文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、溶射加工を中核とする表面処理加工の専業メーカーとして「技術とアイデア」「若さと情熱」「和と信頼」「グッド・サービス」を社是として掲げ、株主、取引先、社員、地域社会等あらゆるステークホルダーとの良好な信頼関係を基礎に、表面処理皮膜が持つ省資源化、省力化、環境負荷の低減等の諸機能を通じて社会に貢献し、「高技術・高収益体質の、内容の充実した企業グループ」を実現することを経営の基本理念としております。
当社は、「高技術・高収益体質の、内容の充実した企業グループ」を実現するため、以下の6項目を経営の基本方針として掲げております。
2021年11月に公表いたしました「中期経営計画(2022年3月期~2026年3月期)」では、当社グループの「ビジョン(2030年の目指す姿)」及び「ミッション」を次のとおり定めました。
≪ビジョン(2030年の目指す姿)≫
「人と自然の豊かな未来に貢献する」
≪ミッション≫
ESGを重視した継続的な成長による企業価値の向上
・高品質・高付加価値商品(皮膜)を生み出し顧客に提供すること
・いつまでも顧客・株主・取引先・地域の皆様から信頼されること
・地球環境保全に資する技術に貢献すること
・トーカロでイキイキと安全に働くことが従業員やその家族の誇りに思えること
2050年カーボンニュートラル(脱炭素社会)の実現に向けて大きく動き出している世界の中で、特に当社グループの成長の鍵となる社会の大きな変化(メガトレンド)は、①環境問題の深刻化、②ICT(Information and Communication Technology、情報通信技術)/デジタル化へのテクノロジーシフト、③資源・食料不足・人口増加の3つであり、これらの変化・課題に対して、トーカロの成長戦略、すなわち「新商品開発」と「新市場開拓」を推進してまいります。
「中期経営計画(2022年3月期~2026年3月期)」では、当社グループの成長戦略として特に注力する取組み分野を、大きく「人」「環境(自然)」の2つといたしました。「人」への取組み分野としては、半導体、FPD(フラットパネルディスプレイ)、医療・農業・食品などがターゲットとなります。「環境(自然)」への取組み分野としては、エネルギー、素材、輸送などが挙げられます。
既存事業である「半導体・FPD」「環境・エネルギー」分野における用途を拡大しつつ、新事業領域である「農業」や「医療」分野などを上乗せしていくことで、中期経営計画の最終年度における業績イメージとして、連結売上高530億円(うち、半導体分野向け売上260億円)、経常利益120億円を想定しております。
「人」と「環境(自然)」への取組み分野において、既存事業と新事業領域それぞれで案件創出や適用拡大を図ることにより、テクノロジー(人)、環境(自然)の両面で社会に貢献し、継続的成長による企業価値向上に努めてまいります。
「中期経営計画(2022年3月期~2026年3月期)」において、当社グループが目標として定めた財務関連指標は次のとおりであります。
<強い財務体質の維持>
・自己資本比率(70%程度)の維持(実質無借金継続)
<収益力の維持>
・ROE(自己資本利益率)の維持(15%を目標)
・経常利益率の維持(20%を目標)
・EPS(1株当たり当期純利益)の維持・向上
<配当性向>
・純利益の1/3以上を目途に安定配当
・DOE(自己資本配当率)の維持(5%を目標)
<設備投資>
技術優位性の維持・向上に向けた投資の継続 合計250-350億円(50-70億円/年)
半導体増産関連、新技術プロセス関連、生産効率化関連等
<研究開発費+技術開発費>
研究開発費:連結売上高比3%程度を維持
技術開発費:各工場の生産技術部門で投資継続
なお、上記記載の数値目標に関しては、当連結会計年度末現在において当社グループが判断した一定の前提に基づいたものであり、その達成を保証するものではありません。
世界を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症拡大における経済の落ち込みもワクチンの普及などにより、徐々に回復基調をみせております。ただ、一方で自然・社会・経済のいずれにおいても予期せぬ事態が度々発生しており、今なお不透明な状態が続いております。このような中で当社グループを取り巻く事業環境も先行きが見通しづらい状況ではありますが、ビジネスチャンスを確実に取り込むための積極的な経営資源の投入を継続して進めてまいりました。
また、事業の展望としましては、半導体・FPD分野はもとより、中期経営計画で取組みの強化を打ち出した環境・エネルギー分野、及び当社を支える事業基盤である基幹産業分野への積極的な取組みを図ってまいります。
持続的成長を続けるために当社が重点的に取り組むべき課題(マテリアリティ)として以下5項目を定め、それらの達成に向けて取り組んでまいります。
人の暮らしの基盤(デジタル化、インフラ、医療、農業など)を支える高機能皮膜の開発、自然エネルギー発電(風力、水力、地熱、蓄電池など)の普及・効率化に資する皮膜開発、温室効果ガスの排出量削減(脱化石燃料、リサイクル設備など)に資する皮膜開発などを重点的に推進いたします。また、顧客への最適なソリューションの提供による潜在市場の開拓を図ってまいります。
脱炭素化(カーボンニュートラル)に向けた取組みについては、化石燃料を使用しない溶射手法の検討と加工プロセス改善による電力使用量削減に取組みます。あわせて再生可能エネルギーの活用や廃棄物削減(リデュース・リユース・リサイクルの3R活動)及び環境保全への取組みを引続き推進してまいります。
製造プロセスの高度化と効率化については、自動化・IoTの推進と新規成膜技術の実用化をさらに強化し実現を図ってまいります。また、品質管理体制については、品質システムの運用(ISOなど)やPQP(Product Qualification Plan/製品品質保証計画)の構築を進め、さらなる強化を図ってまいります。
技術伝承やグローバル人財の計画的育成を行うと共に、社員がイキイキと働きやすい環境の整備に注力してまいります。また、ダイバーシティ推進室を立上げ、女性、外国人、障がい者、中途採用者等を含めた全ての社員が能力を存分に発揮し活躍できる社内風土の醸成を進めてまいります。
企業倫理(社会良識、倫理・道徳、環境配慮、地域貢献など)に則った行動を社員全員に啓蒙すると共に、ESGを重視した経営により社会への貢献を果たしてまいります。
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