課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「誠実」の社是の基、「未来社会に音で貢献する」をビジョンとして掲げ、「音に関わる製品やソリューションを通して、世界中により快適な生活やコミュニケーションの喜びを提供し社会から期待される企業になる」ことをミッションとし、業界での地位を確固たるものにするために、グローバル企業としてさらなる事業の充実と企業価値の向上を図りながら、持続的な成長を実現するための体制作りを推進します。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

〈中期的な取組み〉

 当社グループでは、品質経営を推進し、利益重視の長期成長を目指します。そして当社グループの強みを活かすために、環境対応、高付加価値の追求を図ります。加えて新たな技術の潮流をビジネスチャンスとして活かすために、音響信号と人間とのインターフェース技術を、培ってきた知識・ノウハウによりさらに発展させるとともに、新技術の開発と新規事業に果敢に挑戦します。

 

・「車載ビジネス」を中心とする事業ポートフォリオ

 当社グループは主要顧客向けヘッドセットビジネスから撤退し、「車載ビジネス」へと舵を切ることを決断しました。その決断の主な理由は、次の通りです。

‐スマートフォン市場が成熟化する中、主要顧客の戦略変更による大幅な価格引き下げと受注減が見込まれたこと。

‐自動車が100年に一度の転換期を迎える中、車載ビジネスには将来性があり、当社グループがこれまで培った完成車メーカや車載関連サプライヤーとの取引関係とノウハウを最大限活かせる分野であること。

 これらの実現に向け、2020年11月に中期事業計画を策定し公表しました。当社グループは中期事業計画を着実に遂行し持続的成長・企業価値の向上に取り組んでいきます。

 

(中期事業計画の概要)

 中期(~2024年度)では、「OEM/ODMサプライヤーから戦略パートナーへの昇華」を目指します。車に搭載されるあらゆる音響・振動デバイスをワンストップで提供できる能力を強みとして、車載産業に不可欠な存在となるべく、新しい製品の開発・生産・販売にも取り組んでいきます。まずは中期財務目標、売上高1,200億円、営業利益 50億円、営業利益率4.2%の必達を目指し、中期事業計画を着実に遂行することで、売上高、営業利益及び営業利 益率等をさらに高めることを目指します。

 長期(~2030年度)では、「世界一の『音響』ソリューションパートナー」を目指します。音響ソリューションのスペシャリストとして、「音や振動のことならフォスターに聞こう!」という立場になることで、車載関連ビジネスに留まらず、ロボティクス、ウェアラブル、ウェルネス等、未来社会に貢献する有望な産業分野において、聴覚・触覚に関わり、より幅広いマーケットニーズを支援・推進できる、顧客に関わる、結果として世界一頼れる「音響」パートナーとなることを目指します。

 

・ESG経営の推進

 当社グループでは、すべてのステークホルダーとの関係性をより良きものへと創造し、経済的価値及び社会的価値を高め持続的な成長を目指します。

 これらを実現するため、「Be happy 80%」をスローガンにESG経営を推進していきます。

「Be happy 80%」とは、80%の社員が80%の幸せを享受できる姿を目指していくという考えです。全ての企業活動の原点は社員であり、社員をハッピーにできない企業にESGを推進することはできないと言う考えが根底にあります。

 

(環境への取り組み)

 当社グループは、環境と調和するテクノロジーと環境にやさしい生産の追求を通して、自然の営みを尊重し、世界の人々が人間性を十分に発揮できる豊かな社会と環境の実現に貢献します。

 気候変動への取組みは地球規模での課題であると同時に企業の使命です。製造業では環境に配慮したモノづくりをする企業だけが持続的な成長ができると考えます。開発・設計製品の省資源、省エネルギー化を促進し、また、製品製造から廃棄はもとより、すべての事業活動での汚染予防やCO2削減に取り組み、地球環境保全に努めます。また、環境対応製品の充実とともに、製造体制でも「ゼロ・エミッション」を目標に、品質の「ゼロ・ディフェクト」と併せ、競合他社の先を行く体制を確立します。

(社会とのつながり)

