事業の内容

 

3 【事業の内容】

当社は、SHL Group Limitedからライセンス供与を受け、主に国内企業向けに人材アセスメントサービスを提供しております。一方、資本関係におきましては、当社の販売代理店である株式会社マイナビが当社の筆頭株主であります。

これらの関係について図示すると、次のとおりであります。

 


 

(注) 1.SHL Group Limited(以下、SHL社という)は、1977年に英国で設立されて以来、欧州を中心として世界主要国に子会社及び関連会社並びに提携先企業を擁し、人材アセスメント事業を展開しております。当社は、設立以来、SHL社との間でライセンス契約を締結し、SHL社からライセンス供与を受け、国内企業向けに人材アセスメントサービスを提供しており、同ライセンス契約に基づきロイヤルティを支払っておりました。2013年9月にSHL社が、米国の人事関連の会員制アドバイザリー会社であるCEB社に買収され、2017年4月にCEB社が、米国ITリサーチ&アドバイザリー会社のGartner社に買収されましたが、2018年3月にGartner社は、タレントアセスメント事業※を英国の未公開株式投資会社であるExponent Private Equity LLP(以下、Exponent PE社という)に売却しました。その後、Exponent PE社はSHL Global Management Limitedを設立、同社をタレントアセスメント事業の持株会社とし、SHL社はSHL Global Management Limitedの子会社となりました。この結果、当社とのライセンス契約は、SHL社に再移管されております。なお、SHL社及びExponent PE社の詳細につきましては、以下のウェブサイトをご参照ください。
SHL社 https://www.shl.com
Exponent PE社 https://www.exponentpe.com
※当社の人材アセスメント事業は、タレントアセスメント事業に含まれております。

 

2.株式会社マイナビは、当社の筆頭株主であり、当社株式1,800,000株(議決権の所有割合30.60%)を所有しております。
 株式会社マイナビの会社概要
(本店所在地)    東京都千代田区
(代表者)      代表取締役 社長執行役員  土屋 芳明
(主な事業内容)    就職情報提供事業、出版事業、進学情報提供事業

 

(1) 事業内容について

当社は、「人・仕事・組織の個性を可視化するための測定ツールを提供し、測定データの適切な解釈を通して、顧客企業の生産性向上とそこで働く個々人の仕事を通しての自己実現をはかる」ことを企業理念としております。企業の人事部門は、採用・配属・登用・教育研修等の業務を実施しておりますが、このような際、候補者に関するさまざまな評価情報が必要となります。当社は、人事部門のこのようなニーズに対して、人材の能力や適性を科学的・客観的に評価する総合的なアセスメントサービスを提供しております。

当社の提供するサービスの特徴は、個人のパーソナリティ特性に基づいた職務適性の判断を提供することにあります。当社は、SHL社とのライセンス契約により、後述するOPQを核とする適性テストに関するライセンス、ならびにSHL社の持つ人材評価ノウハウを受け、これらを利用して、国内企業向けに人材アセスメントサービスを提供しております。

具体的なサービスの種類は、プロダクトサービス、コンサルティングサービス及びトレーニングサービスであります(各サービスの内容は、下記「(3) 当社のプロダクト及びサービスの内容について」をご参照下さい)。当社は、直接営業や代理店の活用により、プロダクトサービスにて企業にアクセスし、その後、コンサルティングサービスやトレーニングサービスへと発展させ、顧客企業の抱えるさまざまな人材評価に関するニーズを深耕することで、事業の展開を図っております。また、当社は、これらのサービスを単独で顧客企業に販売するだけではなく、組み合わせて提供することにより顧客企業の抱えるニーズに対応するところに事業の特徴があります。なお、プロダクトはコンサルティングサービスやトレーニングサービスにも共通して活用されております。

当社の各サービスの売上構成は、以下のとおりであります。当社は、プロダクトを使用して人材アセスメントサービスを提供するという単一事業を営んでおります。したがって、売上構成の区分は、当社が提供するサービスの形態別区分であります。

なお、当社の販売実績は以下のとおりです。

サービス区分

2018年9月

2019年9月

2020年9月

2021年9月

当事業年度
 2022年9月

売上高
(百万円)

構成比
(%)

売上高
(百万円)

構成比
(%)

売上高
(百万円)

構成比
(%)

売上高
(百万円)

構成比
(%)

売上高
(百万円)

構成比
(%)

人材アセスメント事業

2,704

100.0

2,914

100.0

2,964

100.0

3,300

100.0

3,463

100.0

内訳

プロダクト

1,624

60.1

1,829

62.8

1,925

64.9

2,230

67.6

2,370

68.4

コンサルティング

987

36.5

995

34.1

962

32.5

980

29.7

996

28.8

トレーニング

91

3.4

89

3.1

76

2.6

89

2.7

97

2.8

 

