連施設で使用される濃縮ホウ素(ボロン10)の販売増加も寄与し、売上高は372億96百万円(前期比13.4%増)となりました。
利益面におきましては、主要原材料の無水フッ酸価格が中国市場の需給等の影響により前連結会計年度と比較し上昇したものの、半導体液晶部門の出荷量増加等により、営業利益は45億83百万円(同12.3%増)となりました。また、持分法適用関連会社である衢州北斗星化学新材料有限公司が販売しているリチウムイオン二次電池用電解質について、中国国内の需要増加を背景に販売価格が大幅に上昇し、同社の経営成績が著しく好転したことにより、持分法による投資利益を計上した結果、経常利益は57億7百万円(同42.0%増)となりました。加えて、持分法適用関連会社であるFECT CO., LTD.の株式譲渡、およびステラファーマ株式会社の株式の一部売却による関係会社株式売却益を特別利益に計上したため、親会社株主に帰属する当期純利益は53億64百万円(同81.3%増)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用により、売上高および売上原価が3億23百万円減少しています。
当社グループは第2次中期経営計画を策定しており、売上高・営業利益を経営上の目標を達成するための客観的な指標として掲げています。売上高については、高純度薬品事業の半導体液晶部門において2020年3月期に韓国向け輸出管理の運用が見直された影響により、韓国向けの出荷量が減少したものの、韓国以外の地域への販売拡大に注力したことにより、2022年3月期の修正目標数値(2021年5月10日公表)である330億円を上回る結果となりました。利益面においては、堅調な半導体液晶部門の販売に加え、原子力関連施設で利用される濃縮ホウ素の販売が増加し、中期経営計画の最終年度となる2022年3月期の数値目標を達成しました。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2事業等のリスク」に記載しています原材料の調達リスクにおいて、高純度薬品事業における主原料であり中国より調達を行っている無水フッ酸価格が、中国における電力不足の影響等により需給が逼迫し、前連結会計年度と比較して大きく上昇しました。原材料価格の上昇については、販売価格への転嫁を行うなど収益面での影響を最小限とするよう取り組みを進めています。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
高純度薬品事業につきましては、世界的な半導体不足により半導体メーカー各社が増産を行うなど旺盛な需要が継続し、国内外ともに販売が増加しました。また、原子力関連施設で使用される濃縮ホウ素(ボロン10)の出荷が増加し、売上高は323億30百万円(前期比13.8%増)となりました。
利益面では、主要原材料である無水フッ酸価格は前連結会計年度と比較し大きく上昇したものの、半導体液晶部門を中心に各製品分野の販売量増加が寄与し、営業利益は47億76百万円(同13.7%増)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高および売上原価が3億23百万円減少しています。
主要な部門の売上高については次のとおりです。
国内向けにおいては、当社の主要販売先であるメモリメーカーを中心に投資活動が継続され、高稼働率を維持したことから出荷量が増加しました。海外向けにおいても世界的に旺盛な半導体需要を受け、販売が増加した結果、売上高は178億59百万円(同9.7%増)となりました。
運輸事業につきましては、運送関連等の取扱量が前連結会計年度を上回った結果、売上高は46億76百万円(前期比14.9%増)となりました。
利益面では、軽油価格が前連結会計年度に比べ上昇するとともに、運送関連費用が増加したものの、売上高の増加や減価償却費の減少等により、営業利益は7億64百万円(同28.8%増)となりました。
メディカル事業につきましては、がん治療法であるホウ素中性子捕捉療法(BNCT)用ホウ素薬剤について、前連結会計年度は販売承認後の初回出荷であり、卸売業者の在庫分を含めた出荷を行ったため、売上高は1億円(前期比51.4%減)、営業損失は7億29百万円(前期は6億44百万円の営業損失)となりました。
その他事業につきましては、保険代理業収入等が前期を下回った結果、売上高は1億89百万円(前期比11.1%減)、営業利益は20百万円(同22.0%減)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりです。
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 金額は販売価格によっています。
② 商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 金額は仕入価格によっています。
③ 受注状況
主として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
④ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.主な相手先別の販売実績については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しています。
当連結会計年度末の資産合計は、565億98百万円となり、前連結会計年度末に比べ36億64百万円増加しました。主な要因は、流動資産、投資その他の資産が増加したことによるものです。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
