研究開発活動

 

5 【研究開発活動】

当社は、「No.1&Only1技術・サービスの創出で世界をリード」を研究開発の理念として、表面改質技術を軸足とするOnly1コア技術の継続的な自主創造と、コア技術やその周辺技術を含め、独創的なNo.1商品・サービスの開発を進めております。多様化する顧客ニーズに対する様々な技術的アプローチを通じて、表面改質技術をコアとする顧客満足度の高い総合ソリューションの徹底追及とその実現に努めております。

当社の研究開発は、将来を見通した先行研究と顧客ニーズに即応する商品開発の2本柱で推進しております。また、以下の3点を重点研究開発領域としております。

① 溶射技術開発(一般産業機械・装置全般の部材開発、溶射プロセス開発)

② 半導体部品化技術(溶射技術を中心とした半導体・液晶パネル製造装置部品等の開発)

③ 成膜プロセス開発(レーザ応用、PVD、CVD、DLC、TD、ZAC)、有機コーティング

当社グループの研究開発活動は溶射技術開発研究所が中心となって推進し、顧客ニーズに対応する機能皮膜の開発を行うべく、近未来技術の模索・検討や、機能皮膜の創生、知財化推進、学協会への参加や発表・情報収集を通じて、研究開発のレベル向上を図っております。一方、多様化する顧客ニーズへの対応が求められる次世代商品開発や生産技術的な課題につきましては、各工場・拠点の営業、製造、技術部門と溶射技術開発研究所が相互に連携することで、迅速な対応を行っております。なお、PVD(物理蒸着)やDLC(ダイヤモンダライクカーボン)などの薄膜プロセスに関しましては、連結子会社の日本コーティングセンター株式会社とも協力しながら研究開発を進めております。

当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は1,296百万円であり、セグメントごとの主な内容は次のとおりであります。なお、当社グループの研究開発費につきましては、事業セグメントへの配分が困難なものも多いため、セグメントごとの研究開発費の金額は記載しておりません。

 

(1) 溶射加工(単体)

当社は持続的な成長の実現に向けて、半導体・FPD、環境・エネルギー、輸送機、または産業機械の分野を中心に、高機能部材に対する表面改質技術の適用開発を推し進めております。半導体分野におきましては、製造装置メーカ向けにメモリICやロジックICの製造部品を中心に、チャンバー部品や静電チャックへのコーティング開発を継続しております。特にプラズマエッチング装置部品では、ビッグデータの活用や高速通信の普及などを背景に、ナノレベルの配線幅を持つ集積回路の生産に対応できる高性能なコーティングが求められており、酸化物や弗化物等の新材料の模索や成膜プロセスの開発、皮膜組織の緻密化、要素技術の複合化、製品展開における生産技術開発、実機を模擬した皮膜損傷モデルの解析、またこれらに対応するナノレベルの評価技術など様々な角度から技術開発を行っております。FPD分野におきましては、大型静電チャックの高機能化や有機EL向けチャックなどの高機能化に対応するべく、顧客の高度な要求仕様を満足する製造工程プロセスの開発を継続しております。環境・エネルギー分野におきましてはカーボンニュートラルに向けた取組みが求められており、一般産業機械分野では、特に機械部品のリデュース・リユースを促進する高機能皮膜の開発や、部品の再コーティングに取り組んでおります。また、ボイラ火力発電における脱化石燃料に向けたバイオマス混焼操業などに対応する皮膜開発や、運転効率の向上に貢献する皮膜開発を継続しております。一方、新たな開発テーマとして、溶射施工時に発生する二酸化炭素の排出抑制技術に関する検討を開始いたしました。今後、化石燃料の使用量削減や、成膜作業の高効率化に向けた開発を行ってまいります。

 

 

(2) 国内子会社

国内子会社の日本コーティングセンター株式会社では、主にPVDやDLCの被膜開発を行っております。昨年度は、切削工具用の小径シャンクツール用に、従来被膜の「マーキュリーW」や「プライムコートT」よりも優れた切削性能を示す被膜開発を進めました。また、切削用DLC被膜におきましても、昨年度に開発した「Neo(ネオ)スリックC」に続き、最も高硬度なDLC被膜となる「Neo(ネオ)スリックH」の開発を行い、実機展開を図りました。その他、生産技術的な課題におきましては、コーティング作業の自動化を図るべく、遂次、設備導入を進めております。

 

(3) 海外子会社

海外子会社である台湾の漢泰国際電子股份有限公司では、主に半導体、FPD製造装置部品への再コーティングを行っております。台湾の半導体製造メーカでは最先端製品の生産を行っており、漢泰国際電子股份有限公司では顧客の厳しい要求に応えるべく、FE-SEM装置やレーザ顕微鏡、ICP-MS分析装置などを導入し、パーツ製品の分析を行いながら皮膜開発を進めております。また、顧客の要求品質に応えるべく皮膜の洗浄技術開発にも注力しております。今期は、昨今の半導体不足の改善に向けて顧客の新工場の稼働が複数予定されており、これにともなう生産効率向上等の改善に向けて技術的な対応を行うべく体制づくりを進めております。

 

(4) その他

当社では溶射加工以外に、TD処理加工やZACコーティング加工、PTA処理加工等、機能皮膜の継続的な商品開発を行っております。このうち、有機系・無機系薄膜の開発では、医療や食品系分野をターゲットとした機能性薄膜の適用試験を進めております。先期は、シリコーン系やテフロン系などの新規有機系皮膜「HS-kote」シリーズの開発や、主として水力発電所の発電機部材に対する新しい耐摩耗樹脂コーティングである「NP-kote」の適用開発を行いました。また、新規成膜プロセスであるレーザクラッディング技術におきましては、一般産業機械向け部品への新規肉盛り技術としての適用開発や基礎特性評価を進めており、実際の機械部品に対する施工実績が拡大いたしました。レーザ技術の応用では、溶射技術にレーザ技術を組み合わせることで、耐摩耗性や密着性または非付着性など、従来の皮膜性能を凌駕したコーティング開発を継続しており、半導体分野や一般産業機械向け分野における適用開発を進めました。

 

(5) 特許出願状況等

当社グループは積極的な特許出願によって、開発した技術及び皮膜商品の権利化に努めております。当連結会計年度の実績は、特許出願31件、特許登録25件であります。

 

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