業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

 当連結会計年度(2021年2月1日~2022年1月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進み、緩やかな景気回復を背景に投資再開の動きが広がるなか、足元では新たな変異株による感染拡大や半導体の供給不足、原材料価格の高騰など、先行きは不透明な状況が継続しています。

 情報サービス産業においては、昨年からのテレワーク環境の整備・強化に向けた需要が一巡した一方、業績悪化を理由に抑制が続いていた企業のICT投資が再開され、特に事業の強化や変革を推進するDX(デジタルトランスフォーメーション)関連の需要が増加しております。

 このような情勢下、当社グループは引き続き社員および顧客の安全確保を優先しつつ、リモート環境下での開発や営業活動の推進、オフィスにおけるソーシャルディスタンスの確保など、ウィズコロナ時代に対応した事業活動を進めてまいりました。製造業顧客に特化したサービスを提供するデジタルインダストリー事業においては、顧客企業のICT投資に選択傾向が強まった状況が続くなかで、モビリティやIoTなど製造業のデジタル化推進需要を捉えて、新製品の開発や新規商談の開拓に取り組みました。また、情報システムのライフサイクル全般を支援するサービスインテグレーション事業においては、インフラ構築事業で半導体の供給不足に起因する商談の停滞が顕在化した一方、システム開発事業では、企業のデジタル変革(DX)需要を捉えた商談の活性化が継続いたしました。また、テレワークが定着するなかデジタルプロモーションの強化を図り、新規商談の開拓および既存顧客深耕に取り組みました。

 これらの結果、当連結会計期間の業績については、受注残高は通年改善傾向で推移したものの、前期の特需案件剥落による反動減などの影響により、売上高は452億2千万円、前期比27億8千2百万円(5.8%)の減となりました。利益面については、減収に伴う利益の減少に加え、不採算案件発生の影響により、営業利益は42億6百万円、前期比8億4千1百万円(16.7%)の減、経常利益は42億8千2百万円、前期比8億7千6百万円(17.0%)の減となりました。親会社株主に帰属する当期純利益については、投資有価証券売却益を特別利益に計上したものの、不採算案件における特別損失の計上や前期の特別利益剥落による反動減により、30億3千9百万円、前期比9億9千7百万円(24.7%)の減となりました。

※当社および子会社保有の投資有価証券を売却し、その売却益5億6千3百万円を特別利益に計上しております。

※一部のシステム開発案件における納期遅延に伴い、2022年4月から2022年9月までの顧客先既存システム維持費用等を当社が負担することで合意したため、当該費用4億1千4百万円を損失補償引当金繰入額として計上しております。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(デジタルインダストリー事業)

 デジタルインダストリー事業におきましては、中部地区のモビリティ関連事業や既存システム開発事業に加え、スマートファクトリー事業も前期並みとなりました。また、西日本地区および製品開発支援サービス事業は減収となったものの、事業環境の回復により第2四半期会計期間を底に下半期改善傾向で推移いたしました。結果、売上高は158億9千7百万円、前期比4億円(2.5%)の減となりました。また、減収および一部のシステム開発案件で発生した不採算案件の影響により、営業利益は31億5千3百万円、前期比2億1千8百万円(6.5%)の減となりました。

(サービスインテグレーション事業)

 サービスインテグレーション事業におきましては、DXやクラウド化推進等のICT投資が活性化し、日本マイクロソフト社との連携ビジネスやマイグレーションサービスを含む、システム開発事業全般が伸長いたしました。一方で、セキュリティサービス事業は下半期好調に推移したものの、上半期の前期特需剥落の影響により減収となりました。加えて、半導体供給不足によるインフラ構築事業の停滞や、グループ子会社における前期の特需案件剥落の反動減により、売上高は293億2千2百万円、前期比23億8千1百万円(7.5%)の減となりました。また、減収および一部のシステム開発案件において発生した不採算案件の影響により、営業利益は45億4千6百万円、前期比5億3千6百万円(10.6%)の減となりました。

生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

デジタルインダストリー事業

15,053,367

96.9

サービスインテグレーション事業

25,169,425

100.8

合計

40,222,792

99.3

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

  2 金額は販売価格で表示しており、消費税等は含まれておりません。

 

② 受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

デジタルインダストリー事業

16,198,547

100.2

3,021,578

111.0

サービスインテグレーション事業

30,023,154

94.9

8,465,008

109.0

合計

46,221,701

96.7

11,486,586

109.5

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

  2 金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

売上高(千円)

構成比(%)

前年同期比(%)

デジタルインダストリー事業

15,897,957

35.2

97.5

サービスインテグレーション事業

29,322,610

64.8

92.5

合計

45,220,567

100.0

94.2

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

  2 金額には、消費税等は含まれておりません。

  3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

富士通株式会社

4,834,219

10.7

(注) 前連結会計年度の富士通株式会社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する

割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。

 

(2) 財政状態

(流動資産)