① 高純度薬品
高純度薬品事業につきましては、当連結会計年度末の資産合計は、465億95百万円となり、前連結会計年度と比べ46億57百万円増加しました。主な要因は、増益に伴う営業活動によるキャッシュ・フローの収入が増加したことにより現金及び預金が増加したこと、また連結子会社から持分法適用関連会社へと移行したステラファーマ株式会社の株式を関連会社株式として計上したこと等により投資有価証券が増加したことによるものです。
② 運輸
運輸事業につきましては、当連結会計年度末の資産合計は、99億92百万円となり、前連結会計年度末と比べ5億11百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金が増加したことによるものです。
③ メディカル
メディカル事業につきましては、当連結会計年度において、ステラファーマ株式会社を連結子会社から持分法適用関連会社へ移行したことにより、前連結会計年度末と比べ15億85百万円減少しました。
④ その他
その他事業につきましては、当連結会計年度末の資産合計は、2億68百万円となり、前連結会計年度末と比べ24百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金が増加したことによるものです。
当連結会計年度末の負債合計は、138億69百万円となり、前連結会計年度末に比べ23億5百万円減少しました。主な要因は、長期借入金が減少したことによるものです。
当連結会計年度末の純資産合計は、427億28百万円となり、前連結会計年度末に比べ59億69百万円増加しました。主な要因は、利益剰余金および資本剰余金が増加したことによるものです。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて2億92百万円増加し、当連結会計年度末は155億38百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、54億3百万円(前期比19億48百万円収入減少)となりました。
主な内訳は、税金等調整前当期純利益68億40百万円、減価償却費の計上が27億13百万円、関係会社株式売却益11億82百万円、棚卸資産の増加11億28百万円、法人税等の支払額13億51百万円などです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、56億74百万円(同32億9百万円支出増加)となりました。
主な内訳は、有形固定資産の取得による支出27億2百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出25億11百万円などです。有形固定資産の取得による支出については、高純度薬品事業に係る半導体液晶部門の生産設備の更新、研究開発棟の建設、また運輸事業における製品運搬用コンテナ等の購入等の設備投資を実施したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は94百万円(前期は30億4百万円の支出)となりました。
主な内訳は、長期借入金の返済による支出20億4百万円、非支配株主からの払込みによる収入36億16百万円、自己株式の取得による支出8億47百万円などです。借入金については、適切な資金確保および健全な財務体質を維持することを目指し、成長維持に必要な設備投資・投融資資金の調達、適正な手元資金水準を鑑み、当連結会計年度においては、短期借入金と長期借入金合わせて32億58百万円の減少となりました。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループは事業活動を遂行するための適切な資金確保および健全な財務体質を維持することを目指し、安定的な資金調達手段の確保に努めています。成長を維持するために将来必要な運転資金および設備投資・投融資資金は、主として営業活動によるキャッシュ・フローと金融機関からの借入により調達しています。
資金の流動性については、事業規模に応じた適正な手元資金の水準を維持するとともに金融上のリスクに対応するため主要取引銀行とコミットメントライン契約を締結することにより手元流動性を確保しています。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は155億38百万円であり、金融機関との間で総額30億円のコミットメントライン契約を締結しています。本契約に基づくコミットメントラインに対し、当連結会計年度末の借入実行残高はありません。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いていますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りおよび仮定については、連結財務諸表「注記事項(追加情報)」に記載のとおり、当社グループの主力事業である半導体液晶部門においては、半導体メーカーが投資活動を継続するなど、当感染症の収束時期が不透明な環境下においても堅調に需要が継続しています。従って、新型コロナウイルス感染症が会計上の見積りに与える影響は限定的であると仮定し、繰延税金資産の回収可能性および固定資産の減損判定について、会計上の見積りを会計処理に反映しています。
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