 個人の人間性を尊重し多様な働き方を実践することで、より創造性豊かなヒトづくりを推進することが、当社グループの持続的成長に欠かせないと考えます。また、事業活動を通じて、人々に安心、安全そして生活に快適さ・豊かさをもたらす製品やサービスを提供し、社会との共存共栄に努めます。「良き企業市民」として積極的に社会貢献活動に参加し、社会の発展に寄与します。

 

(コーポレート・ガバナンス)

 取締役会の主導のもと、経営環境の変化に迅速かつ的確に対応できる意思決定と、適法かつ適正な業務執行が可能な経営体制および公正で健全な経営システムの確立に取り組みます。同時に、グローバル経営をさらに高度化するため、グループガバナンスを強化し、より実効性の高い体制を整え、企業価値・株主価値の最大化を目指します。

 

(3)目標とする経営指標

 当社グループは、2020年11月に公表しました中期事業計画において、売上高1,200億円、営業利益50億円、営業利益率4.2%を中期財務目標としています。中期財務目標の必達に加え資産、資本効率を高め、事業の持続的成長及び更なる企業価値の向上に取り組みます。

 

(4)経営環境と対処すべき課題

 世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻など地政学リスクの高まりにより、かつてないほど不確実性が増しています。新型コロナウイルス感染拡大、サイバー攻撃等による社会的危機、ミャンマーやロシア・ウクライナ等の政治的危機、急激な物価上昇による経済的危機、そして気候変動危機等これらが複合的に連鎖する対応困難なリスク・危機に世界は直面しています。一方で、AIや5G、6G等のデジタル化の潮流は、こうしたリスク・危機への対応も相まってますます加速し、経済発展に寄与すると期待されています。

 当社グループが注力する自動車関連市場では、世界経済の正常化に向けた回復を背景に自動車生産・販売も若干増加すると見込まれますが、当面は、半導体チップ不足、資源高、サプライチェーンの混乱をはじめ世界経済の不確実性の高まりから予断を許さない状況が続くものと思われます。一方で、EV化の流れは勢いを増し、自動運転を含めた次世代自動車への取り組みによる新たな付加価値創出への期待はますます高まっています。これらに加えAI、5G・6G等の新技術の産業化に伴い電子部品の中長期需要は力強い成長が期待できます。

 以上のような情勢下、当社グループは「未来社会に音で貢献する」をビジョンとして掲げ、「音に関わる製品やソリューションを通して、世界中により快適な生活やコミュニケーションの喜びを提供し社会から期待される企業になる」ことをミッションとし、業界での地位を確固たるものにするとともに、グローバル企業としてさらなる事業の充実と企業価値の向上を図りながら、持続的な成長を実現するための体制づくりを推進します。

 取り巻く環境は厳しさを増していますが、中期事業計画を着実に進める方針に変わりはありません。様々な危機に直面する中で、対処すべき課題を明確にし、構造改革を含め対応策の実効性・即効性を高めると同時に、高まる不確実性に対しての即応体制を強化していきます。

 具体的には、主に以下の方針のもと諸施策を実施します。

 

(収益力の強化)

1.スピーカ事業のレジリエンス強化

2.モバイルオーディオ事業の黒字安定化

3.成長分野である小型音響部品事業へのリソースシフト

4.ESTec Corporationとの協働強化

 

(構造改革)

1.グローバルに最適なサプライチェーン体制の構築

2.地産地消の推進

3.拠点間バックアップ体制の整備・強化

4.さらなる省人化推進

5.製造工程の標準化推進

 

 これらに加え、当社グループでは、製品品質・業務品質のさらなる改善・向上及びIT/DXによる業務革新・生産性向上に積極的に取り組んでいきます。また、さらなる競争優位の獲得に向け環境対応力を高め、中期事業計画でコミットした「カーボンニュートラル」の目標達成に向け、グローバルベースで推進していきます。

 当社グループは、「全ての価値創造の源泉は人財である」との考えのもと人財投資を積極的に行い、中期事業計画でも定めた社員の「Be Happy 80%」の実現を目指し、社員一人ひとりが「失敗を恐れず挑戦」し続けることで市場での変化を自らが生み出していきます。そして、社会や市場の中で信頼され、必要とされる企業となるためにESG経営を着実に続けていきます。

 

当面の懸念材料への対応等は事業等のリスクに記載

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

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