課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、①世界最高品質のゲームを生み出す開発力・技術力、②世界に通用する多数の人気IPを保有していることを強みとしております。

今後も、中長期にわたる安定成長を実現し、企業価値向上を図るために、以下の「経営理念」に基づき、株主、顧客、取引先、従業員および地域社会などのステークホルダーとの信頼関係を構築し、共存共栄に努め、コーポレート・ガバナンスの継続的な充実に取り組んでまいります。

<経営理念>

ゲームというエンターテインメントを通じて「遊文化」をクリエイトし、人々に感動を与える「感性開発企業」

<経営理念を実現するための取組み>

ア. 経営人材力の強化と後継者育成

イ. 性別・国籍・年齢等における多様性を図り、組織体制の整備と機能の向上

ウ. 取締役会による有効なリスクコントロール体制の構築

エ. 適時・適切な情報開示と対話による経営の透明化

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、事業の継続的な拡大を通じて、企業価値を向上させていくことを経営の目標としております。

経営指標として「毎期10%営業利益増益」の中期経営目標に加え、現金の動きを把握するキャッシュ・フロー経営を重視するとともに、資本効率の観点から、ROE(自己資本利益率)向上による企業価値の増大に努めてまいります。また、連結配当性向について、将来の事業展開や経営環境の変化などを勘案のうえ、30%を基本方針とし、かつ安定配当の継続に努めてまいります。

 

(3) 経営環境および中長期的な会社の経営戦略

当社は、通信規格の高速大容量化への移行、コンテンツの提供チャネルの増加、デバイスの多様化、グローバルベースでのユーザーの拡大など、大きく事業環境が変化しつつある状況下、安定した利益の確保ができる企業体質の確立が経営の重要課題と認識しております。

事業環境の変化が続く市場に対応するために、当社は、ユーザー動向の収集・分析といったデジタル戦略の推進や開発進捗管理・コスト管理手法の進化、毎年安定した新人の採用と早期戦力化などにより、収益構造・財務構造の改善に注力してまいりました。

さらに、安定的、持続的な成長を確固たるものとするため、当社は「人材投資」を優先課題と位置づけ、次の施策に取り組むことにより、企業価値の向上を図ってまいります。

ア.経営層による人材課題への対応体制の拡充

・人事関連組織の再編

・最高人事責任者(CHO)の新設

イ.将来を支える人材の確保と育成、働く環境の再整備

・報酬制度の改定

・平均基本年収の増額

・業績連動性をより高めた賞与支給

・福利厚生制度の拡充

ウ.経営人材力の強化

・取締役会の多様性の確保および実効性の強化

 

当社は、人材強化の取組みを進め、IPを積極的に創出、活用し、グローバルでのさらなるブランド価値向上とユーザー数の拡大に努め、主力事業のデジタルコンテンツ事業を成長させ、中期経営目標の「毎期10%営業利益増益」の達成に取り組んでまいります。

その原動力となる開発人員の増強と開発環境の整備を図り、新規IPの創出と主要IPの活用によりパイプラインの拡充に努めてまいります。また、新作タイトルの継続的な投入とリピートタイトルのデジタル販売強化により、総販売本数の増加に注力してまいります。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

上記(3)を推進するため、以下の課題に取り組んでまいります。

①次期の事業別戦略

次期においては、上記(3)の戦略に基づき以下の点を中心に取り組んでまいります。

ア.デジタルコンテンツ事業

当事業におきましては、前期発売の『モンスターハンターライズ』の超大型有料拡張コンテンツ『モンスターハンターライズ:サンブレイク』(Nintendo Switch、パソコン用)をはじめとした新作を投入し、ブランドの価値向上とユーザー数の拡大を推し進めてまいります。また、当期発売の『バイオハザード ヴィレッジ』や『モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~』といったリピートタイトルについても、デジタル販売の強化と販売施策の推進により、収益の最大化と総販売本数の継続的な増加に努めてまいります。

イ.アミューズメント施設事業

当事業におきましては、新業態店舗の展開を継続し、引き続き機動的な「スクラップ・アンド・ビルド」に取り組み、効率的な店舗出店、運営を進めてまいります。

次期は出店4店舗、退店2店舗を予定しております。

ウ.アミューズメント機器事業

当事業におきましては、人気IPを中心に新機種を順次投入してまいります。

次期は『月華 雅』を4月に投入するほか、4機種の投入により販売台数34千台を予定しております。

エ.その他事業

その他事業につきましては、eスポーツビジネスにおいて、より多くの方々に参画していただけるよう、オンライン大会を活用したグローバル規模での裾野拡大を一層積極化してまいります。また、映像子会社の設立によるコンテンツの映像化推進や他業種とのコラボレーションを通じ、ワンコンテンツ・マルチユース戦略をグローバルで推し進めてまいります。

今後も、eスポーツや映像、ライセンスビジネスなど多面的な展開を推進し、コンテンツのブランド拡大を図るとともに、コーポレートブランドの価値の最大化に努めてまいります。

 

②コーポレート・ガバナンスに関する取組み

当社は持続的な成長のためには取締役会の多様性確保が重要であると認識しており、性別、国籍、年齢等に関係なく、人格および識見に基づいて候補者を選定し、「多様な視点」「豊富な経験」「多様かつ特化した高度なスキル」を持ったメンバーで構成するよう努めております。