 

(2) OPQの概要について

OPQ(Occupational Personality Questionnaires)は、一般的に性格検査と呼ばれるテストであります。OPQは、プロダクトとして販売されるだけでなく、コンピテンシーモデリング(職務に求められる能力要件の作成)やオリジナル適性テスト開発サービスなどのコンサルティングサービスにおいても個人差データ収集のために使用されており、当社サービスにとって重要な適性テストであります。

 

① 開発思想

OPQは、計量心理学(サイコメトリックス)に基づき「職務行動に影響を与えるパーソナリティ特性」を測定する目的で開発された適性テストであり、質問の内容は全て仕事に関係する行動に係るもののみとなっております。このため、OPQは、職務を遂行する上で現れる行動の差を表現できるという特徴があります。

 

 

② 受検から結果報告までの流れ
イ.マークシートテスト

 顧客企業がOPQを使用する場合、まず当社に、OPQの問題冊子とマークシート(以下、テストマテリアルという)を発注します。この発注に基づき、当社は顧客企業へテストマテリアルを販売します。顧客企業は採用選考や研修等の目的で、学生や社員等にOPQを実施します。OPQは、68問の質問項目があり、受検者は30分間を目安にマークシートに回答します。受検後、マークシートは当社に送られてきます。その後、当社はマークシートを採点(コンピュータ処理)し、受検者1名につき1から3枚の結果報告書を出力し、これを顧客企業の人事部門に送付します(インターネットを利用し結果報告を送受信するオンライン報告も可能)。顧客企業の人事部門は、結果報告書の内容やその他の評価情報(面接の結果や人事考課情報等)を総合的に勘案して、採用や登用等の決定を行います。

 

ロ.Webテスト

 顧客企業がWebOPQを使用する場合、当社は、顧客企業へシステムの利用が可能となる管理画面のURLならびにID・パスワード及び受検画面のURLをメールにてお知らせします。顧客企業は管理画面にログインし、リポート・ジェネレータ(帳票閲覧ソフトウエア)のダウンロード及びインストールや、受検画面の設定を行うことができます。その後顧客企業は、採用選考や研修等の目的で、学生や社員等に受検用URLを告知しWebOPQを受検させます。WebOPQは、68問の質問項目があり、受検者は20分間を目安にインターネットにて回答し、受検データは当社サーバに格納されます。WebOPQは受検後、即時に自動的に採点処理されますので、顧客企業は受検データを管理画面にて結果の閲覧、またはダウンロードしリポート・ジェネレータに取り込むことで、結果データの出力を行うことができます。顧客企業の人事部門は、結果報告書及び結果データの内容やその他の評価情報(面接の結果や人事考課情報等)を総合的に勘案して、採用や登用等の決定を行います。

 

ハ.会場テスト

顧客企業が会場テストを使用する場合、上記「ロ.Webテスト」の要領でWebOPQを受検させます。受検者はその後、知的能力テスト受検のため、テスト会場の予約をインターネット上で行います。受検者は、予約日時にテスト会場において本人認証後に知的能力テストを受検します。知的能力テストの結果は、テスト会場サーバとの連携により当社サーバに格納され、WebOPQと合わせた結果が生成されますので、顧客企業は受検データを管理画面にて閲覧、またはダウンロードしリポート・ジェネレータに取り込むことで、結果データの出力を行うことができます。以降は上記「ロ.Webテスト」と同様です。

 

ニ.オンライン監視型テスト

顧客企業がオンライン監視型テストを使用する場合、上記「ハ.会場テスト」の要領でWebOPQを受検させます。受検者はその後、知的能力テスト受検のため、オンライン監視型テスト受検日時の予約をインターネット上で行います。受検者は、予約日時に受検画面のURLにアクセスし、インターネット上で本人認証後に知的能力テストを受検します。受検中、AI(人工知能)と監督官が、不正防止のために受検者をWebカメラを通して監視(モニタリング)します。以降は上記「ハ.会場テスト」と同様です。

 

 

③ 結果報告書の特徴

OPQの結果報告書は、30個のパーソナリティ因子及びその組み合わせにより、さまざまな職務適性を表示しております。

(OPQのパーソナリティ30因子の構成)

分類

因子項目

人との関係

説得力、指導力、独自性、外交性、友好性、社会性、謙虚さ、協議性、面倒み

                                                                      (9因子)

考え方

具体的事物、データ、美的価値、人間、オーソドックス、変化志向、概念性、創造的、計画性、緻密、几帳面                          (11因子)

感情・エネルギー

余裕、心配性、タフ、抑制、楽観的、批判的、行動力、競争性、上昇志向、決断力

                                                                      (10因子)