 流動資産の残高は340億6千万円で、前連結会計年度末と比較して9億7千4百万円の増加となりました。これは、現金及び預金が14億1千万円増加、受取手形及び売掛金が5億9百万円減少したことなどが主な要因です。

(固定資産)

 有形固定資産の残高は65億6千7百万円で、前連結会計年度末と比較して4億2千万円の増加となりました。これは、建設仮勘定が6億6百万円増加、建物及び構築物(純額)が2億7千6百万円減少したことなどが主な要因です。

 無形固定資産の残高は2億4千4百万円で、前連結会計年度末と比較して1千6百万円の減少となりました。これは、ソフトウエア仮勘定が7千6百万円減少、ソフトウエアが5千9百万円増加したことなどが主な要因です。

 投資その他の資産の残高は42億7千5百万円で、前連結会計年度末と比較して1千9百万円の減少となりました。これは、投資有価証券が7億4千1百万円減少、退職給付に係る資産が3億5千2百万円増加、繰延税金資産が3億4千4百万円増加したことなどが主な要因です。

 この結果、固定資産の残高は110億8千7百万円で、前連結会計年度末と比較して3億8千3百万円の増加となりました。

(流動負債)

 流動負債の残高は83億1千万円で、前連結会計年度末と比較して3千9百万円の増加となりました。これは、損失補償引当金が4億1千1百万円増加、受注損失引当金が3億8千5百万円増加、買掛金が6億1千2百万円減少したことなどが主な要因です。

(固定負債)

 固定負債の残高は11億円で、前連結会計年度末と比較して3千9百万円の減少となりました。これは、退職給付に係る負債が1千6百万円減少、長期借入金が1千3百万円減少したことなどが主な要因です。

(純資産)

 純資産の残高は357億3千6百万円で、前連結会計年度末と比較して13億5千7百万円の増加となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、株主資本が16億3千9百万円増加したことなどが主な要因です。

(3) キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、224億3千万円と前連結会計年度末と比較して14億1千万円増加となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の増加は31億5千1百万円(前期比21億9千8百万円の収入減)となりました。これはおもに税金等調整前当期純利益43億7千3百万円などによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の減少は3億4千万円(前期比1億2千9百万円の支出減)となりました。これはおもに固定資産の取得による支出11億3千4百万円や投資有価証券の売却による収入8億5百万円などによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の減少は14億1千1百万円(前期比1百万円の支出増)となりました。これはおもに配当金の支払額13億9千8百万円などによるものです。

資本の財源および資金の流動性についての分析

(財務戦略の基本的な考え方)

 当社グループの主な資金需要は、生産活動に必要な運転資金、販売費及び一般管理費等の営業活動費であり、これらについては現在手元資金で賄える状況でありますが、変化する経営環境に対処するため、短期借入を行っております。今後も安定した経営基盤に基づく収益向上を図り営業活動によるキャッシュ・フローの増加に努めてまいります。

 なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は224億3千万円となっております。

(経営資源の配分に関する考え方)

 当社グループの経営資源の配分に関しては、上記基本的な考え方を基に、変化する経営環境に対処するため、事業展開への備えと研究開発費用および設備投資などを考えております。また、当社グループでは株主還元についても経営における重要課題の一つと考えており、当連結会計年度においては、1株当たり年間配当40円、総額13億99百万円の配当を実施いたしました。加えて、資本政策の対応力を強化すべく、2022年3月11日に「自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ」を公表し、取得価格の総額20億円を上限に、東京証券取引所における市場買付を行ってまいります。なお、当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。

キャッシュ・フロー指標のトレンド

指標

2020年1月期

2021年1月期

2022年1月期

自己資本比率(%)

75.3

78.1

78.7

時価ベースの自己資本比率(%)

174.7

112.4

82.5

キャッシュ・フロー

対有利子負債比率(年)

0.1

0.1

0.1

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

1,427.1

1,657.4

1,070.3

(注)1.各指標の算出方法は以下のとおりです。

自己資本比率           :自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率     :株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い

2.各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

3.株式時価総額は、期末株価×(期末発行済株式総数-期末自己株式数)により算出しております。

4.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

5.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結損益計算書の支払利息を使用しております。

 

(4) 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表作成にあたって、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づいて見積りを行っておりますが、見積りには不確実性があるため実際の結果と異なる場合があります。

連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(5) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、「持続可能な社会の実現」と「当社グループの持続的成長」を目指して2023年1月期から2025年1月期の3か年を対象とした中期経営計画を策定いたしました。本中期経営計画では、「ICT技術で未来を創る企業へ」を経営の基本方針とし、プロフェッショナル集団として、当社グループ社員一人ひとりが先進性・誠実性・信頼性を高め、常に成長のための自己改革を行い、ICTを活用した新しい価値を創造してまいります。また、ステークホルダーの皆様の期待に応えるべく、当社グループの持続的成長・発展を通じて、サステナブルな未来創りに貢献します。なお、業績の見通しといたしましては、売上高480億円、営業利益50億円、経常利益50億5千万円、親会社株主に帰属する当期純利益34億円を見込んでおります。

 

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