加えて、当社は創業者のリーダーシップのもと強固な経営基盤と当社独自の開発体制、ビジネスモデルを強みとしております。また、任意の委員会を含めた社外取締役の積極的な参画の機会拡大を図り取締役会の監督機能を強化するなど、コーポレート・ガバナンスの向上に努めております。

そのうえで、一層の取締役会の機能強化のため、取締役会の実効性評価を行っております。2021年3月期の課題に対して、2022年3月期は社外取締役に対する情報提供・意見交換の機会の拡充や議案付議基準のさらなる見直し等により、引き続き取締役会の実効性が確保できているとの結果が得られました。

 

また、経営の監督機能強化に向けて実効性をさらに高めていくため、2023年3月期は以下の課題に取り組んでまいります。

〔主な課題〕

・取締役会および任意の委員会の運営・サポート体制の強化

・社外取締役への情報提供機会の充実

・持続的な安定成長に資する取締役会の多様性の確保および経営人材力の強化

今後も、当社取締役会において諸課題の共有と理解を促進し、さらなる機能向上に努めてまいります。

 

③情報セキュリティの強化への取組み

当社は、情報が企業活動に与える影響の重要性に鑑み、各国で整備が進められる個人情報等の情報保護法制への対応のほか、国内外の様々なサイバーリスクへの対策が不可欠と認識しており、情報セキュリティ体制の強化に取り組んでおります。

当社は、セキュリティ監督委員会の指導、助言をもとに、継続して種々のセキュリティ強化策を講じており、システムの運営・監視や非常時対応の強化など所期の目的を達成しております。

今後も、継続的な課題抽出と早期対応が不可欠であると考えており、引き続きセキュリティ監督委員会の助言等を踏まえ、常時、体制の維持・強化に取り組んでまいります。

 

④開発人材、多様性ある人材の確保、育成

当社は、中長期的な企業価値向上に向けた中期経営目標の達成のため、中核的競争力である開発体制の拡充を図るには、研究開発やコンテンツ制作にかかる人的資本への投資・活用における開発人員の増強と生産性向上が重要であると認識しております。

そのため、当社は連結での開発人員数2,500名体制に向けて、2013年度以降100名規模、2017年度以降では150名規模での開発人員の採用を推し進めており、2022年3月期末における開発人員数は約2,400名となっております。

加えて、当社は事業環境の変化に対応するため、性別、国籍、年齢等に関係なく採用や評価等を行うなど、多様性のある人材の確保・育成への投資に努めております。

女性管理職は35名(管理職に占める割合は12.5%)、外国人管理職は7名(管理職に占める割合は2.5%)、中途採用者の管理職は157名(管理職に占める割合は55.9%)となっております。

 

⑤政策保有株式に対する基本方針

当社は、政策保有株式について慣例的な相互保有や人的関係の情実等を排除しております。将来の取引関係や持続的な企業価値の向上に資するか否かなど、中長期的な観点から得失等を総合的に勘案のうえ、現状最小限の3銘柄のみ保有しており、当期末現在の当該政策保有株式の保有額は、純資産の0.5%未満であります。

なお、継続して保有する基準として、簿価が50%以上下落した場合や保有先の企業価値が著しく毀損するなど持続して保有する経済合理性が乏しいと判断した場合は、経済情勢等を勘案のうえ、当該保有先との対話を経て、適切な時期に削減や売却を行います。

 

銘柄

保有目的

当社株式の

保有の有無

株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ

円滑な取引を維持するため

株式会社みずほフィナンシャルグループ

円滑な取引を維持するため

イオンモール株式会社

円滑な取引を維持するため

 

 

⑥ESG、SDGsへの取組み

当社は経営理念のもと、これまでもコンテンツのデジタル販売推進に取り組み、ディスク製造に伴う環境負荷への削減に貢献することを目指しております。

2022年3月期におきましては、子供の未来応援基金をはじめとし青少年の健全な育成に取り組んでおられる3団体に合計1億円の寄付を行い、また近時、世界の耳目を集めておりますウクライナ難民支援においても国連難民高等弁務官事務所に1億円の支援金を付託いたしました。

 

〔子どもの貧困対策関連〕

寄付先

金額

独立行政法人 福祉医療機構 子供の未来応援基金

5,000万円

認定特定非営利活動法人 しんぐるまざあず・ふぉーらむ

4,000万円

特定非営利活動法人 子どもセンターぬっく

1,000万円

 

 

〔ウクライナ難民への支援〕

寄付先

金額

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)

※日本の公式支援窓口「特定非営利活動法人 国連UNHCR協会」 を通じて支援

1億円

 

 

今後も現在問題提起されている気候変動をはじめとする社会の共通課題の解決に積極的に取り組んでまいります。そうした観点からSDGsが掲げる持続可能な社会づくりの目標を踏まえ、ESGへの取組みを推進し、ステークホルダーの皆様との信頼関係を構築しながら、持続的な成長を図ってまいります。

特に、当社は、環境対策の一環として、自社所有ビル等に対して関西電力株式会社様の再生可能エネルギー由来のCO 2 フリー電力を導入する準備を進めております。加えて、節電対策を施した自社データセンターの使用などの取組みを行うとともに、再生可能エネルギー使用を促進している大手クラウドサービス企業や大手データセンターサービス企業の利用により、一層の環境負荷低減に努めてまいります。

 

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