 

 

 OPQの結果報告書は、上記30個のパーソナリティ因子の強弱及びその組み合わせにより「マネジメント適性」「問題解決能力」「創造的思考力」「営業職適性」「事務職適性」「システムエンジニア職適性」「プログラマー適性」等のさまざまな職務適性を表示します。これらの表示は、企業で働く複数の社員の協力によって得たOPQデータと実際の人事考課や職務遂行結果との関係を科学的に分析した結果に基づいて出力されております。

 

④ その他の活用方法

OPQは、採用選考・配属・登用で用いられるだけでなく、以下のとおりコンサルティングサービスやトレーニングサービスとしても活用されます。

イ.コンピテンシーモデリングを行う際、成績優秀者群と要努力者群における職務上の行動差について、OPQデータを利用して統計的に分析する。

ロ.企業や職種毎に異なる適性を測定するため、OPQをオリジナル適性テスト開発サービスで使用する。

ハ.受検者にOPQ結果をフィードバックし、職務を遂行するうえでの自分の特徴を理解させ、その後の行動改善に役立てるため、顧客企業の人事部員に対しOPQの使用方法を研修の中で説明する。

 

(3) 当社のプロダクト及びサービスの内容について

当社は、人材アセスメントサービスを行うに際して、SHL社とのライセンス契約に基づきOPQ等の適性テストを国内企業向けに開発するとともに、人材評価ノウハウを利用しております。プロダクト及びサービスの内容は、以下のとおりであります。

 

① プロダクトサービス

 一般的に適性テストと呼ばれている、個人差、職務差及び組織文化差等を測定するためのテスト問題・質問項目等(以下「プロダクト」という)の販売であります。当社のプロダクトは、臨床や教育が対象とする性格等を測定しているのではなく、職務遂行に関連した能力、性格及び意欲を測定対象としているところに特徴があります。

 

② コンサルティングサービス

 企業や職務内容によって、職務を遂行するために必要な能力は異なります。当社は、顧客企業の人事部門と協議し、職務を遂行するうえで必要となる能力要件を作成(コンピテンシーモデリング)し、顧客仕様のプロダクトやさまざまな人材評価手法を開発し提供しております。

 

③ トレーニングサービス

 人材アセスメントサービスを利用する顧客企業の主に人事部員を対象にした研修であります。プロダクトの結果解釈方法、面接技術及びグループ討議評価技術等の人材評価技術を習得するものであります。

 

 

主要なサービスと用途は、次のとおりであります。

 (主要なサービスと用途)

サービス区分

サービス名

用途

プロダクト

OPQ
(パーソナリティ質問紙)

職務を遂行する際にとる行動には個人差があります。チームワークを好むタイプと個人での仕事を好むタイプ、リーダータイプとプレイヤータイプなど人さまざまです。こうした個人が好む行動スタイルから、最適な職務を予測する質問紙です。
性格検査の多くが臨床目的や教育目的等から開発されているのに対し、OPQは、予測精度を高めるために、職務を遂行する際にとる行動だけに着目して開発されております。採用・配属・登用・教育研修等さまざまな場面で使用されます。

<知的能力テストシリーズ>
GFT
言語理解テスト
計数理解テスト
英語テスト

職務を遂行するうえで必要な言語能力(読む・聞く・話す・書く)、計数能力(推論・計算・暗算・グラフ処理)、英語力の基礎となる能力を測定するテストです。主に、採用で使用されます。

<総合適性テストシリーズ>
GAB
IMAGES

言語理解テスト、計数理解テスト等の知的能力テストとOPQで構成された総合適性テストです。採用・配属・登用・教育研修等さまざまな場面で使用されます。

<職務適性テストシリーズ>
CAB(コンピュータ職適性テスト)
SAB(営業職適性テスト)
OAB(事務職適性テスト)
CCSQ(注1)
(カスタマーコンタクト適性テスト)

システムエンジニア、プログラマー、営業職、事務職、カスタマーコンタクト職の職務適性を知的能力面とパーソナリティ面から測定するテストです。採用・配属場面で使用されます。

MQ(注2)
(モチベーション質問紙)

人は報酬だけで意欲づけられるものではありません。その要因は昇進、組織への帰属意識、達成、地位など人さまざまです。こうした個人のモチベーションリソースを測定する質問紙です。採用・配属場面で使用されます。

決裁箱

管理職を対象としたワーク・シミュレーションテストです。受検者には新任管理職の役割が与えられ、膨大な稟議書類を読み込み、案件の優先順位づけや突発的な事件や事故への対応が迫られます。管理職の登用場面や研修等で使用されます。

 

 

 

 

サービス区分

サービス名

用途

プロダクト

目安箱(モラールサーベイ)

インターネットを利用したモラールサーベイです。社員の意識や企業文化の特徴に関するデータを短時間で収集することができます。

目安箱Ⅱ(組織文化・価値観測定)

インターネットを利用した組織文化・価値観測定ツールです。社員が現場で重視する価値観、とっている組織行動について短時間で情報を収集することができます。人事制度改革の効果測定や経営改革支援などに使用されます。

万華鏡

OPQとV@W(注3)から構成されるインターネット上で受検可能な質問紙です。OPQからは職務適性、チームタイプ、感情知能などが予測されます。V@Wからは仕事上重視する価値観が測定されます。自己理解支援、キャリア・カウンセリングをはじめ、職務要件作成、配属シミュレーションなどさまざまな場面で使用されます。

無尽蔵(多面評価質問紙)

管理職の行動を多面(上司・部下・同僚・本人)評価する質問紙です。管理職の登用や能力開発に使用されます。

コンサルティング

コンピテンシーモデリングサービス
(能力要件の作成サービス)

採用・配属・登用等の人員配置を行う際、配属する職務に求められる能力要件を作成するサービスです。業務分析手法や統計手法、その他の科学的な手法を用いて能力要件を作成します。
人材の能力は多面的でありかつ複雑です。職務と人材の最適なマッチングのためには、能力要件を作成し、この能力要件に照らして人材評価を行います。

オリジナル適性テスト開発サービス

コンピテンシーモデリングによって能力要件が作成された後、そのコンピテンシーを評価するために顧客の仕様に基づいて適性テストを開発するサービスです。開発するのは知的能力テストやパーソナリティ質問紙の適性テストにとどまらず、グループ討議用の題材や面接評価シートなどがあります。当社のサービスは、人材を1種類の測定手法で評価するのではなく、複数の測定手法を組み合わせて評価するところに特徴があります。顧客は、マークシートテストサービスまたはWebテストサービスを選択し使用することが可能です。

 

 

 

 

サービス区分

サービス名

用途

コンサルティング

玉手箱Ⅰ
(インターネットスクリーニングシステム)

多くの企業がインターネットを使用して採用情報の提供と応募受付を行っております。インターネットスクリーニングシステムは応募者の履歴情報、パーソナリティ及びモチベーション等の回答結果から企業の求める能力要件順に応募者を序列化したりデータ管理するためのシステムです。

玉手箱Ⅲ
(インターネットテスティングシステム)

知的能力テスト(言語、計数、英語)及びOPQで構成された、インターネット上で受検可能な総合適性テストです。主に新卒採用・配属場面で使用されます。

アセスメントセンター(注4)
(社員アセスメントサービス)

アセスメントセンターは、主に中間管理職や経営幹部層を選抜・育成する手法です。評価手法は「複数の候補者に対して、複数の課題・演習を与え、その結果について複数の評価者(アセッサー)が評価を行う複眼的評価法(マルティプル・アセスメント)」であります。

トレーニング

OTコース(適性テスト理論)
OPQコース(パーソナリティ理論)

適性テスト理論やパーソナリティ理論を修得する研修であります。

面接技術訓練コース

面接理論の講習と、模擬面接を体験する研修です。面接による人材評価技術を理論と実践の両面から提供します。

グループ討議
評価技術訓練コース

グループ討議の評価技術講習と模擬グループ討議の評価を体験する研修です。グループ討議の評価技術を理論と実践の両面から提供します。

インハウスセミナー

企業のニーズに合わせた企業内研修です。OPQのフィードバック研修や管理職研修が主な内容であります。

 

(注) 1 Customer Contact Styles Questionnaireの略称です。

  2 Motivation Questionnairesの略称です。

  3 Values @ Workの略称です。

  4 アセスメントセンターは、主に企業の中間管理職や経営幹部層を選抜・育成する手法であります。その評価手法は、「複数の候補者に対して、複数の課題や演習を与え、その結果について複数の評価者(アセッサー)が評価を行う複眼的評価法(マルティプル・アセスメント)」といわれるもので、次のような課題・演習が与えられます。

    ・知的能力テスト(言語理解テスト、計数理解テスト)
  ・パーソナリティ質問紙(OPQ)
  ・イントレイ演習
  ・グループ討議
  ・プレゼンテーション演習

    最後に、各課題や演習の結果を総合的に取りまとめる「統合セッション」を行い、候補者の管理職としての能力を総合的に評価し、教育研修部門または人事部門に報告するとともに、育成すべき能力項目を決定し、育成プログラムを作成し演習参加者個人にフィードバックします。

 

 

事業の系統図は、次のとおりであります。

 


 

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